M.M 涼宮ハルヒシリーズ インプレッション


3、涼宮ハルヒの退屈

2007/9/20更新


 それにしても、涼宮ハルヒの暴走を止めるために周りはこんなに大がかりな舞台を作って頑張ってるのに、当の涼宮ハルヒと言ったら…という訳で、「涼宮ハルヒの退屈」の感想です。

 今回は短編集という事で、ちまちまとした時間で読むことが出来ました。それでも、相変わらずの涼宮ハルヒワールドは健在でしたね。その中でも、特に「笹の葉ラプソディ」と「ミステリックサイン」はなかなか興味深かったです。

 まず「笹の葉ラプソディ」ですが、まさかここで「憂鬱」での伏線が回収されるとは思いませんでした。それは、キョンとハルヒが初めて意思疎通をした時のハルヒが言ったセリフである「あたし、あんたとどこかで会ったことがある?ずっと前に」の部分です。まさか、本当に3年前に会っているとは思いませんでしたね。ですが、ここでやはり1つ疑問に思う点もあります。それは朝比奈みくるの言っていたことに関係しているのですが、彼女の理論だと「時間は偏在していて、それぞれ別々の時空では相関がない」でした。つまり、キョンが今まで暮らしていた世界(憂鬱の世界)と3年前にタイムスリップした世界とでは根本的に違う世界ということになります。ですが、そんな中でも涼宮ハルヒがかつてキョンと会っていたという事実を覚えていたという事は、私にとっては結構謎です。まあ、既にキョンはその3年前の世界で3年間凍結していたので、既にこの段階で今までいた世界(憂鬱の世界)には戻れなくなった訳ですが。それと、大人版朝比奈みくるの行動も謎ですね。彼女に関しては、今後大きな伏線となって帰ってくると期待せざるをえませんね。

 次に「ミステリックサイン」ですが、これはもう本当に伏線の塊なんじゃないかって思うようなシナリオでした。カマドウマ型の情報生命体については長門有希の説明があるので省きますが、それ以上に気になったのが「長門有希の行動」と「喜緑江美里」の存在でした。まずは長門有希の行動についてですが、今回の彼女は特に謎でした。彼女の目的はあくまで「涼宮ハルヒの監視」のみだと思っていましたが、そう考えると今回の行動は本当に回りくどいです。「溜息」でみくるびーむを出したときは反射的にそれらの情報を洩らさまいと行動していましたが、今回のカマドウマによる何人かの人間がある種の閉鎖空間に閉じ込められたにも拘らず積極的に行動しませんでした。それは何故か。私の予想としては、本当に涼宮ハルヒだけにばれなければいいと思っているのではないでしょうか。だから、今回のカマドウマは涼宮ハルヒがいなくなってから行動を開始したのだと思います。もっとも、長門有希に他の意図があったとしても現段階ではよくわかりませんね。そして喜緑江美里についてですが、ずばり予想ですが、彼女も「長門有希」や「朝倉涼子」と同じ「情報統合思念体」なのではないでしょうか?でなければ、彼女が嘘をついてまでSOS団に頼みごとをするはずがありません。おそらく、朝倉涼子とは逆の気質を持った情報統合思念体だと思います。まあ、だとしてもその確証もありませんし、今後彼女が再登場するかも微妙ですので、結局は唯の予想で終わるのかもしれませんね。

 とまあずいぶん偏ったレビューになりそうですが、短編集なのにどことなく心に残る話ばかりでしたよ、ホント。他2つの「涼宮ハルヒの退屈」と「孤島症候群」は、まさに涼宮ハルヒを「退屈」させないための「古泉一樹」の陰ながらの努力の話でしたしね。普通に推理物としても面白かったです。とにかく、涼宮ハルヒはどれだけ自分が気を使われているかを少しは自覚すべきでしょうな(あ、それじゃあ世界が終わるからダメか)。


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