M.M 赤ノ反照-縁-
この「赤ノ反照-縁-」は先に発売された「赤ノ反照」「赤ノ反照-戒-」のファンディスクとなっております。その為レビューには「赤ノ反照」「赤ノ反照-戒-」を含めたネタバレが含まれていますので、ネタバレを避けたい方は避難して下さい。
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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。
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シナリオ | BGM | 主題歌 | 総合 | プレイ時間 | 公開年月日 |
5 | 7 | - | B | 〜1 | 2017/6/20 |
作品ページ(無し) | サークルページ |
<どうして誰も、亜沙奈の寂しさに気付けなかったのでしょうかね。>
思うに、一番の悲劇は亜沙奈が両親を殺す事に「成功」してしまった事だと思うんですよね。純粋無垢な幼少時代、自分の相手をしてくれない両親よりも「おともだち」になってくれる和真の事を信頼してしまうのは当然の事です。そしてそんな和真に二度と合わせないと言った両親を恨む気持ちも分からなくはありません。ですが、現実としてその両親を殺す事に成功してしまった事で、その後亜沙奈は自分の暗い感情を抑えられなくなってしまったのではないでしょうか。そんな、亜沙奈がヤンデレになるルーツを見る事が出来ました。
Chapter.03で、芦屋警部は「なんで犯罪が無くならないんだろう」と呟いておりました。何でもない呟き、別に本当に犯罪を0に出来ると思っての発言では無いと思います。芦屋警部は知っているんですね、犯罪というものは何でもない日常からポッと出てしまうという事に。そしてその理由もまた、誰もが気づかないほんの些細なすれ違いから出てしまう事に。理屈ではありません。日高警部補は理論的に犯罪捜査を行っておりましたが、それは状況証拠や物的証拠のみに頼ったものであり人間の気持ちというものについて蔑ろにしておりました。ですが、実際のところ状況証拠や物的証拠が出るという状況はもうとっくに取り返しのつかない状況です。芦屋警部は、そんな取り返しのつかない状況になる前に気付くんですね。そこに気づけば、日高警部補も一歩成長できるんでしょうか。
そして亜沙奈。この子の孤独に一体何人の人が気づいていたのでしょうか。実際のところ亜沙奈のおじいさんしか気づいていなかったと思います。そして不幸にもおじいさんには亜沙奈を救う力は無かったのです。仕事が忙しく亜沙奈に目をかけれなかった両親。ですが決して亜沙奈の事を嫌いという事では無かったのです。亜沙奈の為に仕事を頑張る、亜沙奈は敏い子だから自分達が遊ばなくても大丈夫。そんな思い込みがあったのだと思います。ですがそうではありませんでした。ただ、亜沙奈は両親と一緒に遊べたらそれで良かったんですね。そんな些細な願いすら叶えられず、それどころか見知らぬ男にレイプされそうになり、ますます人間不信になってしまいました。そんな亜沙奈の目の前に現れたのが、ヒーローカズマだったのです。
ジャングルジムで遊び墜落してしまった亜沙奈。両親はその責任をすべて和真に押し付け決して顔を合わせないと決めつけました。そこには家柄とか、子供達には全く関係ない事柄も含んでおりました。おじいさんの言葉にも耳を貸さず、ただ自分達が正しいと思って行動しました。両親に訴えても、おじいさんに頼んでも何も変わらない。そうであるなら、両親が居なくなってしまえばいい。幼い亜沙奈の発想は恐ろしいものでしたが、ただ純粋に和真に会いたいという願いだけが突き動かしておりました。そして運命の日。両親を自分の計画どおりに殺せてしまい、この事がより和真への執着心を加速させてしまいました。ここでもし両親をホームに落とす事が出来なかったら、いやそうだとしても今度は両親は亜沙奈にどう向き合えば良いのでしょうか?憎悪の種が生まれてしまったら、もうそれで取り返しがつかないのでしょうか。
中学に進学し、ますます和真への依存が深まっていきました。それは和真を傷つける存在は誰であろうとも許さないと思う程に。和真に恐喝した不良も、まさか年下の女の子にここまで暴力を振るわれるとは思ってもみなかったと思います。ペンチで前歯を折られる、ナイフで舌を裂かれる、それを躊躇なくやってしまう存在が同じ学校にいるのです。それは登校拒否にもなります。歪んだ和真への愛は、すっかり花咲いてしまってました。そして本編へと受け継がれ、そこから未来へと話がつながっていきます。黒々とした反照は消えることなく、何処へ向かうのでしょか。続きが楽しみです。