M.M BLOOD NOTE EPISODE1




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
6 7 - 77 1〜2 2017/2/19
作品ページ サークルページ



<西洋ファンタジーの魅力を味わいながら、ヒロインであるエリシアを起点に動く物語を楽しんで下さい。>

 この「BLOOD NOTE EPISODE1」という作品は同人サークルである「Meim」で制作されたビジュアルノベルです。Meimさんと初めてお会いしたのはC91でした。C91では黒柴亭さん活動漫画屋さんのスペースで売り子を担当していたのですが、隣にいらっしゃったサークルさんがMeimさんでした。売り子の合間にMeimさんの代表である上月ケイ氏と雑談をしてまして、上月ケイ氏とは以前からTwitterなどで関わりを持たせて頂きました。そんな偶然の縁に感謝しつつ、その時頂いた「BLOOD NOTE」をプレイさせて頂き今回のレビューに至っております。

 この作品は西洋を舞台としたファンタジーです。主人公であるアルノート・リューベはとある貴族の令嬢であるエリシア・ラウトリーに使えておりました。ラウトリー家があるプロセアのフォーテット地方は決して都会ではない田舎の地域です。だからこそ野に咲く花などの自然が豊かで、アルノートもエリシアもそんなのどかな世界の中でのびのびと楽しく過ごしておりました。ですがある夜にこっそりと流れ星を見るために屋敷を抜け出した2人。帰ってきたら屋敷が炎に包まれており、優しい両親やほかの使用人は皆死んでしまいました。その中でエリシアもまた人間から吸血鬼にされてしまい、人並みの生活を送れなくなってしまったのです。屋敷を燃やし最愛の人達を殺し、自分を吸血鬼にした犯人に復讐するためアルノートとエリシアは冒険者として旅に出ます。そんな2人がとある自由都市ルンフェルにやってきてのエピソードが、今作では語られております。

 最大の魅力はヒロインであるエリシアそのものです。元貴族のお嬢様であるのですが、その性格はおてんばで天真爛漫。刺激的な事を求めて我先と首を突っ込みたがり、従者であるアルノートの肝を冷やしております。ですがそんな彼女だからこそ周りの人間も好感を持ち、彼女を起点に物語が動いていくのです。そしてエリシアは今は吸血鬼です。その能力は人間を遥かに凌駕したものであり、五感も力も大変研ぎ澄まされたものになっております。さらにエリシアは大変狡猾です。一見無茶しているように見えてその行動には全て意味があります。以上の点を含め簡単に言いますと、完璧な存在なのです。高貴で素直で可愛らしくて頭脳明晰で強い、そんなエリシアに惹かれないハズがありませんね。

 そしてこの作品は西洋ファンタジーという事で、背景やBGMなどの要素が丁寧に作りこまれております。特に感心したのは背景描写でした。この作品、デフォルトサイズが1920mm×1080mmと大変大きいのですが背景のきめ細やかさが損なわれません。自由都市ルンフェルの街の様子、ギルトの様子、酒場の様子、教会の様子などが丁寧に描かれております。個人的に印象深かったのは食べ物の画像ですね。アルノートとエリシアは基本貧乏生活でして豪勢な食事など出来ないのですが、ギルトで得た収入をどう使うか考えている時にエリシアが美味しい食事を食べようとアルノートに持ちかけるのです。その時のアルノートの想像する様子が本当に面白いのです。鹿肉のローストにワイン、そんな料理の光景が実際の写真とリアルな効果音で演出されるのです。まさに飯テロとはこの事ですね。そんなお茶目な様子も魅力的です。

 プレイ時間は私で1時間20分でした。選択肢は幾つかあり、考えて選ばないとトゥルーエンドにたどり着くことが出来ません。ですがこの作品はシステム周りにも拘りがありまして、選択肢画面はオートセーブされるのです。これならやり直しを気にする事なくどんどん先に進めますね。この作品はまだEPISODE1という事で、アルノートとエリシアがどのような冒険をしているのかを紹介しているものです。自由都市ルンフェルを舞台にアルノートとエリシアがどのようなクエストに挑むのか、是非クエストに挑む様子からエリシアの魅力とアルノートとの関係を味わって欲しいですね。オススメです。


→Game Review
→Main


以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。








































<このエピソードで、アルノートとエリシアの確かな信頼関係を確認出来ました。>

 ネタバレ無しでも書きましたけど、本当にエリシアが魅力的でした。吸血鬼としての圧倒的な能力、正直イーリスに胸を貫かれた時も彼女だったらきっとすぐに復活するんだろうなと思ってました。そしたら案の定復活してそのままイーリスを取り込む始末。圧倒的なカリスマでしたね。でもそんなエリシアだからこそ時より見せる無邪気な表情もまた不意打ちでしたね。このエピソードで、アルノートとエリシアの確かな信頼関係を確認出来ました。

 私がこの作品の中で一番心が温かくなったのは、一番最後にエリシアがアルノートを吸血するところでしたね。エリシアがイーリスから胸を貫かれた時、思わず口走ってしまったアルノートの本音。それをバラされてタジタジになっているアルノートと一転して嬉しさに表情を緩ませるエリシア。今までも2回吸血の機会はありましたが、この3回目の吸血のにっこにっこした様子は本当にほんわかしました。吸血鬼になってしまったエリシア、それでもアルノートと幼い時から一緒に過ごした絆は決して消えてないんだなと確信させましたね。この2人だったらどんな困難でも立ち向かえそうです。

 アルノートとエリシアの信頼関係は至る所で見る事が出来ました。クエストを探す時もエリシアは基本的にアルノートを立てておりました。また教会に潜入する時もアルノートのアドリブを信じて合わせておりました。イーリスとの戦闘の中でも、きっとエリシアはあの瞬間にアルノートが魔法を使ってくれると分かっていたのでしょうね。「道を示してね。私の従者さん?」「アルはもっと自分の力を信じればいい」ところどころに見られるアルノートを信頼しているセリフもまたポイントです。もしかしたらエリシアの吸血鬼の力があれば一人でも解決できたのかも知れません。ですがそうはせずアルノートと2人で一緒に挑む事に意味があるんだと思います。そしてここに、2人が冒険をしている意義もあるのですね。

 レネー・レヴラーチルの名前を見たときに怒りの表情を見せたエリシア。ですが彼女は一方でそんな戦いに興じる自分の事を冷静に分析し、楽しいと感じたを言っておりました。普段天真爛漫で弱さなど見せないエリシアですが、自分が吸血鬼になってしまった事に対する戸惑いは残っているように見受けられます。きっとエリシアは自分ひとりで行動してはいけないと何となくわかっているのだと思いますね。その為のアルノートです。教会でもイーリスという狂犬を抑えるのがミリルという手綱の役割でした。この関係はきっとエリシアとアルノートも同じですね。アルノートとエリシアの冒険は幸せな生活を奪ったレネー・レヴラーチルを討つ為の冒険です。2人だからこそ意味があるのです。今回イーリスという強力な仲間も増えましたし、ますます今後の展開が楽しみです。

 全体としてエリシアの魅力が前面に出た内容でした。そしてその中でもアルノートの人間的な部分が光っておりました。アルノート、意外と妄想癖が強い性格でしたね。教会に親友して司祭室でにおいを嗅ぎながら手がかりを捜すエリシアを見てエリシアに手綱をつけて散歩する様子を妄想して「なんかこれぇえっ!」って言ってる場面とか、ホント緊張感のかけらもないですからね。食べ物の妄想にしても逞しかったですね。エリシアの天真爛漫ながらも強く狡猾な姿とアルノートの冷静で且つ人間的な姿、確かにお似合いの2人だよなと思いました。


→Game Review
→Main