M.M 紅 〜醜悪祭(下)〜 インプレッション


4、紅 〜醜悪祭(下)〜

2011/5/7更新


 という訳でいよいよ最終決戦です。相手は悪宇商会最強の≪孤人要塞≫星噛絶奈です。これまで戦ってきた≪鉄腕≫、≪ビッグフット≫、≪ギロチン≫とは次元の違う強さを誇っています。果たして真九郎は勝てたのか、そして紫との運命はいかに、という訳で「紅〜醜悪祭〜(下)」の感想です。

 これまでの事で、真九郎は悪宇商会の中でブラックリストに載っていました。まあそうでしょうね。いずれも悪宇商会の中でも名のある戦闘屋を倒してきたのですからね。そういう意味で、今回≪孤人要塞≫に捕まってしまったが最後、結局は逃れられず戦う運命だったのかも知れません。それは揉め事処理屋をやると決めた時からいつかは遭遇するであろう事象、そのタイミングが多少早かっただけの事です。ましてや≪孤人要塞≫は悪宇商会の最高顧問、これに勝利すれば完全に悪宇商会の手を退くことが出来ます。

 ですが、今回闘う理由は紫や自分のためだけではありません。自分を頼ってくれた瀬川静之の以来、殺された姉の無念を晴らす意味も持っています。そして何より、自分が最も尊敬する人物である「柔沢紅香」の仇討もあります。そう意味で、今回の戦いには様々な人の思いが込められている訳です。

 それでも、真九郎に力を与えてくれるのはやはり紫の存在でした。自分を純粋に信じてくれる存在がある。これはとっても心強い事です。これまで紫と接してきてその事を十分肌で感じてきたと思います。紫との絆と崩月の力、この二つがあれば大抵の事は乗り越えられます。

 さて、結局のところ柔沢紅香はどうなったのでしょうかね。KILLING FLOORには紅香の側近である犬塚弥生の姿もありました。これは本当に紅香が殺されてその復讐にやってきたということなのでしょうか。それでしたら、果たしてこの紅という物語において柔沢紅香という存在はどの程度意味を持つもんだったのでしょうね。せめて、最終巻という事で紅香と真九郎もしくは≪孤人要塞≫との対決なんかも見たかった気がします。

 とにかく、この物語の結末は読者の手に委ねられました。このまま真九郎が勝つのか負けるのか、そもそも柔沢紅香が生きているのか死んでいるのか、それを決めるのは私達です。とりあえずこの物語の主軸は真九郎と紫が作り出す世界、それを感じ取れただけで十分だと思っています。とりあえずこんな感じで。


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