M.M リズベルルの魔7完結篇




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
9 8 - 91 8〜9 2016/2/28
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フリーゲーム夢現



 この「リズベルルの魔7完結篇」は先に発売された「リズベルルの魔1+2」「リズベルルの魔3+4」及び「リズベルルの魔5+6」の続編となっております。その為レビューには「リズベルルの魔1+2」「リズベルルの魔3+4」及び「リズベルルの魔5+6」を含めたネタバレが含まれていますので、ネタバレを避けたい方は避難して下さい。

「リズベルルの魔1+2」のレビューはこちら
「リズベルルの魔3+4」のレビューはこちら
「リズベルルの魔5+6」のレビューはこちら

※このレビューにはネタバレしかありません。前作と本作の両方をプレイした方のみサポートしております。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。





















































































<今自分が住んでいるこの世界が、自分だけのエンダージェンになるよう私自身も努力していかなければいけないと思いました。>

 ……言葉にできないとはこういう事なのかも知れません。壮大な世界観、綿密に練られたシナリオ、愛着溢れるキャラクター、高クオリティな演出、どれを取っても一級品であり妥協がありませんでした。エンダージェンという世界で描かれた愛と勇気の物語、この物語はこれからも時代を超えて世代を超えて多くの人に読まれていくのだなと思っております。

 最後に虚無に飲まれた王を打つまでに用意された1週間、ここでそれぞれの登場人物が行ったことは自分の一番大切な人の元で心安らかに時間を過ごす事でした。誰もがエンダージェンの事を思っておりました。ですがそれだけではなく自分自身が生き延びてそして自分の大切な人が生きている、そうして初めてエンダージェンの未来は繋がっていくのです。犠牲の上に成り立つ幸せはとても尊いもの、ですがそれでは本当の意味で全員が幸せに離れません。自分と自分の大切な人がいない世界には意味がない。だからこそその人のために死ぬわけにはいかない。これが本当の強さであり信じる力でした。最後の決戦の前、全員がその事を確認しまさにエンダージェンが1つとなって立ち向かう準備が整いました。

 そんな最終決戦においてリズベルルの魔でありヴィルフォーナの乗り手であるジンには人一倍の期待が込められておりました。エンダージェンで誰一人犠牲を出さず高高度に存在する虚無の王を打つことが出来るのはヴィルフォーナのみ、この戦いは結論としてヴィルフォーナの成功に委ねられておりました。ですが、実はジンであろうとその他大勢いる名も無き戦士であろうと一般の住人であろうと、この戦いにおもむく気持ちは変わりありませんでしたね。誰も死んではならないのです。ジンが任務を無事こなしても他の誰かが死んでしまってはその人への悲しみが生まれてしまうのです。立場は違えど想いは同じ。その事をよく分かっているからこそ、ジンは気を負うことなく唯このエンダージェンを守りたいという純粋な想いのものに飛び立つことが出来ました。そんな何でもないどこにでもある力こそがデュオンでした。自分は一人ではない。誰かが思ってくれればそれだけで十分なのです。

 この完結篇でやっとの事でリズベルルとノルアードが結ばれました。本当にやっとですよ。ジンを始め作中の登場人物のみならず、イユレールや私達プレイヤーもまた同じ事を思ったと思います。最後までノルアードは格好が付かなかったですね。言ってしまえばフィオルドの告白に後押しされた形でした。彼の真っ直ぐな想いが2人に告白の決意をさせてくれました。ですが切っ掛けはなんにせよ想いを告げてしまえばもう後は突き進むだけでした。印象的なのはお互いの気持ちを確認し合った後、リズベルルの立ち絵が正面を向いている事ですね。これはボルダナと結ばれた後のネムリーも同じでした。2人とも無理をしていたんですね。自分の弱さを隠してただ目の前の戦いにおもむいて突き進むしかなかったんですね。ですがやっとの事で自分の本当の気持ちを告げる事が出来ました。もう射に構える必要はありません。真正面を向いて素直な気持ちを出しても受け止めてくれる存在が居るのです。素直におめでとう。お幸せにと思いました。

 虚無の王を倒し自分自身を受け止め、ようやく戦いは終わりました。ですが悠久の平和というものは決して有り得ません。平和とは多くの人の努力と想いによって作られるものです。そしてそれは今後世代を超えて永遠と続くものであり、途中で投げ出してはいけないものです。愛する娘のためにエンダージェンを離れた母ララベル。そして自分たちが生き残るために必死になってエンダージェンへと向かっていた地球の大船体。彼らの接近もまたそうしたエンダージェンの平和を脅かす存在のほんの一つであり、今後やってくる数々の試練の一つに過ぎないのです。平和とはただ漫然と構えていれば手に入るものではない。信念を持って未来へ向けて歩み続けることが出来るものの手にやってくるのです。

「人は運命では無く、ただ茫漠たる未来へと臨むべきだ。時に運命に抗う事になろうとも、想いはそれを越えていける」

 この作品の中で何度も語られた言葉です。全ての事象は勝手に決まるものではなく、想いと行動に基づいた結果で決まります。ジンがリズベルルと出会ったとき、もしジンが世界に絶望しヴィルフォーナに乗らなかったら、もしコトネに再開した時にそのまま地球に留まっていたら、もしフェアルージュ・メルディーノ・リィガイムでの出会いがなかったら、もしフィオルドと竜の試練に向かっていなかったら、この結末にはたどり着けなかったのです。そしてこれはジンだけではなく誰もがそうでした。全ての行動に無駄なことはなく、その結果が今のエンダージェンを作っているのです。これは奇跡でしょうか?運命でしょうか?そんな言葉一つで片付けられるでしょうか?そんな事はありませんね。この結末は全てエンダージェン皆のもの。だからこそ誇って良いですし、守っていく努力を欠いてはいけないんですね。

 そろそろ締めたいと思います。エンダージェンというファンタジーな世界設定は非常に綿密に練られておりプレイヤーを物語の中に引きずり込むのに十分でした。そしてリズベルルを始め全てのキャラクターが愛おしく心から応援したくなりました。シナリオを盛り上げるBGMも荘厳であり使い方も絶妙でした。そしてロボットを躍動的に見せる3DCGの技術は凄まじく、これこそリズベルルの魔らしさだと思いました。総プレイ時間30時間を越える超大作。それでいて全ての要素が伏線であり最後の最後に集約されている構成に唸りました。上でも書きましたがどれを取っても一級品。とても爽やかな気持ちになる事ができました。この物語に出会うことが出来てとても幸せでした。現実世界にエンダージェンはありませんが、今自分が住んでいるこの世界が自分だけのエンダージェンになるよう私自身も努力していかなければいけないと思いました。ありがとうございました。


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