M.M GreenGrass




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
4 7 - A 1〜2 2019/9/4
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 この「GreenGrass」は、前作である「TEAD」のサイドストーリー集となっております。また同サークルさんの作品である「+ 冬のぬくもり +」との関連もあります。その為レビューには「TEAD」及び「+ 冬のぬくもり +」のネタバレが含まれておりますので、ネタバレを視たくない方はご遠慮下さい。またネタバレ無しのレビューについては「TEAD」及び「+ 冬のぬくもり +」のレビューを参照下さい

「TEAD」のレビューはこちら
「+ 冬のぬくもり +」のレビューはこちら

※このレビューには「TEAD」及び「+ 冬のぬくもり +」のネタバレありしかありません。本作をプレイした方のみサポートしております。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。





















































































<GreenGrassが似合う雰囲気となりました。ここから先は、彼らが自分達だけの幸せを掴んでいくだけですね。>

 いや〜全てのエピソードを読み終わってビックリしましたよ。まさかあのジードとディルの過去話が生まれる切っ掛けに自分が噛んでいたなんて思いもしませんでした。「+ 冬のぬくもり +」で表現していた死生観、その象徴とも言えるジードの生い立ちを読む事が出来てそれだけで嬉しかったです。

 国と仲間の為に戦い、その中で友情と愛を見つけ幸せのあり方を探していく「TEAD」、そしてその「TEAD」と同じ世界を共有し、死生観を表現しながら恋を紡いでいく「+ 冬のぬくもり +」、それぞれの作品における登場人物の色々な顔を拝見する事が出来ました。おなじエク・ダパーセという舞台でありながら殆ど関りがないと思っていた両作品でしたが、このような形でクロスオーバーし関係性を持っているとは思いませんでした。エゼノスとヴィサークの何気ない会話や、ディルとジードの生い立ちなど、繋がっていないと思っていたものが繋がっているという描写は結構好きだったりします。また一つ、この作品の世界観を深く知る事が出来ました。

 基本的には後日談やちょっとしたエピソードの集合でしたので、懐かしく思い出す気持ちでプレイしておりました。そういえばディルはこんな感じの女性だったなとか、プレイしながら「TEAD」の世界観を思い出していきました。あとがきでもありましたが、本当にエゼノスのエピソードが多かったですね。過去も未来も含めて、色々な顔を見る事が出来ました。個人的には、ディルが槍兵として入隊したばかりのエピソードが印象的でした。誰にも相手にされないディルと、その事でイラつくディルに対して恐怖心を覚えるアルスの対比に驚きました。幼馴染とはいえ、始めからずっと仲が良かった訳ではなかったんだなと分かってある意味ホッとしました。

 また、作中でディルが言った「裏切られたときに耐えるための精神力を保持していないと人を信じることは出来ない」には酷く共感しました。私もそうなのですが、何か人に対してお願いをする時は何を言われても動じないとそれなりの覚悟を決めて行動します。まあ、その覚悟という物も結局は自分の希望が通らなかった時に心を乱さない為の防衛策なんですけどね。付け焼刃みたいなものですので、実際あまり意味を成しておりません。要は、予防線という事です。そういう意味で、人を信じるという事は本当に尊い事でありエネルギーが必要な事だと思っております。自分も相手も、信じて欲しいと思う人に対しては信じているよとアピールする事が大切なのかなと思いました。

 ジードについては、何も悪い事をしていないと分かって本当に安心しました。結局のところ、ディルは許してましたからね。ただ、事実としてディルの父親は毒矢で死んでしまいましたしその事が帳消しになる事はありません。その事に捉われた結果が、あの「+ 冬のぬくもり +」でのジードだったのかなと思っております。後は、自分の気持ち次第ですね。少なくともジードの周りに悪人はいませんでしたので、また昔の様に無邪気な姿を見せてくれる事を祈っております。

 GreenGrassとは、直訳すれば緑の草です。よくよく思い返してみれば、「TEAD」でも「+ 冬のぬくもり +」でも緑の草の印象はありません。それぞれの物語が終わり登場人物達の気持ちに区切りがついた事で、やっと緑の草が生い茂る季節になる事が出来たのかも知れません。直接的にはディルとジードが遊んだあの草原の事かも知れませんが、他のエピソードも緑の草のイメージがしっくりくるものが多かったと思っております。これにて、やっとエク・ダパーセで繰り広げられた男女の物語が収まりました。後は、彼らの幸福な未来を陰ながら祈るだけですね。是非自分達の目指す幸せを掴んで欲しいと思いました。ありがとうございました。


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