M.M 蜉蝣-幕外編-


 この「蜉蝣-幕外編-」は先に発売された「蜉蝣」の続きとなっております。その為レビューには「蜉蝣-前編-」及び「蜉蝣」を含めたネタバレが含まれていますので、ネタバレを避けたい方は避難して下さい。

・「蜉蝣-前編-」のレビューはこちら
・「蜉蝣」のレビューはこちら

※このレビューにはネタバレしかありません。前作と本作の両方をプレイした方のみサポートしております。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。























































































シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
8 7 7 A 2〜3 2015/1/2
作品ページ サークルページ



<人は、誰もが自分の還る場所を見つける為に生きているのかも知れません>

 征治は本当に多くの人に影響を与えたのですね。アンジェリカや結那、村の住人、そして十波改め時雨と全ての人が征治によって自身の生き方を考えさせられました。そしてそんな征治は皆の心に残り続け必ず無事でいてほしい存在になってました。ですがそれは征治も同じでした。自分が関わってきた人々全ての身を案じており、早くあの村へ帰りたいと願ってました。誰もが征治を案じ、征治も皆を案じてました。そしてお互いがお互いの還る場所になっていたのですね。

 まずは晩秋の海風ですが、これはひとえに結那カワイイで良いんじゃないかと思いました。征治が帰ってきてまた4人で笑い合う日常に戻れた一コマの風景です。辛い出来事もありましたが、そんな中で結那は終生の友人を見つける事が出来ました。不安に思うこともあるでしょうが、そんな心配は不要ですね。印象に残ったセリフは「生きていれば、こそ…お互い怒ったり誤ったりできる」でした。やっぱり生きている事が大切ですね。人は生きているだけで意味があるのだと思います。そんな慎ましい幸せがこの先ずっと続くことを願いますね。牛鍋を食べてあんなに幸せな顔をする結那を悲しませる事だけは許しませんね!

 そして実質のメインシナリオとなる曼珠沙華ですが、比較的長い時間を掛けて征治が戦争に向かった後の物語が語られておりました。それは征治のみならず村に残ったアンジェリカや結那、そして死んだかと思われた十波など全ての人物についてでした。不思議なめぐり合わせですね。全ての人物があの村に集合してました。偶然にも思える出来事ですが、これは必然です。ジェイルも話してましたが、この再開は誰もがそれを望んだから実現したのだと思います。誰もが征治を求め、征治はあの村を求めたのです。始めは文明に取り残され閉鎖的な村でしたが、いつの間にか誰にとってもかけがえのない還る場所へと変わっておりました。

 還る場所があるという事はとても安心できて幸せな事だと思います。皆さんにとって還る場所はどこでしょうか?きっとそこには信頼できる友人や愛すべき家族が居るのだと思います。どんなに失敗しても取り返しのつかない過ちをしてもそれら全てを許してくれる場所がある、そんな安息の地を見つける事がもしかしたら生きる意味なのかも知れません。征治は再び自分の信念に従って戦争へと向かいますが、戦地で頭に浮かぶのはアンジェリカや結那、村の人々の顔でした。アンジェリカにとって村はかけがえのない場所になってましたが、それは同時に征治が帰ってくる場所であるからでした。十波は全てを失いましたが、最後に浮かんだのは友である征治の顔でした。それぞれの還る場所がいつの間にか決まっていたのですね。後は、その帰る場所へと歩みを進めるだけでした。

 十波にとって新たに貰った時雨という名前と村での生活はそう時間もかからず還る場所になるのだと思います。織部は東京で忌み嫌われる屈辱を味わいましたが、少しでも心を許せる簸野郡へ帰ってきました。ジェイルもイギリスにいる妻の元が還る場所なのでしょうね。エンディング直前、この世界は混沌としていて万華鏡のようだと語ってました。キラキラして眩しくて、自分がどこにいるのか分からなくなってしまいそうですが、だからこそ還る場所が必要なのだと思いました。征治が見つけたアンジェリカという還る場所、もう絶対に手放してはいけませんね。同時にアンジェリカも二度と征治を放してはいけませんね。ようやく辿り着いた還る場所です。この大切な還る場所を守りながら、末永く幸せに過ごして欲しいと思いました。


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