M.M リズベルルの魔3+4




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
7 8 - 85 6〜7 2016/2/21
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体験版
フリーゲーム夢現



 この「リズベルルの魔3+4」は先に発売された「リズベルルの魔1+2」の続編となっております。その為レビューには「リズベルルの魔1+2」を含めたネタバレが含まれていますので、ネタバレを避けたい方は避難して下さい。

「リズベルルの魔1+2」のレビューはこちら

※このレビューにはネタバレしかありません。前作と本作の両方をプレイした方のみサポートしております。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。





















































































<相手を対等に見るという事は真心で相手の事を理解するという事であり、その上で相手を認め信頼する事。>

「壁を作らない、子供扱いしない、無理をする時は相談してくれ、対等な者同士」

 ノルアードがリズベルルに言った言葉です。今までどこか保護者的な立場でリズベルルの事を見守ってきたノルアードですが、目が見えるようになり、ジンと共にヴィルフォーナを扱い、そしてフェアルージュで沢山の出会いを経て目に見えて成長していくリズベルルを見てどこか寂しい気持ちがあったのだと思います。ですがお互いがお互いを信頼し愛している事に変わりはありません。ただ少しだけ立ち位置が変わっただけです。その事をノルアードがちゃんと認識する事で彼もまた1つ成長する事が出来ました。今回「リズベルルの魔3+4」をプレイして、人間はやはり人と接することで成長しそんな成長する姿を見てまた自身も成長するんだなと思いました。

 相手を対等な立場を捉える事って、実際のところ非常に難しい事だと思います。人って誰でも優越感に浸りたいですし自己顕示欲を持っております。その為どうしても他人に対して自分が優れているところをアピールしたいですし、その為に知らず知らずのうちに相手を見下してしまう事があります。またその逆もしかりで、劣等感を持っている人は自分の事を軽く捉えてしまいつねに相手に対して臆病になってしまいます。何が言いたいのかといいますと、相手を対等に見るという事は色眼鏡や偏見を除いて真心で相手の事を理解するという事であり、その上で相手を認め信頼することで初めて成り立つ関係であるということです。

 第三篇のメインキャラであるプランシューネはその持ち前の明るさで誰に対しても元気に振る舞い、足の怪我や自分自身への違和感についても前向きに捉えておりました。それでも自分には何も出来ないという気持ちがどこかに有りリズベルルやネムリーに対して一線を引いている印象がありました。それでも友達として仲良くしていく中で自分の事を心から大切に思うようになり、最後自分が既に死んでいる存在だという事が分かっても笑顔で送り出しました。そして彼女が最後に見た未来は友達が黒き獣の災いに対して果敢に立ち向かう姿。その姿に対して「がんばってよっ!!」と声をかける彼女から流れる決意の涙に心が震えました。この瞬間彼女もまた本当の意味で対等になったのではないかと思っております。

 第四篇のメインキャラであるフィオはもっと分かりやすかったですね。彼にとっては強くなることが全てであり、周りの人は信頼を置くものというよりも敵として見ている印象でした。とにかく疑って自分で推し量りたいという気持ちでしたね。ですがリズベルルやアルベル、そしてジンの剣の強さだけではない本当の強さというものを目の当たりにし少しずつ考えを改めていきました。最後竜の試練の直前でジンに背中を預けたフィオ、この時しっかりとジンの事を対等な立場として捉え信頼しておりました。彼はまだまだ若いですし沢山の時間があります。これからも多くの人と出会い剣の腕を磨くことで素晴らしい剣士になることが出来ると思っております。

 両者に共通しているのは新しい人との出会いがあって新しい価値観に触れ合えたという事です。人は自分の頭の中だけで考えてしまうとどうしても悪い悪い方向へと行ってしまい、中々自分の力だけで解決することは出来ません。そんな時に自分の悩みを話せる対等な存在が1人だけでもいれば全然状況は変わると思います。プランシューネもフィオも、もしもっと早くから父親と話をしていればまた違った人生だったかも知れませんね。ですが最後の最後で対等に話せる相手を見つけました。それだけで全然世界は違って見えました。プランシューネはもう遠くへ行ってしまいましたが、フィオは一回りも二回りも成長した姿を見せて欲しいですね。

 そして物語全体ですが、少しずつ作品の根幹に関わる伏線が見え隠れしてきました。プランシューネが最後に見た黒き獣の災いとは何なのでしょうか。仮面の使者の正体は誰なのでしょうか。エンダージェンの外側にこびり付いている機械とは何者なのでしょうか。そしてエイフォンが探しているディエナ写本とは何者なのでしょうか。折り返し地点に差し掛かったタイミングでこれだけの伏線が散らばっております。もっとあります。それでもきっと、リズベルルの素直な性格とジンの真っ直ぐな信念によって導かれるヴィルフォーナがきっと解決へ導いてくれる事と信じております。可愛らしいリズベルルの七変化に惚れ惚れしながら、また続きを楽しく読ませて頂こうと思っております。ありがとうございました。


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