M.M 涼宮ハルヒシリーズ インプレッション


5、涼宮ハルヒの暴走

2007/10/8更新


 いや〜、今回もどことなく長門有希がメインの様に感じた内容でしたね。という訳で、「涼宮ハルヒの暴走」の感想です。

 今回も「退屈」の様にいくつかの短編集という形でした。それも、夏、秋、冬、の三つの季節について比較的長めの短編集でした。なので、今回も読み切りのマンガを読んでいる感覚でかなり軽いテンションで読むことが出来ました。そして、「暴走」の名を冠するように話の内容も十分暴走していました。

 まずは「エンドレスエイト」ですが、もうこれは誰もが思ったことなのではないでしょうか。楽しい夏休みが終わってほしいはずがありません。涼宮ハルヒはある意味もっとも高校生らしい夏休みを送ったのではないかと思います。それにしても、記憶がリセットされれば確かにループには気づきませんよね。そうなると、もしかしたら現在私たちが一生は一度きりと思っているこの世界も、実は何万回もループしている世界だったりして…なんて事を思ってしまいました。そして、まさか涼宮ハルヒがやり残したことが「みんなで宿題をやる」だったなんて、私の予想を超える最高に高校生らしい終わり方でした。

 次に「射手座の日」ですが、これは完全に長門有希メインの話でしたね。キョンは長門有希が怒っていると思っているようでしたが、何よりも長門有希が「積極的」になっているという点で私としては十分に面白かったです。そして、涼宮ハルヒシリーズの中では比較的真っ当な話でしたね。「暴走」のタイトルでありながら涼宮ハルヒがここまで暴走しなかったのは初めてではなかったのではないでしょうか。まあ、その代りに長門有希が暴走してしまった訳ですが。そして、まさかこのときの長門有希の態度が「消失」の伏線だったとは、その辺りはさすが谷川流ですね。

 そして、今回の「暴走」の中で最も謎だったのがこの「雪山症候群」です。何しろこの話のオチが「夢オチ」などと言う谷川流らしくない終わり方でしたからね(といっても私は谷川流らしさなんて知りませんのであしからず)。でも、これに関しては絶対今後の涼宮ハルヒシリーズで答えが出されると信じています。そして、この雪山症候群は今まで読んだ中で一番伏線が多かった作品だと思っています。それを列挙すると、

♯ どうして長門有希の情報統合思念体としての能力が低下したのか(こればっかりは本当にびっくりした。まさかあの長門有希が…ね)?
♯ 「消失」の時にやり残した過去の修正との関係は?
♯ キョンが思い出せなかったファンタジー世界のような感覚の正体は何か?
♯ そもそもこの時空の歪んだ館は誰の意思で作られたのか?
♯ そして、鶴屋さんは何者なのか(どうして鶴屋さんは的確に涼宮ハルヒ、長門有希、朝比奈みくるの正体に気づいたのか)?

といった感じです。今後これらの疑問について答えが出るかは謎ですが、出来ることなら全部解決してほしいですね。で、こんな感じで伏線について頭を悩ましている中でまた涼宮ハルヒの可愛い部分が出てきました。それは、さりげなくキョンに長門有希との間柄について聞いていたことです。やっぱり涼宮ハルヒはキョンのことが気になって仕方がないんですね。二人きりになったことを良い事にこんなことを話し出すなんて、さすがは涼宮ハルヒですね。当初はこの雪山症候群の一連の現象の答えをこの「キョンに長門有希のことについて二人きりの時に聞きたい」という涼宮ハルヒの思いが原因だと思っていました。ですが、それは上記の疑問点があるのできっとハズレでしょうね。

 そして、最後にして今回私が最も言いたかったことを話そうと思います。それはずばり「キョンは何者なのか」という事です。今回の「暴走」だけに限った事ではありませんが、ハッキリいってキョンは普通の高校生とは思えないほどの洞察力と行動力、そして記憶力と第6感を持っています。長門有希の微妙な態度の変化に気づく事、状況に応じてピンポイントなまでに記憶を引きずり出すことができるという事、今まで何となく気にしないで読んで来ましたが、さすがにキョンにもなにかあると思ってしまいました。やっぱり涼宮ハルヒの周りに集まってくる人間は特殊な人間ばかりなのでしょうか。それとも唯私が考えすぎているだけなのでしょうか。まあ、殆ど期待しないで、それでも少しだけ期待して今後も読み進めてみようと思います。


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