M.M クラウンワークス虚実概論 4章




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
7 8 - 79 6〜7 2019/6/15
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 この「クラウンワークス虚実概論 4章」は前作である「クラウンワークス虚実概論 0章そして1章」「クラウンワークス虚実概論 2章」「クラウンワークス虚実概論 3章」の続編となっております。その為レビューには「クラウンワークス虚実概論 0章そして1章」「クラウンワークス虚実概論 2章」「クラウンワークス虚実概論 3章」のネタバレが含まれておりますので、ネタバレを視たくない方はご遠慮下さい。

「クラウンワークス虚実概論 0章そして1章」のレビューはこちら
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「クラウンワークス虚実概論 3章」のレビューはこちら

※このレビューには「クラウンワークス虚実概論 4章」のネタバレありしかありません。本作をプレイした方のみサポートしております。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。





















































































<余計な事は言わず、絶対に失ってはいけないものを持ち続ける事が、人生を生きる秘訣かも知れません。>

 心理学や脳科学の課題を「魔述」を駆使して解決するクラウンワークスシリーズの4章になります。それぞれの章で課題が与えられ、物語の流れの中でその課題を解決していく手法が特徴です。4章での課題は記憶の曖昧さと言葉の危うさ、それをストレートに表現したシナリオだったと思っております。

 4章では、全体的に巴の存在が光っていた気がします。八雲村での一連の出来事の中で、巴は自分の記憶が改ざんされている事に気付けませんでした。ですけど、気付く為のヒントをしっかりと張ってましたので見失う事はありませんでした。この作品に限らずですが、人の記憶という物はとても曖昧です。その時はしっかりと覚えたと思っていても、年月が経過すると不思議な事に忘れてしまうんですね。何かにメモをしても、気が付けばそのメモの場所すら忘れてしまう。そうやって何かを覚え何かを忘れていくのが、人間であり人生という物なのかも知れません。

 ましてや記憶を書き換えられた巴にとって、忘れる事は必然でした。どうしようもなく避けられない事だったのです。ですが、それでも巴は記憶を失う事はありませんでした。その理由は、根底にある想いと周りを繋ぐ方法を用意していたからです。根底にある想い、それは「私はマサムネを傷つけない」です。これが巴の情動に一番強く結びついた記憶であり、これが揺るがなかったからこそ巴は巴であり続ける事が出来ました。そしてその想いを繋ぐ方法として赤い糸を使っておりました。こういうところに、ちゃんとロマンティックな部分を入れてくるのがClosedCircleさんのズルいところですね。目の前にいる正宗のような存在は偽物である、何故なら今この赤い糸が引かれているから。やはり巴はみんなから愛されているなと感じました。

 そして4章の本題である言葉の危うさについてです。加々地家に閉じ込められていた文は言葉を発する事が出来ず、また手足を使わず張って移動する制約を課しておりました。ですが、これらは後天的な物であり文は元々歩く事も話す事も出来たのです。文が言葉を話す事も手足を使う事も行わなくなった理由、それは自分自身の情動を言葉にしない為でした。妬ましいと思う気持ち、それも言葉にしなければ相手に伝わる事はありません。また誰にも話してはいけない約束があったとしても、それを他人に話してしまう心配もありません。そのようにして自分を縛り制約を課した結果、文は【八ツ文の主】という手足のない蛇という形で存在しているのかなと思いました。

 クラウンワークス虚実概論 4章のパッケージに「語りえぬものについては 沈黙しなければならない」という言葉が書かれております。ウィトゲンシュタインの著書である「論理哲学論考」の七節に書かれている言葉です。私は、この言葉は人生を生きる上での真理の一つだと思っております。沈黙について、もっと私達はその大切さと言いますが意義を理解した方が良いと思います。言わなくても良い事は、言わなくていいのです。口を出して存在感を出す事が大切だという人もいますが、そんなものに何も価値はありません。それでも口を出したかったら、語りえる何かを用意するか語るだけの教養を身に着けるしかありません。余計な言葉は慎むべき、ある意味文の存在はその最たるものだったのかなと思っております。

 さて、物語はやはりサイファーを中心に動いていきそうです。クラウンワークスを失い正宗をプシケイとして向かい入れたサイファーですが、そもそも正宗がサイファーのクラウンワークスを奪ったとなれば話は違ってきます。【狩立てる赤】も【八ツ文の主】も居なくなった(サイファーに負けたから?)事で、どのようにここから5章に向かっていくのかが気になります。正宗・巴・サイファーを中心として、まだまだ先は長そうです。続きを楽しみにしております。


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