M.M ゼロの使い魔 インプレッション


8、ゼロの使い魔8 〜望郷の小夜曲〜

2008/12/3更新


 私、こういう幕間的な部分ってかなり好きなんです。アルビオンでの戦争が終わって物語が一つ落ち着いた大きなシナリオの展開のないこういった幕間的な部分が。とか言いながら、主人公とヒロインにとっては全く落ち着かないエピソードでしたけどね。という訳で「望郷の小夜曲」です。

 ようやく今回の話で才人とルイズはお互いがお互いをどう思っているかを確信しましたね。なぜ確信できたか、それは今まで様々なイベントや困難がありながらも2人は一心同体だった事、そしてそんな中で今回初めて決定的な離別という状況に陥った事が理由です。何しろ、この2人の間には絶対的な繋がりがあったわけですからね。それは主人と使い魔という繋がり、もっと言えば虚無とガンダールヴという繋がりです。で、今回はこの繋がりが完全に切れる訳です。こんな状況は今まで一度たりとも起こったことはありませんでした。

 で、やはり2人はこの状況に呑まれて一度は永遠の離別を誓います。才人は二度とルイズと会わないと決心し、ルイズは才人の居ない世界に別れを告げようとする(死のうとする)訳です。ここまで固い決心は何気に今まで無かった気がします。なにしろ、自分が一番好きな人との繋がりが失われた訳ですからね。失ってみて、それで決心した事です。中途半端なものであるはずがありません。その決心が周りから見てどんなに後向きなものであったとしても、当の本人等は真剣なのです。

 でも、叶わない願いと分かっていても仮にその願いがかなうならば、2人は再会を望んでいました。当り前です、好きな人に会いたくない筈がありません。だからこそ、自分の身近にいる人の真剣な思いに反応するのです。才人はデルブリンガー、ルイズはシエスタです。2人は完全に他人の言葉を遮断した訳ではありませんでした。99%再開を諦めていても、これが100%にならない限り会いたいという思いを捨てる事は出来ないのです。そして、会いたいという思いが少しでも残っていてその気持ちを最も身近にいる人から強く叩かれれば動き出すのです、再会のために。

 きっと、2人が虚無とガンダールヴという繋がりではなく心の奥底で繋がっていたからこそ2人は再会できたのだろうと思います。どんなに2人が再会を拒否したとしても、2人の思いが再会という運命を決定してしまったようです。なにしろ、ミョズニトニルンとの戦闘においての最大のピンチの時に2人は再会できたのですから。こんな運命的な再会、お互いがお互いを強く思っていなければ実現するはずがありません。最大のピンチの時に駆けつけてくれる、そして敵を倒してくれる、さすがはガンダールヴです。たとえ証が消えても、才人は永遠にルイズのガンダールヴです。今後この2人が自身の思い以外の要因で離れ離れになることは無いでしょう。死すら乗り越える才人とルイズの繋がり、感服しました。

 そんな中で秘かに登場したティファニアとミョズニトニルン、いずれも虚無に大きく関わる人物です。今まではまるで虚無に直接関係しているのは才人とルイズだけみたいでしたが、そんな根底がガラガラと音をたてて崩れてしまいました。なんと虚無の支えは4人いるようですね。そして、虚無の魔法を使う人物に至ってはまだ人数が分かっていません、4人とも限りませんね。今までは強大な敵であっても虚無がある種絶対的な力を持っていたのでそういう意味でフラグ的に勝ち戦ばかりでした。ですが、今後起こるであろう戦いは虚無と虚無の衝突です。これは面白い展開ですね、こんな重要な伏線をこんな密かに張ってくるなんて、実にニクい演出です。才人とルイズも思いを共有し無事再開した事ですし、今度は今までの路線でシナリオが進んでいくでしょう。楽しみです。

 ちなみに一度絶対的な別れを経験してから再び再会したところで2人の日常はさほど変化しそうに無いですね。2人とも頑固ですからね、こんな恥ずかしい気持ちを大っぴらに出来る筈が無いんです。まあ、こういうのはいざという時に出るからこそ価値のあるものだと思いますからね。そんな相変わらずの2人の物語です。まあ、これで2人の根底に流れる思いを確信出来ましたので今後はシナリオ展開に集中して読めそうです。何だかまとまりのない感想になってしまいましたが、とりあえず今回はこの辺で。


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