M.M ひぐらしのなく頃に解 罪滅し編


 この「ひぐらしのなく頃に解 罪滅し編」は、先に発売された「ひぐらしのなく頃に 鬼隠し編」「ひぐらしのなく頃に 綿流し編」「ひぐらしのなく頃に 祟殺し編」「ひぐらしのなく頃に 暇潰し編」「ひぐらしのなく頃に解 目明し編」の続編となっております。その為レビューには「ひぐらしのなく頃に 鬼隠し編」「ひぐらしのなく頃に 綿流し編」「ひぐらしのなく頃に 祟殺し編」「ひぐらしのなく頃に 暇潰し編」「ひぐらしのなく頃に解 目明し編」のネタバレが含まれておりますのでご注意願います。

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※このレビューにはネタバレしかありません。本作をプレイした方のみサポートしております。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。























































































シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
9 8 - 88 8〜9 2017/7/22
作品ページ サークルページ



<仲間とは信頼出来る存在であり、自分の居場所。それを見つけるための喜劇でした。>

 いや〜爽やかな終わり方でしたね。一時はどうなるのかと思いましたが、最後はいつも通りの部活動で締めくくられました。やっぱりこのハチャメチャなノリこそが圭一達には合ってますね。どんなに疑心暗鬼になっても仲間を信じられなくなっても、言葉だけではなく体と体をぶつけあって話し合えば大抵の事は解決するんですね。雛見沢村の真実とか寄生虫とか宇宙人とかどうでもいい。例えそれが間違っているのか正しいのかとか関係ない。レナも圭一も、みんな仲間と心の底から語り合える事が嬉しかったんだと思えます。

 「罪滅し編」の主人公は、これまで中立的な立場であった竜宮レナでした。そして「罪滅し編」は「鬼隠し編」の解決編、と言うよりも「鬼隠し編」のアンチテーゼでした。家族の不和から立ち直り雛見沢での平凡な暮らしを取り戻したレナ、ですがそんな平凡な暮らしを脅かす存在がいました。父親の事を金づるとしか見てなく全ての財産を召し上げようとしたリナ、もちろん娘であるレナの事が好きなはずがありませんでした。好きどころが厄介者と思っており、リナが竜宮家を滅ぼす事は明確でした。大切な秘密基地を見られて、「あたしも嫌いだったからねー」なんて言われて、首を絞めて殺されかければ抵抗もします。私はレナは少なくとも正当防衛だと思いました。その後の鉄平の殺害も、力がなく選択肢がなかったレナにとってはこれしかなかったのだと思います。ここではレナの行動の良い悪いは話さない事にします。大切なのは、自分の事を受け止めてくれる存在が居ること。居場所があるということなのかも知れません。

 それでも、その後綿流し祭りが終わり自分にオヤシロさまの祟りが近づいていると感じたレナの情緒は不安定になっていきました。加えて鷹野三四が長年研究してきたスクラップ帳を見て雛見沢の真実を盲信し、その事で雛見沢村の人全員を敵と思ってしまいました。味方だと思っているはずの圭一や大石に対しても信頼感なんて全くない、この構造は「鬼隠し編」での圭一と周りの関係と一緒でした。「鬼隠し編」のネタバレレビューの中で『竜宮レナと園崎魅音のサイコパスを思わせる変貌は何なのか。』という疑問を書きましたが、もしかしたらこれは疑心暗鬼になった圭一だけが見えた姿なのかも知れません。雛見沢の破滅を確信し宇宙人が紛れていると信じているレナにとっても同じように見えたのかも知れません。加えて警察・園崎家・魅音などの行動に偶然が重なり、ますますレナの疑心暗鬼は深まりました。プレイヤーからみればまさに喜劇。まあ、喜劇に見えるのはプレイヤーが神の視点を持っているからであり「鬼隠し編」で圭一という同様の姿を見ているからですねきっと。

 そしてやってきた運命の日、レナが単身鈍を持って教室に立てこもり、ガソリンによる自爆を目論んだ篭城事件が起きてしまいました。もう誰の言葉も信じないレナ。それは圭一や大石に対しても同様でした。確実にタイムリミットが迫ってる中、それでも圭一は必死の説得を行いました。同時に大石も外からできる限りの助力をしました。それでも鬼に支配されたレナの心に届く事はありませんでした。作中でも『心の鬼が暴れだしたら、どんな悲しくても抗えない時がある』と言ってましたが、それがあの時のレナなのだと思います。そんな絶望的な状況でも、圭一は諦めませんでした。途中沙都子や梨花の協力をもらい、最後屋上てレナと対峙する状況まで持って行きました。いや、むしろ屋上で対峙する事を望んだのは圭一の方でした。ここから先は部活動の延長。あの水鉄砲での戦いの決着の時でした。別に、圭一はレナの説得に成功した訳ではありません。レナの妄言を解消出来た訳ではありません。やったのは、鈍と金属バットでのチャンバラでした。これで解決するんです。むしろこれでしか解決できなかったんです。体と体をぶつけ合い、汗を流し合えば大抵の事はどうでも良くなる。そしてこれこそが仲間を実感できる方法なのかも知れませんね。

 さて、そんな爽やかに終わるはずの「罪滅し編」ですがそう簡単には終わりませんでした。むしろ物語の根幹に関わるかも知れない伏線がうじゃうじゃ出てきました。その辺を整理しようと思います。

・圭一は何故「別の世界の圭一」の存在を思い出す事が出来たのか。
・目の前にいる梨花は何者なのか。また篭城事件前日に会話していたのは誰か。
・鷹野三四のスクラップ帳に書かれている事は、本当にオカルト小説なのか。

 「綿流し編」や「祟殺し編」のレビューでも書きましたが、やはりこのひぐらしのなく頃にという作品において圭一の存在が全ての鍵を握っているように思えます。これまでの編でそれぞれの時間軸を生きてきた圭一、そして結果として惨劇を止められなかった結末を迎えておりました。それがまさかこの「罪滅し編」で「過去の記憶」として蘇らせるとは思いもしませんでした。デジャブというレベルではなく、明確に思い出していたのです。作中でも『先代主人公の俺を信じろ!!!』と言ってましたからね。梨花もこれには驚きを隠せませんでした。奇跡とすら言ってました。結局のところ、それぞれの編はどういう位置づけになっているのかを明確にして欲しいと思いました。これは鷹野のスクラップ帳にも書かれていなかった事です。まあ、自分が今生きている世界とは別の時間軸の事など書けるるはずがありませんね。

 そして梨花についてはもう隠すこともなく曝け出してきました。ここにいる梨花は梨花にあらず、既に100年以上生きている何者かと自分で言っておりました。果たしてこの梨花は鷹野が言う宇宙人なのでしょうか。また、この梨花はこの雛見沢での出来事を何回も繰り返しているとも言ってました。梨花は過去に戻れるのでしょうか。それとも別の時間軸に飛べるのでしょうか。そして梨花と同じ性質をもった人物が、少なくとももう1人いる事が語られました。沙都子ではない、圭一でもない、レナでもない、魅音でもない。今のところ誰なのか全く分かりません。これは純粋に解答を待とうと思います。いずれにしても、梨花の正体が明かされるまで雛見沢の真実にはたどり着けませんね。

 そして最後にとんでもないTipsをぶっこんできました。あれだけ爽やかに終わったはずの惨劇。それが全くの無意味であったことを思い知らされました。上でレナと圭一のチャンバラごっこを喜劇と書きましたが、Tipsを読んでこちらこそがよっぽど喜劇に思えました。結局のところ祟りは行われたのです。梨花は殺されました。入江も自殺しました。火山性ガスが発生しました。展開は「祟殺し編」と全く一緒になりました。何も解決していなかったんです。しかも20年後の赤坂は鷹野が残したスクラップ帳通りだと思っておりました。寄生虫・宇宙人、こんな存在が本当にいるのでしょうか。思えば、レナをみんなが説得しようとした理由は鷹野のスクラップ帳があまりにも「ありえない」ものだったからです。清水亭での園崎家と警察の会合もこの「ありえなさ」が決め手となりました。ですがそうではないとしたら、これが喜劇でなくてなんでしょうか。つまりレナは正しかったという事、もうちゃんちゃら可笑しいですね。

 この「罪滅し編」で、自分が疑問に思っていた多くの点についていよいよメスが入り始めました。雛見沢の真実、オヤシロさまの謎、そして圭一の存在とクロスオーバーする世界、全体の3分の4が終わった中でこれだけ多くの確信めいた点が明らかになっていないのです。それでもメスは入りました。メスが入ったという事は中身を明らかにしていくという事です。そうです、綿流しは腸流しなのですから、一旦メスを入れた疑問はしっかりと膿を出さないといけないと思います。次の編のタイトルは「皆殺し編」です。とんでもない名前ですね。これだけ爽やかに締めくくって、そしてどんでん返しを繰り広げて、これ以上何を見せてくれるのでしょうか。残り2つです。気を引き締めて先に進もうと思います。


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