M.M DAGGER 貴人の矜持




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
8 7 - 83 5〜6 2018/9/24
作品ページ(なし) サークルページ



 この「DAGGER 貴人の矜持」は先に発売された「DAGGER 戦場の最前点」「DAGGER 点を支えし者達」「DAGGER 有色の戦人」「DAGGER 銀環の誓い」「DAGGER 有色の姫巫女」の続きとなっております。その為レビューにはこれら過去作品を含めたネタバレが含まれていますので、ネタバレを避けたい方は避難して下さい。

「DAGGER 戦場の最前点」のレビューはこちら
「DAGGER 点を支えし者達」のレビューはこちら
「DAGGER 有色の戦人」のレビューはこちら
「DAGGER 銀環の誓い」のレビューはこちら
「DAGGER 有色の姫巫女」のレビューはこちら

※このレビューにはネタバレしかありません。前作と本作の両方をプレイした方のみサポートしております。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。





















































































<自分には自分の戦いの場がある。大切なのは、どんな場でも手を抜かず考え抜く事。>

 剣と魔法が存在し人間以外の様々な種族が存在するファンタジーな世界で展開される、心温まるシナリオとキャラクターが印象的なDAGGERシリーズも第4章となっております。前作であるスピンオフの第3.5章が発売されたから約3年振りの新作という事で、この日が来るのを大変楽しみにしておりました。また主人公ティストの誠実さとそれを慕う登場人物達の掛け合いが見れると思うと、それだけで嬉しくなるという物です。

 DAGGERシリーズは章が進むにつれてシナリオも進んでいくのですが、特徴として各章でメインとするヒロインを決めている点があります。どの章でもヒロインの重さに優劣などつきません。あくまでメインのヒロインの視点を中心として物語が進んでいくという事です。DAGGERシリーズはマルチシナリオではありませんので、特定のヒロインと結ばれて終わりではありません。だからこそ、ヒロイン達それぞれの視点を通して今主人公は何を考えているのか、どういう状況で何が危ないのか、自分自身は何を考えているのかを別の視点で味わう事が出来るという事です。そして、どのヒロインもティストの事を認め慕っている事がこれでもかと言わんばかりに分かります。本当、優しい世界というのは存在するのだなとホッコリさせられます。

 今回のメインヒロインは、ロアイス国の貴族であり優秀な軍師として知られているファーナ・ティルナスでした。DAGGERシリーズの特徴として、敵との戦いに全力で臨みそれを精いっぱいバックアップし時には自分も対等に戦う戦闘の場面が挙げられます。そこから得られた絆が更に皆の力となり、その繰り返しで信頼関係を作っていくのです。ですが、ファーナは軍師であり戦闘技術に長けている訳ではありません。戦場とは離れた場面でのバックアップ勿論大切ですが、直接的に見えないという意味でどうしてもヒロイン力に劣るのかなと思っておりました。ですが、今回のエピソードでそうした認識を大きく改めなければいけないと痛感しました。ティストにはティストの戦いの場がある通り、ファーナにはファーナの戦いの場があるという事を教えられました。

 ファーナもまたティストの幸せを願っている存在でした。それに加えて、ロアイス国の繁栄も同時に願っておりました。彼女の立派なところは、目標を明確にしておりその達成のために一切の妥協をしない点だと思いました。軍師としての仕事は勿論ですが、ティストを始め合う人1人1人の趣向に合わせた態度や発言なども徹底しており、この隙の無さが目標達成に欠かせない秘訣なんだなと思いました。言ってしまえば、現代のビジネス社会や友人関係の構築にも当たり前に適用出来るものばかりなのです。現実世界でこれだけ徹底できれば、きっととんでもない事になると思わせます。そしてファーナの凄いところ、それは自分が普段相容れない剣と魔法が交錯する戦場でも自分の出来る事を精いっぱい行ったのです。

 ルクス・エンゲイとヴェス・ノインとの戦い、それは以前戦ったグレナル・ロンドやタニア・エネルとの戦いから想像するに更に厳しいものになると予測されました。事実、ルクスについては黒吸石を用いた刀などに苦戦され5人がかりで何とか倒しました。ヴェスについてはあれ程信頼感のある魔族の王やラインやシアを持ってしても抑える事が出来ない程でした。まるで無敵、誰もがそう思いました。ですがそうではありませんでした。ちゃんと全員の攻撃が少しずつヴェスの体力を奪い消耗していたのです。全員が全力で戦ったからこその勝利だったと思っております。その場を設えたのは他ならぬファーナです。彼女が全員を集めて無かったら、この勝利はあり得ませんでした。戦闘技術を持っていなくても活躍できる、それを教えてもらいました。

 エンディングはウェディングドレスに身を包んたアイシス・セレノア・ユイの嬉しそうな姿とそれを見届けるファーナの姿でした。正直、ティストが3人を嫁として迎える事は割と想定されました。何故って、それ以外ハッピーエンドになる方法が考え付かなかったからです。何よりも、3人を嫁にする事を周りの人が反対するとも思えませんでしたからね。それをしっかりと覚悟を持って実行したティスト、立派だと思いました。そして自分の立場を認識し、その上でティストを支えると決めたファーナもカッコ良かったです。本当、DAGGERシリーズは優しい世界ですね。最後まで諦める事がなければ必ず結果はついてくる、僕たちも、彼らを見習って出来る事を精いっぱいやらなければいけませんね。ついにDAGGERシリーズも後半に差し掛かったみたいです。結末が見たいと思いつつも終わると思うと寂しく感じます。それでも、彼らの物語を最後まで見届けなければいけませんね。次回作を楽しみにしております。


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