M.M ゼロの使い魔 インプレッション


3、ゼロの使い魔3 〜始祖の祈祷書〜

2008/4/26更新


 さて、いよいよ戦争が始まりました。ファンタジーの中で争い事は当り前のこと、その代名詞とも言える戦争が今回のメインでした。という訳で「ゼロの使い魔3 〜始祖の祈祷書〜」の感想です。

 なるほど、何となくですが大きな物語が動き出したという感じでしょうか。何故なら、ついに国単位の戦争が始まったからです。前巻で空に浮かぶ国「アルビオン」を制圧した「レコンキスタ」が、国間で結ばれた不可侵条約を破ってきたのです。今回は大型船一つとそれを取り囲む竜騎士隊との戦いでした。結果「トリステイン」が勝利しましたが、これはまだ戦争のホンの始まりを意味しているだけです。まだ「クロムウェル」も「ワルド」も健在です。これからどんな風に物語が展開していくか楽しみです。

 そして、いよいよ「虚無」の謎が解き放たれてきました。今まで殆ど謎の存在であった虚無でしたが、「クロムウェル」と「ルイズ」の二人がそれを匂わせる魔法を使いました。使者を蘇生させる力と全てを爆発させる力、流石ですね。まさに伝説の系統に相応しい能力です。ですが、こんな反則的な魔法が今後乱発されるとはとても思えません。こういうのは何らかの対価と引き換えに使えるものなのです。とりあえずは、ルイズの持っている力がようやく見えてきたという事だけで結構満足です。

 もう一つ解き放たれた事がありました。それは「ハルケギニア」と「地球」の関係です。今回は今まで以上にサイトが活躍するシーンがあった訳ですが、それの一躍を担ったのは「竜の羽衣」、正式名称は「ゼロ戦」でした。以前登場した「破壊の杖」と言い、やはり何人かこのハルケギニアに迷い込んだみたいですね。もしかしたら、ハルケギニアのどこかにサイトのように地球から迷い込んだ人と会えるかもしれませんね。まだ名前だけの登場である「ロバ・アル・カリイエ」と言う国もありますし、この辺りも今後注目していきたいです。

 そして、ここでもやはりルイズの気持ちの揺らぎが全面に出された内容でした。半分は恋心、もう半分は自分へのコンプレックスです。まずは恋心ですが、これはやはり脇役がいるからこそ盛り上がるのかもしれませんね。今回は特にシエスタの行動が目立ちましたが、脇役がサイトを引っ張るからこそルイズはサイトに嫉妬し、そして気持ちが大きくなるのです。いつまで経ってもお決まりの展開で進展しない二人ですが、この物語の主役はルイズとサイトです。他のキャラクターの行動も全てルイズとサイトの幸せの為のステップなのです。最後にはハッピーエンドになるように、他のキャラクターには是非是非二人を盛り上げて貰いたいと思います。

 そしてもう一つの気持ちの揺らぎである自分へのコンプレックスですが、ようやくルイズも陽の目を見れる時が来たという感じですかね。前にも書きましたが、このハルケギニアという世界は貴族も平民もそれぞれが「誇り」を持っている世界です。そして、貴族の象徴とされるのは魔法、つまり魔法の実力がそのまま貴族のランクに直結する訳です。だから、ルイズの持っている自分への魔法が使えないコンプレックスは私が想像する以上のものだったのではないでしょうか。そんなルイズが初めて魔法で活躍した訳です。他の誰よりも、まず第一にルイズ自身が驚いたことでしょう。自分の中に流れるリズム、そしてそれを調和して放つ感覚、これでようやく自分の中のコンプレックスから解放される時がくるのでしょうかね。

 と言う訳で、何か一つ大きな区切りがついた感じの流れでした。これからは国全体で何かが起こるというよりも、小規模の物語が展開されていく感じだと思います。まあ、ゆっくりとこのハルケギニアの世界を楽しみたいと思いますので、のんびりと時間を見つけて読んでいきたいと思います。


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