M.M ゼロの使い魔 インプレッション
16、ゼロの使い魔14 〜水都市の聖女〜
2008/12/3更新
うん、羨ましいですね。何が羨ましいって、ルイズと才人の絆の深さですよ。これは単に虚無とそのガンダールヴだからって言う事ではない気がします。という訳で「アクイレイアの聖女」の感想です。
という訳で前回の神のシナリオ展開から一日経ったハルケギニアですが、意外とオンディーヌのメンバーの反応は穏やかでしたね。てっきり才人がいなくなって徹底的にルイズを問い質すと思ったんですけどね。でも、これは決して否定的に捕えている訳ではありません。ギーシュをはじめオンディーヌのメンバーがそれだけ精神的に成長した事と才人との繋がりが非常に強いって事ですね。なのでシナリオ展開的には特に問題なく記念式典へと進む訳です。
ですが、穏やかでないのはやはり才人を元の世界へ返すと決心したルイズ本人でした。才人がいなくなって聖女としてハルケギニアの為にその身を捧げると決意したのに、頭の中は才人との思い出ばかり。本人も分かっていたでしょうが、こればっかりは正直に可哀そうですね。アンリエッタもティファニアも誰も口をはさめない雰囲気が漂ってました。それでもルイズはやはりハルケギニアの誇り高き貴族ですね。今のままでは聖女として役に立たないと悟ったことで自分の記憶すら犠牲にするのですから。今までのルイズだったらこれほどの決心は出来なかったでしょうね。いや、むしろ才人がいなくなったから唯ハルケギニアの為に身を捧げるしか考えられなくなったのかも知れませんね。とりあえずここでルイズの本気を垣間見ました。
そんなルイズだからこそ、才人との記憶を失った後は本当に生き生きしてましたね。何しろ聖女ですからね。ハルケギニアの貴族として育ってきたルイズにとってこれ程名誉な事はないでしょう。ここで重要なのは、才人との記憶が無いという事は才人との思い出だけでなく才人と触れ合う事で得た「慣習に囚われず自分の考えで行動する」という思考も失ったという事です。この時のルイズの中では貴族は絶対、身分は絶対、王女や国に服従する事も絶対という考え方でしょうね。そんなルイズがついに聖女ですよ。しかも自分一人の実食でここまで来れたと思っているルイズなので誰のセリフもルイズの耳には届かないでしょうね。そんなルイズだからこそ、この後起こるミョズニトニルンとの戦闘で真の絶望を味わう事となります。
虚無の力はガンダールヴとの信頼の力、少なくとも私はそう解釈していますがそれを知らないルイズは虚無について考える度に心がざわつくのでしょう。何しろルイズは一人で虚無を使えない訳ですからね。今までの事を思い返してどうやってルイズがここまで来れたのか知る筈もありません。どうやって目の前の敵を屠って来たかも知りません。だからこそ、ミョズニトニルンとの戦闘で自分一人の力ではどうしようもないと悟った時に真の絶望を味わい、同時に得体の知れない才人との絆を思い出すのです。
一方才人ですが、六千年前の事はともかくとして究極の選択に場面にあった訳です。それはこのままハルケギニアに留まるか地球に帰るかです。いや〜ジュリオも残酷な選択をするものですね。何しろ手を伸ばせば母親と約一年ぶりの再開を果たせるのですからね。それでもそんな究極の場面で自分の信じる道を突き進んだ才人は本当にカッコいいです。今まで夢だった地球への生還がまさに目の前にあるというのにそれを蹴ったのですからね。やはりそれもルイズへの思いが強すぎたのですね。
そんな場面で垣間見たジュリオとヴィットーリオの内心、それは自分の野望を果たすために他人の心理まで全て利用する狡猾さです。とりあえずこれでルイズを聖女としてロマリアに忠誠を誓わせ才人をその騎士として呼び戻す事に成功した訳です。しかもこれらが殆どシナリオ通りというのが怖いですね。ハッキリ言って彼らにとってルイズと才人の気持ちなんてどうでも良いのかもしれませんね。とにかく自分たちが描くシナリオ通りに動いてくれればそれで問題無いんでしょうね。今のところはルイズも才人も彼らの手のひらの中で踊っている感じですが、将来的にこの辺りに亀裂が入りそうですね。
そしてルイズと才人の再開ですね。展開としてはまあベタな感じですが、この程度がこの二人には丁度いいのかも知れませんね。それにしても、失った記憶を取り戻すなんてさすがは虚無とガンダールヴですね。やっぱりこの二人の持つ絆の強さは羨ましいです。結局は元通りですが、どの道ルイズは才人がいないと何も出来ないので話が進まないんですね。それでもルイズが聖女になった事に変わりはありません。これから聖地を取り戻す戦いに臨む訳です。果たして聖地を取り戻すのか、それでもヴィットーリオとジュリオのシナリオとは違う方向に行くのか、実に楽しみです。
そして私が一番感動したのは才人が母親にメールを出したところですね。今まで母親に何も出来なかったしジュリオの選択を蹴ったのでこれで当分地球とのコンタクトも出来ないのかと思っていましたが、こういう風に「アクイレイアの聖女」をしめてくれて正直嬉しかったですね。これは才人が地球に帰らない伏線ではありません、必ず地球に帰る伏線です。それまでは、とにかく悲しみを振り切って頑張ってほしいです。
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