M.M ゼロの使い魔 インプレッション


14、ゼロの使い魔外伝 〜タバサの冒険2〜

2008/12/3更新


 なるほど、タバサがスクウェアクラスの魔力を有する様になった理由が分かった気がしました。確かにいつもいつもこんな無茶な任務をこなしていれば否が応でも経験が増えて行くわけですが、それはタバサの秘めた思いが成せる事なのですね。という訳で「タバサの冒険2」の感想です。

 前作である「タバサの冒険」で十分にタバサの任務やシルフィードとの関係は分かりました。タバサがここまで完璧に任務をこなせるのは、タバサ一人の力だけではなくシルフィードとの連携があってこそです。そんな主人と使い魔の理想的な関係を見せてくれました。ですが、今作である「タバサの冒険2」はそれだけでは無かった気がしました。今作は前作以上に「人間の持つ思い」というものが全面に出ていた気がしました。

 タバサが行う任務はどれもが常識的に考えて困難なものばかりでした。とりわけ今作にある任務は前作以上に困難なものに思えました。そして、そんな困難な任務にはいつも苦しみや憎しみと言った強い「悲しみ」の感情が付きまとっていた気がしました。これが「欲」や「怒り」の感情に支配された物だったらそれ程困難な任務にはならなかったでしょう。なぜなら、欲や怒りの感情は増えこそすれいざとなった時に捨てる事が出来るからです。だからこそ最後の詰めの部分で爆発力に欠けてしまい、その点を突かれて簡単に敗退してしまうのです。しかし、悲しみの感情は決して消える事はありません。ましてやいざとなった時こそその思いは強くなり、それを排除しようとするものに対する抵抗力が増す訳です。今回タバサが関わった任務の中には、そういった悲しみが付きまとう物が多かったです。

 まずはタバサとギャンブラーですが、これは典型的な「欲」の感情による事件でした。確かに先住魔法を使うのはある意味反則と呼べるようなものでしたが、この一点に安心しきっていたギルモアはそれが敗退した瞬間に崩れてしまいました。悲しみが無いからいざという時の為にとことん備えることをサボってしまう、そんな典型的な事件だったと思いました。

 次にタバサとミノタウロスですが、これは悲しみの感情が大きく関わった事件でした。不治の病に冒されてしまったラスカルは望む望まないに関わらず寿命が短い運命でした。だからこそ最大限の力を発揮してミノタウロスへの転生を可能にしたのでしょう。そんなミノタウロスだからこそスクウェアクラスのタバサも苦戦します。最後は一瞬判断を誤れば死んでしまうような状況でした。あの点はタバサも言ってましたが一か八かの賭けだったのです。結果ラスカルは負けて死ぬことになりましたが、これは自身の持つ悲しみの大きさが運命を左右したのだと思います。悲しみという点ではタバサが一番です。全てを捨てたジョセフ王への復讐のため、任務に失敗する事は許されないのです。だからこそ、ミノタウロスに追い詰められても諦めず最後まで頑張れたのだと思います。

 次にシルフィードの一日でしたが、これは実に和やかな物語でしたね。純粋な思いは種族の壁なんて簡単に越えてしまうんだなと素直に感心しました。言いたい事はこれだけです。これだけで十分だと思います。

 次にタバサと極楽鳥ですが、これも欲の感情が関係した物語でした。リュリュの目的は世界中の美食を極め食に対して平等な世界を作る事でしたが、結局のところ自分自身に余裕があるため極限のところで甘えが出てしまいます。それが錬金の精度を落とし、極楽鳥のたまごを手に入れる事が出来ない原因でした。だからこそリュリュは極限への挑戦をした訳です。それは欲の感情を捨ててストイックになること、これによって錬金が成功したまごを手に入れる事が出来た訳です。欲の感情を題材にしながらそれを捨てる事に重きを置いた面白い物語だったと思います。

 最後にタバサと軍港ですが、この事件に吹き荒れる怒りとそれを上回る悲しみの感情は凄まじい物でした。これだけ悲しみの感情を持っているからこそ徹底的に隙を無くする事が出来る、自分のボロを消す事が出来る訳です。事実誰もがリュシーが犯人だという証拠を捕まえる事が出来ませんでした。ですが、これをタバサが達成できたのはそんなリュシーを上回る悲しみを持っていたからです。任務を成功させる事に命をかけているタバサだからこそ、普通の人にしたら見えない隙に気づけたのです。最後には自分以上の悲しみを持つタバサの思いに負け、リュシーは死を受け入れてしまいました。最後までどこかしこりの残る物語でした。

 という訳で、今作はより「人間の持つ思い」が強かった気がしました。そして、そんな人間の持つ思いの中でもタバサの持つ悲しみの思いは飛び切り大きい物でした。だからこそどこまでも本気になれるだからこそどこまでも命がけになれる、そんな悲しくも揺るがない真実を垣間見た気がしました。それでもタバサは一人ではありません。この時点ではタバサは気付いていないかもしれませんが、タバサには世話を焼いてくれる学院の仲間がいます、何よりも最愛の使い魔がいます。いつの日か、どこまでも深いタバサの悲しみが晴れる日が来る事を信じて止みませんね。


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