M.M ひぐらしのなく頃に礼


 この「ひぐらしのなく頃に礼」は、先に発売された「ひぐらしのなく頃に 鬼隠し編」「ひぐらしのなく頃に 綿流し編」「ひぐらしのなく頃に 祟殺し編」「ひぐらしのなく頃に 暇潰し編」「ひぐらしのなく頃に解 目明し編」「ひぐらしのなく頃に解 罪滅し編」「ひぐらしのなく頃に解 皆殺し編」「ひぐらしのなく頃に解 祭囃し編」の続編となっております。その為レビューには「ひぐらしのなく頃に 鬼隠し編」「ひぐらしのなく頃に 綿流し編」「ひぐらしのなく頃に 祟殺し編」「ひぐらしのなく頃に 暇潰し編」「ひぐらしのなく頃に解 目明し編」「ひぐらしのなく頃に解 罪滅し編」「ひぐらしのなく頃に解 皆殺し編」「ひぐらしのなく頃に解 祭囃し編」のネタバレが含まれておりますのでご注意願います。

・「ひぐらしのなく頃に 鬼隠し編」のレビューはこちら
・「ひぐらしのなく頃に 綿流し編」のレビューはこちら
・「ひぐらしのなく頃に 祟殺し編」のレビューはこちら
・「ひぐらしのなく頃に 暇潰し編」のレビューはこちら
・「ひぐらしのなく頃に解 目明し編」のレビューはこちら
・「ひぐらしのなく頃に解 罪滅し編」のレビューはこちら
・「ひぐらしのなく頃に解 皆殺し編」のレビューはこちら
・「ひぐらしのなく頃に解 祭囃し編」のレビューはこちら

※このレビューにはネタバレしかありません。本作をプレイした方のみサポートしております。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。























































































シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
7 7 - B 3〜4 2017/8/5
作品ページ サークルページ



<これからは是非皆さんだけのひぐらしのなく頃にを作って頂ければと思います。>

 無数の次元を歩き幾つものヒントとかけらを集め長い時間をかけて、全員が生き残るエンディングにたどり着いたひぐらしのなく頃にシリーズ。非常に大ボリュームであるにも関わらず一切飽きさせないシナリオ展開と工夫に思わず舌を巻く完成度で、まさに社会現象になるに相応な作品だと思いました。そして作品の中では人を信じることの大切さや目的の為に努力することの尊さ、逆に罪に対してどう向き合っていくのかなど人生観に訴えるテーマを多く語っておりました。唯のミステリーでもSFでもない壮大な内容であり、プレイ終了後1週間経過しても未だに興奮が収まらない魅力がありました。

 今回レビューしている「ひぐらしのなく頃に礼」は、そんな超大作である「ひぐらしのなく頃に」のファンディスクとなっております。ファンディスクという事で本編には見られないオマケ的なシナリオのみが収録されており、また違ったひぐらしのなく頃にの魅力が伝わりました。収録されているのは「賽殺し編」「昼壊し編」「罰恋し編」の3つであり、3つとも方向性がバラバラなのも特徴ですね。プレイ時間も短いものは僅か20分、長いものでも2時間程度で終わってしまいます。これまでのひぐらしのなく頃にの長さを想定して構えてプレイしたらあっという間に終わってしまったというところが正直な感想です。まさにファンディスク。本編の感動を忘れられない人の為に用意された後夜祭的な内容でした。今回はそれぞれの編について簡単に振り返ってみようと思います。

 始めに「賽殺し編」です。プレイ時間2時間程度。本作品で最も長いシナリオでした。私、この世界は雛見沢症候群が起きなかったIFの世界だと思っておりました。ですがそれすらも違ってました。この世界は登場人物達に罪の経験がない世界、作中では真っ白な世界と言っておりました。これまで100年もの間世界をループし全員で乗り越えてきた世界とは真逆の世界、誰も争う事がなく誰も不幸にならない世界でした。ある意味理想郷とも言えるかも知れません。実際作中でも梨花はどちらの世界を選ぶのか大変苦悩しておりました。羽入に答えを求めることすらそもそも許されません。梨花にとっての「本当の戦い」が待っていたのです。ですが私にとって答えは明白でしたね。私が選んだ答えはもちろん誰もが罪を抱えた世界です。理由は全てレナが話してくれました。「人生の試練もまた、自分を作る要素」、これが全てだと思っております。何も辛い経験をしない、これって逆に経験から学ぶ事が出来ないという事です。実際賽殺し編の彼らは全員どこか真剣実に欠けていると言いますか、人とぶつかる事を避けておりました。人との距離の測り方が分からないんですね。何故分からないか、距離が近すぎてこじれた経験をしていないからです。そんな良いも悪いも全てが今の自分を作っている、何よりも祭囃し編の彼らはそんな失敗と罪にまみれた経験を活かして目的に向かって足掻き続けたのです。あの100年を否定なんてさせない。まだまだ自分の戦いは終わらない。そんな梨花の決意が目を覚まさせたのだと思っております。ひぐらしのなく頃に本編のおさらいのようなシナリオでした。

 次に「昼壊し編」です。プレイ時間1時間程度。昼壊しとは即ちデイブレイクの事。これは黄昏フロンティアで出された二次創作格ゲーを意味しております。私自身ひぐらしデイブレイクは名前こそ知っておりましたが、格ゲーはやりませんし何よりも当時はひぐらしのなく頃にに触れてませんでしたのでもちろんプレイした事がありません。それでも二次創作だからこそ許される明るくておバカなテンションが楽しかったです。特に語る事はありません。レナが可愛かったという事と麻雀好きすぎだろ!って事くらいですね。それでも、昼壊し編をプレイしてレナがどうして可愛いのかその理由が分かった気がしました。魅音が言っておりましたが、「相手を引き込むんじゃなくて、自分から歩み寄る」事を自然と出来たのがレナです。ですがこれってそれ程特別なことではないと思っております。誰かに好意を持つという事はその人を知りたいと思うこと、これって自ずと相手の趣味や関心事に合わせていく事だと思います。言ってしまえば「惚れた弱み」って奴ですね。好きになったからこそ知りたいと思う。逆に考えて好きでもない人についてそこまで積極的に知りたいとは思いませんものね。それを全力で実践したレナの姿が全てでした。

 次に「罰恋し編」です。プレイ時間20分程度。これは更にカオスな内容でした。ただ男どもがありったけの妄想を繰り広げただけでした。是非ですね、その妄想をビジュアル化して欲しかったですね。……いや、ビジュアル化しなかったからこその妄想なのかも知れませんね。後半女性陣も言ってました、「妄想は1人で楽しむもの!」と。私も常々思っていることですが、人が社会で生きていく上で想像力は欠かせないと思っております。先の事を想像して事故を未然に防ぐ、相手の事を想像して円滑な人間関係を築く、どちらも大切なことです。そして、想像力とは言い換えれば妄想力の事です。与えられた最低限の情報から自分だけのビジュアルを作り出す。まさに人が生きていく上で欠かせない要素だと思います。あなたが想像したヒロインはどんな姿をしてましたか?是非それを形にしてみては如何でしょうか。

 という訳で全部で3編の新作を楽しませて頂きました。特別新しい事実が判明した訳でもありません。本当にひぐらしのなく頃にの余韻を楽しみたいという人向けの内容でした。改めて思いましたが、ひぐらしのなく頃にもまた二次創作がし易い作品ですね。梨花が歩んだ道のりは非常に長く、本編で語られた8つの編意外にも無数の編が存在します。そしてそれらの編でどのような物語が紡がれたのかを想像するのは皆さんの自由なのです。本編以上の血泥みな展開を想像するのも良し、ひたすらイチャラブな展開を想像するのも良し、圧倒的な陰謀論を展開するのも良し、それが出来るのがひぐらしのなく頃にの特徴だと思いました。想像力、もとい妄想力は大切ですからね。公式からの提供は終わりましたので、これからは是非皆さんだけのひぐらしのなく頃にを作って頂ければと思います。現在漫画やアニメなど様々なメディアミックスもされております。これらでまたひぐらしのなく頃にの世界を歩きなおすのも良いかも知れません。コミケなどで誰かが作った二次創作を楽しむもの良いかも知れません。自分で物語を書いてみるのも良いかも知れません。是非これからも末永く、このひぐらしのなく頃にという作品が皆さんの心に残ればと思っております。ありがとうございました。


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