M.M クラウンワークス虚実概論 3章




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
7 8 - 78 4〜5 2018/4/30
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 この「クラウンワークス虚実概論 3章」は前作である「クラウンワークス虚実概論 0章そして1章」「クラウンワークス虚実概論 2章」の続編となっております。その為レビューには「クラウンワークス虚実概論 0章そして1章」「クラウンワークス虚実概論 2章」のネタバレが含まれておりますので、ネタバレを視たくない方はご遠慮下さい。

「クラウンワークス虚実概論 0章そして1章」のレビューはこちら
「クラウンワークス虚実概論 2章」のレビューはこちら

※このレビューには「クラウンワークス虚実概論 3章」のネタバレありしかありません。本作をプレイした方のみサポートしております。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。





















































































<言いたい事をちゃんと言える事、それがもしかしたらセロトニンを正しく分泌する方法なのかも知れません。>

 心理学や脳科学の課題を「魔述」を駆使して解決するクラウンワークスシリーズの3章になります。1章でPTSD、2章で乖離性障害と、それぞれ精神的疾患を扱ってきました。となれば3章でもそういった精神的疾患にスポットが当たるものだと思っておりましたが、どうも様相が違ってきました。むしろ、この3章で扱っている内容こそ普段現代社会で生きている私達に応用するべき内容ではないかと思いました。

 3章の副題として書かれているセロトニンという物質、これは脳内で分泌される神経伝達物質の一種です。一般的には脳を安定的な状態にすると言われ、ネガティブな心理状態を脱出し良い睡眠を得られる物として認識されております。ネットでセロトニンと検索するだけで、「どうやったらセロトニンを増やせるか?」といった記事がごまんと出て来ます。確かに、気分を明るくしたり痛みを和らげてくれる物質であれば、誰もが増やしたいと思いますよね。ですが、実際問題そう簡単にはいかずどうしてもストレスが溜まったりうつ状態になったしてしまうみたいです。やはり現代社会ではセロトニンを増やすのは難しいのでしょうか。いいえそんな事はありません。それを証明したのが、3章のメインとなっている人見七瀬でした。

 人見七瀬は良い子になりたいと思っておりました。良い子になるには、お父さんから認められる事が必要でした。母親を失っている七瀬には、もうお父さんしか自分を測るものが無かったのです。だからこそ七瀬は、良い子であるためにお父さんの言う事をよく聞きました。通学道路は危ないから家から学校までは一歩たりとも外を歩く事はありませんでした。お父さんがいない時は、世話係の双枝晴湖の言う事を忠実に聞いてました。それが人見七瀬の全てでした。それだけで彼女の世界は満たされ、常に良い子であり続ける事が出来たのです。

 ですが彼女の中には1つの願望がありました。それはいつか誰かが自分をこの塔から連れて行ってくれる存在が来ないだろうか、という事でした。1日窓を見ては来るはずのない王子様を待ち続ける日々。まるで1,700年前に実際に行われ今は絵本となっている「竜を巡るありふれた冒険」に登場するお姫様そのものです。ですが、そんな存在がいる筈がありません。たとえいたとしても、それは魔述といった非科学的な現象に他なりません。本当の意味で七瀬を外に連れて行ってくれる存在など、ありはしないのです。ですが、ここはクラウンワークスが存在する舞台です。魔述師も神も人間も普通に存在しております。何よりも、1,700年前に実際に登場した王子様が、すぐ傍にいたのです。

 元々好奇心旺盛な七瀬です。一度正宗達と一緒に廃墟の散策に行ったときなど、一番ワクワクしていました。逆に、その危うさがサイファーに見つかってしまいミルグラム実験に巻き込まれそうになりました。それ程でした。だからこそ、後は七瀬の気持ち次第でした。最後の屠竜剣 vs 正宗の戦い、その前に御前が「七瀬はどうしたい?」と聞いた時、ちゃんと七瀬は自分の意見を言えました。もっと言えば、父親である人見辰之輔も双枝晴湖もちゃんと七瀬の事を理解しておりました。言いたい事をちゃんと言える事、それがもしかしたらセロトニンを正しく分泌する方法なのかも知れません。

 あと本筋から外れますが、今回は御前の色々な姿が見れて満足でした。冒頭からいきなりミニスカウェイトレス姿ですからね。そこからアイスクリーム屋の様子や、ミルグラム実験を受けている様子、そして後半器具を繋いて戦っている様子、素直に可愛かったです。そしてちゃんと自分の意思を持ちサイファーや屠竜剣と戦う様子、凛々しかったです。そして改めてサイファーが神なんだなと認識しました。ミルグラム実験に没頭する様子、死を軽いものとして捉えている様子。永遠に正宗とサイファーの距離は縮まらないのかも知れません。それでも、たった1%の毒で至高を失ってしまうかも知れない。それが魔述の怖いところですね。続きを楽しみにしましょう。


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