M.M よくわかる現代魔法 インプレッション


1、よくわかる現代魔法 1

2010/1/5更新


 …面白い。これは実に面白い設定でした。魔法というテーマの中に溢れる現代社会の必須アイテムであるネットワーク、この組み合わせは新しいと思いました。そんな訳で「よくわかる現代魔法1 new edition」の感想です。

 この物語の中に溢れているのはとにかくネットワークとプログラミングの考え方です。魔法は何も特別なものではない、自分が行いたい魔法はコードを組む事で実現可能なものです。ですが、それが故に魔法を使えるようになるためにはプログラミングを理解しなければいけない、そんな世界です。これ、殆ど現代社会と同じですね。現代社会に魔法なんてものは存在しません。それでも、人々は今まで手作業で行ってきた事を、蒸気機関、電気、そしてコンピュータを使う事でより効率を上げてきました。魔法もそれと同じ、ということです。

 ただ、現代社会と現代魔法の違いは、やはり魔法の素質だと思います。確かにコードを組めば魔法は使えると言っています。ですが、それはあくまで魔法を使える素質があるものがコードという分かりやすいものを利用したに過ぎません。イメージですが、体の中に流れる情報のようなものを感じ取れるものだけが魔法を使う事が出来るのです。現代魔法では、その体の中に流れる情報をコード化しただけです。基本的に古典魔法も現代魔法も変わらないのです。要は素質だと思いました。

 さて、それではキャラクターについてみてみようと思います。とにかくこの作品のキャラクターはずいぶんとずるい特徴を持ってますね。ドジっ子ロリな高校生、無口でPCマニアな委員長、高飛車で巨乳な古典魔法使い、そしてセクシーな現代魔法使い、とにかく殆どすべての属性を兼ねそろえています。そして、それらが絶妙なバランスを持って物語を進めています。これは読んでいて飽きませんね。口調も雰囲気も違うキャラクターばかりなので今どのキャラクターば話しているかもすぐに分かります。この物語は場面転換も多く唐突なので、この辺りはシナリオの理解を大きく助けてくれます。

 ですが、この物語を楽しめる人は実はそうはいないのではないかと思っています。なぜなら、プログラミングやコンピュータ言語を理解していないと分からないような用語が多く出てくるからです。何も分からないま読み進めてしまって、気づいたら解決していたなんて落ちになりがちです。そういう意味で、ある程度のコンピュータの知識が必要かもしれません。

 それでも、物語の流れや結論はハッキリしていますので一つ一つの細かい事象の理解を無視すれば十分流れを理解する事は出来ると思います。そして、正直読み終わってそれだけでも十分な気がしてきました。別にコンピュータ言語がもろに出てくる訳ではありません。コードを読ませる訳でもありません。これを行うのは登場人物であり、我々はその結果のみを見ていればいいのです。

 とにかくまだ始まったばかりです。ようやく森下こよみが姉原美鎖の弟子になったばかりです。これから魔法にまつわる様々な事件が起こると思いますが、こよみだったら何とかなると思います。なぜなら、彼女は人一倍まじめで人一倍一生懸命で、とんでもない能力を持っているのですから。


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