M.M 幽霊少女室




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
4 5 - 66 1〜2 2018/2/14
作品ページ サークルページ



<キャラクターの魅力がシナリオを推し進めていく見本の様な作品です。>

 この「幽霊少女室」は同人ゲームサークルである「Meim」で制作されたビジュアルノベルです。Meimさんの作品は過去に「BLOOD NOTE EPISODE1」という作品をプレイさせて頂きました(レビューはこちらからどうぞ)。西洋ファンタジーの魅力に溢れ、何よりもメインヒロインのおてんばで高貴な性格が大変お気に入りでした。物語は登場人物のキャラクターが動かす、それを体現しているかのような作品です。是非完結して頂きたいですね。今回レビューしている「幽霊少女室」もまた、キャラクターが魅力の作品です。パッケージの正面には宙に浮いて胡座をかいてドヤ顔している幽霊の女の子が写っております。この女の子が果たしてどんな悪さをするのか、そんな事を想像しながらプレイし始めました。

 主人公である寺生稀(読み方はテラウマレ)は今年大学へ進学する事になった女の子です。彼女の実家はその名の通り寺です。しかも超がつく程ど田舎の寺です。そんな彼女が大学に進学する為に、この度都会に出る事になりました。生まれて初めてレベルで電車に乗り都会のビル群に触れる稀は不安でいっぱいです。しかも、稀は超がつく程口下手です。慣れない土地で初めての環境、友達が出来るかすら不安に思っておりました。そんな彼女が住む事になったのは「白山荘」というこれまた超がつく程オンボロなアパートの203号室。そして、この部屋では何人もの居住者が行方をくらましているのです。それは何故でしょうか。そして稀の大学人生はどうなるのでしょうか。口下手な女の子と幽霊少女の、ちょっとおかしくて奇妙な同棲生活が幕を開けるのです。

 この作品の魅力は言わずもがな、主人公である寺生稀と幽霊少女である「古崎ゆいか」を始めとした登場人物たちのキャラクターです。稀の超がつく程口下手な性格は「こいつ今までどうやって生きてきたんだ?」と思うほどです。それが故にやや後ろ向きな性格でもありますが、意外と割り切るところは割り切るなど腹の座った一面を見せてくれます。そして、今まで百選連勝だった幽霊少女のゆいかにとってこの稀という存在が初めての難敵になるのです。今までの自分の常識が通用しない、さてどうしてくれようか?そんな風に悩むゆいかの様子もまた楽しいです。まさにMeimさんらしいキャラクターの魅力に溢れた作品となっております。

 1点注意があります。この作品は「Light.vn」と呼ばれるエンジンを使っているのですが、私の場合何故か一定時間プレイすると動作が停止してしまいます。色々調べてみますと、プレイを続けていく中で使用メモリが増え続けオーバーフローしていまうようです。Meimさんに報告し色々と対処して頂きましたが改善する事はなく、最終的に5〜10分に一回再起動しながら最後まで進めました。こんな症状はきっと私だけだと思いますが、もし同様の症状が出る方がおりましたら、是非公式HPから軽量化パッチをダウンロードし充ててからプレイしてみて下さい。それでも改善しなければ、地味に進めるしかないですね。

 プレイ時間は私で1時間25分くらいでした。この作品にはもう一つ特徴がありまして、プレイ時間に対してエンディングが多いです。言ってしまえば、だいたい死んでしまいます。ですが難易度が高いかと言われれば決してそんな事はなく、登場人物の性格とその場の雰囲気を掴めば何となく回避できると思います。むしろ、積極的に死にに行っても良いかも知れませんね。割と予想通りのエンディングを迎えることが出来ると思います。是非全てのエンディングをコンプリートするつもりでプレイしてみて下さい。選択肢を選んだ数だけ、そしてたどり着いたエンディングの数だけキャラクターが光る作品だと思いました。


→Game Review
→Main


以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。








































<「ただいま」と言ったら「おかえり」と帰ってくる。こんな生活も悪くない。>

 プレイすればする程登場人物達の魅力が増してくる、そして新しい発見がどんどん生まれてくる、この感覚に本当驚かされます。唯のクソガキだと思っていたゆいかがメッチャツンデレだったり、優しい性格だと思っていた由水さんがメッチャヤンデレだったり、そして口下手でも何だかんだで1人で生きていけるのかなと思っていた稀がメッチャ相手思いだったり、これ程プレイ前と後で登場人物の印象が変わる作品はありませんね。

 前半はとにかく稀がゆいかをあしらう様子が面白かったです。ゆいかの存在が見えている稀にとって、ゆいかが仕掛けるイタズラを回避するなど造作もない事です。そして、いざとなったら「破あっ!」って吹き飛ばせば良いんですからね。これには流石のゆいかもいじけますね。悟りの気持ちも浮かぶというものです。そんな感じで、何だかんだで稀とゆいかのイタチごっこみたいな生活が楽しかったです。

 ですが、そこに由水さんが関わることで関係が変わってきました。稀にとって唯一話しかけてくれた由水さんは絶対に手を離してはいけない存在でした。だからこそ、一緒に勉強するときも白山荘に招待した時も不審に思われないよう精一杯努めます。そりゃ、そんな大切な友達をバカにされたら流石の稀も「……うるさい」って言いたくもなりますよね。この時初めて稀はゆいかに対して弱みを見せたんですよね。自分は1人でも生きていける、そんな風に強がっていたはずがたった1人の友達すらも失いたくはない。これが稀の本音でした。そして、そんな本音を聞いたゆいかはますます稀との関係を続けようと思ったわけです。

 結局のところ古崎ゆいかとはどのような存在なのでしょうか。浦風高校で普通の生徒として生活している「人間の」古崎ゆいか。どうも生霊という感じではありません。恐らくですが、由水の手から逃れる為の無意識の自己防衛だったのではないかと思っております。由水の本性もまた中々凄まじいものでした。好きな女の子の血を好むなんて、まさに現代の吸血鬼ですね。そして、始めは指先からでそこから最終的に体全体を喰らい尽くすなんて、ヤンデレの極みだと思いました。このままでは自分も食い殺されてしまう。そう思ったからこそ古崎ゆいかは幽霊となって自分と大切な人を守ったのではないかと思っております。

 物語最後、稀とゆいかは寺で過ごす事になりました。結局のところ大学にも馴染めず、唯一友達だと思っていた由水に裏切られ、さぞ失意のどん底にいると思うと思います。ですがそんな事はありませんでした。何故なら稀のそばには可愛らしい女の幽霊が居るのですから。「ただいま」と言ったら「おかえり」と帰ってくる。そんな当たり前のことすらゆいかにとっては掛け替えのないものとなっておりました。そしてそれは稀も同じでした。こんな生活も悪くない。これからも、この2人は色々といざこざを繰り返しながら仲良く過ごしていくのだろうと思いました。ありがとうございました。


→Game Review
→Main