M.M ひぐらしのなく頃に解 目明し編


 この「ひぐらしのなく頃に解 目明し編」は、先に発売された「ひぐらしのなく頃に 鬼隠し編」「ひぐらしのなく頃に 綿流し編」「ひぐらしのなく頃に 祟殺し編」「ひぐらしのなく頃に 暇潰し編」の続編となっております。その為レビューには「ひぐらしのなく頃に 鬼隠し編」「ひぐらしのなく頃に 綿流し編」「ひぐらしのなく頃に 祟殺し編」「ひぐらしのなく頃に 暇潰し編」のネタバレが含まれておりますのでご注意願います。

・「ひぐらしのなく頃に 鬼隠し編」のレビューはこちら
・「ひぐらしのなく頃に 綿流し編」のレビューはこちら
・「ひぐらしのなく頃に 祟殺し編」のレビューはこちら
・「ひぐらしのなく頃に 暇潰し編」のレビューはこちら

※このレビューにはネタバレしかありません。本作をプレイした方のみサポートしております。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。























































































シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
8 8 - 87 7〜8 2017/7/21
作品ページ サークルページ



<命に重さなんてない。命に重さをつけようとした事が、この悲劇を生んだんですね。>

 魅音と詩音が求めていたもの、それはきっとありふれた日常だったのかも知れません。園崎家の伝統に振り回され、好きな人に気持ちを伝える事も出来ず、そして大切なはずの姉を殺してしまう。作中でも言ってましたが、どうしてこうなってしまったのでしょうか。詩音が悟史と会ってしまったから?遠い全寮制の学園に強制入学させられたから?それとも園崎家に生まれてしまったから?もはや今となっては確認の使用がありませんね。願わくば、魅音も詩音も愛する人のそばにいてくれる事を祈るばかりです。

 今回プレイした「目明し編」ですが、実質「綿流し編」の答え合わせの様な感じでした。主人公は園崎詩音。彼女が興宮に帰ってきて悟史と出会ってからの物語でした。完全にやられました。まさか綿流し祭りの後に魅音を演じていたのは全て詩音だったとは思いませんでした。魅音と詩音という双子が登場すると分かった時点で双子のパラドックスが使われる予感はしておりましたが、こうも大胆に使ってくるとは思いませんでした。流石は魅音と詩音ですね。自分の親ですら欺いた入れ替わり術、そりゃプレイヤーも騙されますよ。特に最後、拷問室で圭一が気絶してからの入れ替わりにはやられました。あの後どうやって魅音と詩音が元に戻るのかが分かりませんでしたからね。そして鬼となってしまった詩音による圭一への殺傷、そしてその後のマンションからの飛び降り、これで全ての線が繋がりました。

 それでも「目明し編」をプレイして新たな謎が出てしまいました。少し整理していこうと思います。

・園崎家はどこまでこの連続怪死事件に関わっていたのか。そもそも全然関わっていないのか。
・古手家はどれほどの力を持っていたのか。梨花が憂慮する事で本当に何者かが気を利かせたのか。

 正直これには驚きました。まさか園崎お魎が黒幕でなかったなんて思いませんでした。それどころかお魎ですらこの雛見沢の歴史とオヤシロさまの祟りを調べていた事にビックリしました。雛見沢村に万延している人を殺してもいいシステム、そのシステムを本当の意味で動かしていたのは誰なのでしょうか。誰が命令者で誰が執行者なのでしょうか。お魎は雛見沢村の中にそんな人は存在しないと言っておりました。あのお魎が言うのですからきっとそうなのでしょう。であるのなら、本当に誰がこの連続怪死事件を起こしたのか分からなくなります。ですが雛見沢村の人間以外、そう言われたらもう選択肢は非常に限られてきます。具体的に名前を挙げましょうか。圭一・大石、この2人です。やはりこの一連の連続怪死事件は、圭一によるクロスオーバーが原因なのでしょうか。

 そして梨花についても新たな情報を知る事が出来ました。古手家もまた、それなりの求心力を持っている事が分かりました。というよりも、梨花の求心力が強いんですね。「暇潰し編」でも少し見えましたが、あの無邪気で可愛らしい梨花がまるで別人な様子に変わるのは何なのでしょう。梨花の演技でしょうか?それとも本当にオヤシロさまなのでしょうか?そして詩音を殺すために的確に催涙スプレーを振り掛けマウントを取り、例の注射器を打ち込もうとした様子はもはやみなさんの知っている梨花ではありませんでした。あの姿は古手家頭首に相応しいもの。ただ執行者が梨花本人という点が気になりますね。梨花はあくまで命令者であり執行者ではないと思ってました。それは私の思い込みでしょうか。梨花についてはこの先も注意深く見守らなければいけませんね。

 とまあ少し疑問点について整理しましたが、この「目明し編」において疑問点を追いかける事にあまり意味はない気がします。傍から見れば詩音のとんでもない殺人劇です。ですがその想いは純粋であり、鬼と化すまで本気で悟史の事を想っておりました。園崎家の因縁で自分が詩音だと名乗れないもどかしさ、自分の力では悟史の事を助けてあげる事ができないもどかしさ、それが痛いほど伝わりました。そしてそんなもどかしさは魅音や沙都子に対する逆恨みという形で表に出てしまいました。自分が悟史の傍にいれないのは魅音のせい、悟史が日々苦しんでいるのは沙都子のせい、自分の無力感が呼び出した嫉妬の気持ちでした。ですがそれも致し方がないと思います。幼い時から魅音と区別され、自分には愛情も何も与えられなかったのです。やっと自由の身になれたのに、好きな人に好きという事も出来ない。そんな寂しい事はありませんね。

 悟史についても「目明し編」の中でしっかりと描かれておりました。これまでの編では他人の言葉でしか人物像が見えませんでしたので、どことなく圭一に似た正義感あふれる存在なのかなと思っておりました。ですが、圭一と比べて温厚であり、周りの事を大切にする優しい性格の持ち主でした。北条家の叔母にいじめられ徐々に神経をすり減らしていっても、涙一つ流さず耐え忍んできました。そんな悟史です。叔母を殺すという行動に出ても完全に彼を否定する事は出来ませんね。悟史が求めていたのは慎ましくも平和な日常。妹である沙都子が笑ってくれる日常です。ある日突然両親が事故で亡くなり、自分の事を快く思わない叔父夫婦に引き取られ、永遠とも思える絶望の生活が始まりました。そして誰も自分たちを助けれくれないのなら、自分の手でやるしかないじゃないですか。

 結末は「綿流し編」と変わりませんでした。お魎も公由喜一郎も梨花も沙都子も死んでしまいました。魅音と詩音もまた壮絶な最期を遂げました。そして悟史の死体は見つからず、執行者も不明のままです。「目明し編」が明らかにしたのは5年目の事件の真相のみ。この連続怪死事件の本当の姿には全く触れる事が出来なかったのです。それでも僅かに与えられた情報を足掛かりに、どうか真実を見つけ出したいですね。ひぐらしのなく頃にも解答編に入りましたが、まだまだ真相はこれからの様です。この闇が深すぎる雛見沢の真実が、陽の目に晒されることを祈っております。

 そういえば、解答編に入ることでようやくあの有名な「you」という曲が流れてきましたね。最後スタッフロールの中でdai氏の名前もありましたし、ようやくのお披露目となりました。しかも一曲だけではなく幾つものアレンジが使われておりました。まさにひぐらしのなく頃にという作品を象徴するかのようです。私、このひぐらしのなく頃にという作品の中でTipsを開いた時のあの平凡な曲が好きだったんです。それが今回解答編で変わりましたが、それもまたyouでしたね。短調であり物悲しさを感じる一曲、まるで各編のバッドエンドを象徴しているかのようです。願わくば、最後の最後では流れてほしくはないと思っております。最後はハッピーエンドで、そのエンディングにyouは似合わないと思っております。それでは次に進もうと思います。


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