M.M よくわかる現代魔法 インプレッション


5、よくわかる現代魔法 5

2010/1/5更新


 ようやく「魔女のライブラリ編」完結です。今までの話が全て繋がっていたんですね。現代魔法が最も効果を発揮する街、秋葉原で繰り広げられた戦いは今までのどれにもない要素を含んだ物でした。という訳で「よくわかる現代魔法5 たったひとつじゃない冴えたやりかた」の感想です。

 今回の内容で一番感心した事は、登場人物全員が協力してジギタリスの暴走を封じ込めた点です。アミュレットを渡されて精一杯考えて最善の行動をした嘉穂、自分の行為を受け入れてそれでも前に進もうとした弓子、最悪のケースに備えて非常コードを用意した美鎖、何が出来るか分からないけど今自分が出来る最大限の事をやろうとしたこよみ。そして、今回最も注目すべきなのは、いつも魔法を否定して姉を否定していた聡史郎です。

 聡史郎は基本的に魔法を信じていません。そして、そんな魔法の事ばかり考えているような姉の美鎖の事も好いてはいませんでした。正直なところ、今回の事件でも自分には関係ないとして無視すると決め込んでいるふしがありました。それでも、やっぱり兄弟は兄弟でしたね。基本的に嫌っていても心の奥底ではちゃんと繋がっていたのですね。それがはっきりと分かるのが、例の引き出しを開けられたと判明した時です。

 あの中には、自分がまだ幼かった時の姉に対する気持ちが込められています。そして、誰にも秘密にしていて封印していた場所でもあります。そんな場所が暴かれれば、それは誰だって怒るに決まっています。ましてや、このときは姉が行方不明でありいつもとは違った雰囲気が周りに溢れていました。魔法は信じてなくても、さすがに何か危ない事が起きている事は察する事が出来たのでしょう。という訳で、いつものメンバー全員が電気の街秋葉原に集合した訳です。

 それにしても、聡史郎の能力はこれまた凄いものがありますね。まさか聡史郎が魔法使い殺しだったとはですね。美鎖がそこまで計算したかどうかは分かりませんが、とにかくあらゆる魔法を打ち消す聡史郎とあらゆるコードをたらいに変換できるこよみの2人がそろえば、流石のギバルテスも何も出来ないというものです。

 それでも魔女のライブラリの中に眠っていたジギリタスはさすがでした。まさかギバルテスを一瞬で消し去ってしまうとは。そして、この魔女のライブラリに込められた呪いは強力な物でした。まさかクリスティーナ家の一族に代々取りついているのですから。ジギリタスの呪いは決して消える事がありません。ここで例え弓子を殺しても再び転生していつか姿を現します。これを打破する方法、それを実行するために美鎖はゴーストスクリプトになってジギリタスと共に異世界に引きずり込む道を選んだのです。これが「たったひとつじゃない冴えたやりかた」です。

 まあ、結局のところそれもこよみの思いによって果たされなかったのですけどね。結局はジギリタスは弓子の中に留まり、美鎖は死にぞこないでした。いつもの日常が戻って来たのです。それでもこの時の出来事は皆の心の中に残り、確かな絆となって刻まれているのだと思います。とりあえず、相変わらずこよみはたらいしか召喚できなくて、聡史郎は美鎖にふりまわされる日常はずっと続きます。


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