M.M DAGGER 有色の戦人
シナリオ | BGM | 主題歌 | 総合 | プレイ時間 | 公開年月日 |
8 | 7 | - | 80 | 5〜6 | 2013/7/23 |
作品ページ | サークルページ |
この「DAGGER 有色の戦人」は先に発売された「DAGGER 戦場の最前点」「DAGGER 点を支えし者達」の続きとなっております。その為レビューにはこれら過去作品を含めたネタバレが含まれていますので、ネタバレを避けたい方は避難して下さい。
・「DAGGER 戦場の最前点」のレビューはこちら
・「DAGGER 点を支えし者達」のレビューはこちら
※このレビューにはネタバレしかありません。前作と本作の両方をプレイした方のみサポートしております。
以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。
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<相手を想うからこそ歪みが生まれる、ならばその想いをぶつけ合えば案外解決するものですね>
最強であるが故に人から疎まれた主人公と最弱であるが故に人から疎まれたヒロインが出会った所から始まった物語である「DAGGERシリーズ」の第2章である「DAGGER 有色の戦人」の感想です。前作までで主人公であるティストとヒロインであるアイシスの出会いから2人が多くの人々に愛されて成長していく様子を見る事が出来ました。そして戦場の最前点と称された実力は本物であり、本物であるが故に忌み嫌われていた訳ですがそれが真に実力を認めてくれる人々によって再び日の目を見る事が出来るようになりました。物語はそんなティストとアイシスが魔族であるグレイス一族に呼ばれるところから始まります。
今回のヒロインはアイシスに変わってグレイス一族のお姫様であるセレノアです。「DAGGER 戦場の最前点」でも登場したキャラクターでありますが、魔族らしく戦いというものを大事にしており竹を割った様な性格はその実力も合わせて裏表がなく非常にサッパリとしております。それでも年頃の女の子である事に変わりはなく、時折見せる恥ずかしそうな表情は元々も強気な性格もあって非常に可愛らしくヒロインらしいと思いました。そして年頃の女の子という事で色々な場面で素直になれない性格は、今回の物語の中でも焦点になります。セレノアを中心として描かれるグレイス一族の関係修復が、「DAGGER 有色の戦人」のテーマとなる訳ですから。
セレノアの母親であり党首であるレオンの妻であるシーナは病で死んだのではなく殺されて死にました。ですがその事をセレノアに話さないと決めた事で、少しずつグレイス一族の中で歪みが生じてしまいました。特に顕著なのがレイナとサリの過保護なまでのセレノアへの接し方と他の種族に対する過敏なまでの拒否反応でした。ですがそれも過去にシーナを殺された罪滅ぼしの表れであり、決してセレノアを甘やかす為ではありませんでした。ですがそれはセレノアとの温度差を生む結果となり、結局は上っ面だけの関係しか築けず会話らしい会話もないまま今日に至りました。レオン自身もシーナを殺された復習にとりつかれており、父親としてセレノアに接する事を忘れていました。作中でも言ってましたが「壊れた」という状態です。そんなバラバラなグレイス一族が、ティストとアイシスの見返りを顧みない真っ直ぐな想いで修復されていきました。
この作品の登場人物は皆裏表がなく自分自身にプライドと誇りを持った性格の持ち主ばかりです。ですがそれが故に他人と意見を分けた時に上手く振舞えない不器用な人物がいるのもまた見所です。そんなままならない部分が顕著に出たのが今回のシナリオの肝であり、誰もが間違ってないのに誰もが不幸になれない歯がゆい部分を感じる事が出来ました。そしてそんな不器用な正確であるのならどのように解消すればいいのでしょうか。その答えは簡単でした。それはお互いに本音で語り合いそれでも足りなければ拳で語り合う事でした。結局は相手の気持ちを思いやるつもりが逆に誤解を生んでしまっており、それを正しい形に修正すれば何のことはありませんでした。全ての誤解が解け、加えてシーナを殺した張本人をレオン本人の手で殺す事が出来ましたので今後グレイス一族は蟠りなく本来の魔族らしく生活していくのだと思いますね。
という訳でどっぷりと魔族の世界に触れる事が出来た「DAGGER 有色の戦人」でした。魔族の戦いに対する真っ直ぐな考え方に加えて人間との接触も図る事が出来、色々な側面から魔族を知る事が出来ました。そしてその陰でしっかりと精霊族との繋がりも作る事が出来ました。森の礎、もしかしたらこのDAGGERシリーズの終着点は再び全ての種族が何のイザコザもなく生活できるようになる事なのかも知れませんね。後はシーナを殺したあの老人は性格は最悪でしたが実力は紛れもなく作中最強クラスでした。あんな実力者があと3人もいると思うと背筋が凍りますね。どのような形でシナリオに登場してくるのか今から楽しみです。ともかく全てのシナリオの基点はティストであり、今後も自信を成長させながら周りを巻き込んで良い流れを作ってくれると思っております。次回作を楽しみにしましょう。