M.M ひぐらしのなく頃に 綿流し編


 この「ひぐらしのなく頃に 綿流し編」は、先に発売された「ひぐらしのなく頃に 鬼隠し編」の続編となっております。その為レビューには「ひぐらしのなく頃に 鬼隠し編」のネタバレが含まれておりますのでご注意願います。

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※このレビューにはネタバレしかありません。本作をプレイした方のみサポートしております。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。























































































シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
8 7 - 85 8〜9 2017/7/11
作品ページ サークルページ



<雛見沢村の風習と歴史の重みを、魅音の行動と覚悟から感じる事が出来ました。>

 「鬼隠し編」では雛見沢村の雰囲気やオヤシロさまの祟りについて語られ、それに翻弄されながらも懸命に生きようとする圭一の姿が印象的でした。ですがそれはあまりにも孤独な戦いであり、最後は訳も分からないままに死んでしまいました。痛々しさ以上に不気味さが先行し、撒き散らされた様々な伏線の把握が大変でした。ですがそれこそがひぐらしのなく頃にの魅力であり、今後展開されるシナリオのプロローグに相応しい内容だったと思います。今回プレイした「綿流し編」では、「鬼隠し編」には無かったテイストがあり楽しむ事が出来ました。

 「鬼隠し編」に引き続き「綿流し編」でも幾つもの疑問が出てきました。ですが、私にとって気になっている点はたった1つだけです。

・そもそもこの時間軸の違いは何なのか。

 「綿流し編」開始早々、まるで時間が巻き戻ったかのようにいつもの部活動の様子が書かれておりました。始めは「鬼隠し編」で語られなかったエピソードの幾つかなのかなと思いましたが、途中でエンジェルモートに行き、詩音と出会うあたりからどうやら様相が違う事に気付きました。決定的だったのは綿流し祭りの前日でした。この時に富竹だけではなく既に鷹野とも出会っており、圭一はオヤシロさまの過去や雛見沢村の歴史について聞かされました。圭一が雛見沢村の歴史を知る事はこのひぐらしのなく頃にのシナリオにおいてのターニングポイントです。その時間がズレており、「鬼隠し編」とは違う時間軸の話だと気付きました。であるならば、この「綿流し編」とは何なのでしょうか?「鬼隠し編」はIFの世界の話なのでしょうか?ミステリーと伝奇物だと思っていたひぐらしのなく頃には、実はSFものなのでしょうか?

 時間軸の違いはそのままシナリオの違いとなって現れました。そしてそれはただシナリオが違うだけではなく、雛見沢村全体の雰囲気の違いにも現れてきました。ですがそれは決して悪い事ではありませんでした。むしろ雛見沢村の良い所(と言いますか真実の部分)を見ることが出来ました。一番の違い、それは圭一が孤独ではないという事です。綿流し祭りが終わり富竹と鷹野が何者かに殺されてしまいました。そしてその翌日の夜、村長である喜一郎が行方不明になってしまいました。この時雛見沢村の人は皆で村長を探し、彼の安否を心配しておりました。村中を徹夜で探し回る団結力は、雛見沢村の結束力の強さを見せ付けてくれるもので素直に見つかって欲しいと思いました。

 何よりも圭一には味方がいました。祭具殿に不法侵入してしまい、取り返しのつかない事を犯してしまったと震える圭一。ですが彼には同じ境遇の詩音がいました。また、学校でも梨花は重々しく口を開く圭一に対して「味方になる」とはっきり口にしてくれました。結果としてその気遣いが更に圭一を苦しめる結果になってしまいますが、この時の圭一には「鬼隠し編」の圧倒的孤独から他人を近づけない粗暴さはありませんでした。一番の味方はレナでしたね。味方になってくれるだけではなく、しっかりと圭一の事を叱ってくれました。叱るべき時に叱ってくれる、これこそは本当の友達だと思いましたね。

 そして「綿流し編」を語る上で決して外してはいけない存在、それは魅音でした。「鬼隠し編」に続きこの「綿流し編」を見ることで雛見沢村の歴史、そして御三家の歴史を知る事が出来ました。何よりも園崎家の権力の強さと魅音に課せられた使命の重さを知ることが出来ました。雛見沢村を守るため、そして古き風習を受け継ぐため、魅音は当主として自分を押し殺す日々を過ごしておりました。正直言いまして、どれが部長としての魅音でどれが当主としての魅音でどれが鬼としての魅音かは分かりませんでした。ダム建設を巡り外圧と戦った魅音はどの魅音でしょうか?村の規律を守るために村長と梨花を殺した魅音はどの魅音でしょうか?大切なのは、どの魅音であっても彼女はその行動を全て受け入れた事です。その上で園崎家の当主として生きていく覚悟を持っていた事です。

 それでも魅音はひとりの女の子でした。詩音のお淑やかな性格に少なからず嫉妬し、比べる対象にしておりました。圭一の事が好きな気持ちをひた隠しにし、努めて明るく振舞おうとしました。前半部分の綿流し祭りが行われる前の何気ない部活の日常、その中に魅音の心の内側を覗くヒントが隠されているとは思いませんでした。村の歴史を守る為に祭具殿に入った4人は始末しなければならない。それでも圭一だけは殺したくない。自分が鬼になってしまうまえに、せめて彼だけは逃がしてあげたい。そんな想いが圭一の生存に繋がったのだと思います。雛見沢村の不気味な風習の中心にいた魅音、そんな彼女の人間的な部分が垣間見れて嬉しかったですね。

 さて、それでは少し別の視点から「綿流し編」を見てみようと思います。このシナリオは「全て魅音の仕業」で幕を下ろす事はありません。矛盾する点を幾つも抱えております。祭具殿で圭一には聞こえなかった子供が跳ねるような音は何なのか?どうして「こうも早く」4人が祭具殿に侵入した事がバレたのか?魅音、鷹野の死亡推定時刻がズレているのは何故なのか?梨花が持ち歩いていた注射器は何なのか?今年の事件だけどうしてこうも死者が連続するのか?本当に魅音が全ての被害者を殺したのか?上げれは切りがありません。そして「綿流し編」では驚く程にオヤシロさまが出てこないのです。魅音はオヤシロさまはおとぎ話とすら言っております。上で書いた幾つかは「鬼隠し編」でも疑問として共通に上がっているものです。ですがオヤシロさまが出てこない以上、「鬼隠し編」と「綿流し編」は確実に違う時間軸の物語です。この意味が解決しない限り、真犯人にはたどり着けない気がします。

 物語最後、圭一は鬼と化した魅音に殺されました(これすらも疑わしい)。そして同じ遺言を残しました。「それだけが……僕の望みです…。」と。もしかしたら、このひぐらしのなく頃にという物語は圭一が事件の真犯人にたどり着くまで永遠とループするのかも知れませんね。そうであるのなら、この圭一という存在は何者なのでしょうか?よくよく考えてみれば、他所から引っ越してきて雛見沢村に深く関わっている存在は圭一しかいません。この時点で、既に異質と言えます。エンディング直前に大石さんが「………あなた、本当に園崎魅音に刺されたんですか?」と聞きました。もしかしたら、大石さんは圭一が魅音に刺されていない決定的な証拠を掴んでいるのではないでしょうか?だとしたら面白いですね。圭一の視点や圭一の証言が全て疑わしく思ってしまいます。これ以上考えると突拍子もない妄想が飛び出してきそうですのでこの辺で止めましょう。何しろ、まだ問題編は終わっていないのですから。次の祟殺し編で、また新たな情報を得ないとですね。


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