M.M ゼロの使い魔 インプレッション
2、ゼロの使い魔2 〜風のアルビオン〜
2008/4/4更新
なるほど、今回の物語は冒険ですか。やっぱりファンタジーには冒険は欠かせない要素ですね。という訳で「ゼロの使い魔 〜風のアルビオン〜」の感想です。
とりあえず前巻で異世界ハルケギニアの世界観を掴んだところで、いよいよ物語が動き出しました。それは、新しいキャラクターと新しい国の登場です。新しいキャラクター、ファンタジーにおいてこれ程物語を盛り上げる物は無いでしょう。ましてやそのキャラクターと一緒に冒険するのです。楽しくないはずがありません。そして、その冒険の目的地は新しい国、今まで登場しなかった未知の国です。もうファンタジー物としてのこれでもかという程の王道の展開ですね。
そして、そんな冒険の中で見え隠れする各キャラクター気持ちの揺らぎ、正確に言いますとルイズと才人の気持ちの揺らぎですが、冒険って途中にある物理的な障害が進行を止めるのではなく、こういった内部での気持ちの揺らぎによる障害が進行を止めるんですよね。どうして冒険にこういう障害がファンタジーには付き物なのか、それはそうしないと面白くないからです。目的を達成するために物理的な障害を乗り越える事はもちろん重要です。ですが、冒険を通してキャラクターが成長するためには、こうした心の障害を乗り越えなければいけないのです。心の障害を乗り越えるからこそ、本当の意味で冒険したなぁと実感出来るのです。
そして、今回の冒険における気持ちの揺らぎは恋心、具体的に言いますと新しく登場したカッコよくて強いキャラクターであるワルド伯爵とそこまで強くはない主人公である平賀才人の間で揺れる恋心です。焦りますよね、こういう展開。そして、物語はお約束の展開へと進みます、才人とルイズの決別です。やっぱり、こういった恋心が絡んでいる物語は一度テンションを落とさないと発展しないんですね。ワルド伯爵の力の前に絶望してルイズの傍を離れる才人、そして離れる事でルイズに対する本当の気持ちに気づく才人、そして自分の好きな女の子の為にリベンジする才人、そして勝利です。こんなありふれた展開の物語ですが、どうしてかこういう物語がいつまでも愛されているんですね。
そして、ファンタジー要素でもう一つ欠かせない要素があります。それは仲間の裏切りです。今まで信じてきた仲間が突如敵になる、ビックリしますよね。ましてやその裏切るキャラクターが重要な立場にいればいるほど、強ければ強いほどビックリしますよね。そして、今回は主人公が傍にいない状況での裏切りです。絶体絶命です。そして、絶対絶命の状況だからこそ帰ってくる主人公です。起死回生です。これだからファンタジーはやめられません。分かっている展開なのに、それを期待してしまう自分がここにいるんですね。とにかく、ありとあらゆるファンタジー的要素が上手く組み合わさった今巻、最後の最後まで王道的展開でしたがそれが故に十分楽しませて頂きました。
さて、それではここで具体的なシナリオについて思った事を書こうと思います。このあたりから、どうやらシナリオは国単位レベルへ発展しそうですね。反乱軍であるレコンキスタは、目的の全ては達成できなかったとしてもアルビオンを手に入れる事は出来た訳です。そして、ワルド伯爵も負けたとはいえ死んだ訳ではありません。またどこかでリベンジしてくると思います。そして、レコンキスタの目的に世界の統一の為のエルフの里の奪回とありますが、このエルフとやらはどんな力をもっているのか。などなど、後半に繋がる様々な伏線も登場しました。ゼロの使い魔は一巻通してまとまった話を展開するようです。次回はどんな話を紡いでくれるのかが楽しみです。
…ていうか、ルイズはやっぱり普通すぎる女の子ですね。見ててホノボノしますよ。