M.M スーサイドフェンス-Episode.2- ようこそ新世界、-Episode.3- フラジャイル




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
7 7 - 78 2〜3 2018/8/24
作品ページ(R-18注意) サークルページ(R-18注意)



 この「スーサイドフェンス-Episode.2- ようこそ新世界、-Episode.3- フラジャイル」は前作である「スーサイドフェンス-Episode.1- キボウノチケット」の続編となっております。その為レビューには「スーサイドフェンス-Episode.1- キボウノチケット」のネタバレが含まれておりますので、ネタバレを視たくない方はご遠慮下さい。またネタバレ無しのレビューについても「スーサイドフェンス-Episode.1- キボウノチケット」のレビューを参照下さい

「スーサイドフェンス-Episode.1- キボウノチケット」のレビューはこちら

※このレビューには「スーサイドフェンス-Episode.2- ようこそ新世界、-Episode.3- フラジャイル」のネタバレありしかありません。本作をプレイした方のみサポートしております。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。





















































































<人殺しは所詮あくまで手段。この程度の意識で自覚者など、片腹痛い!>

 世界を拒絶し誰も信じず頼らないと決めた主人公鈴浦司、同じく何事も合理的に考え孤独を好むヒロイン二見加奈子、同属な2人がついにスーサイドフェンスからの悪夢に終止符を打つために決意しました。ですが、どうやら同属と思っていたのは鈴浦司だけのようです。いや、正確に言えば同属かどうかはまだはっきりと分からないといったところでしょうか。まだ自覚者になり切れていない鈴浦司と自覚者にしか見えない二見加奈子の作戦は、未だ実行されていません。

 正直言って、鈴浦司にはまだ自覚者になる覚悟が見えないように思えました。世界に拒絶され誰も信用できない司ですが、それは自ら望んだ環境ではありませんでした。だからと言って、司はそんな自分を拒絶した世界を嫌いかどうかと言われたら怪しい部分があります。本当は、そんな光溢れる世界に戻りたいのではないでしょうか?その問いかけの象徴が、神ヶ瀬アリスだと思いました。アリスは光溢れる世界の象徴です。誰も疑わず誰も信じ、自分の気持ちのままに司に接してきます。恐らく、司にとってアリスは眩し過ぎるのでしょうね。眩しいものに対して、人はどうしても目を細めてしまいます。ですが、眩しいものを見たいかどうか、眩しいものと一緒になりたいかどうかはまた別問題です。司はアリスをハンパ者と言ってましたが、それは司も変わらないと思いました。

 それをしっかりと認識したのは、二見加奈子が次の作戦を計画した時でした。水無月悠を殺す計画を立てて念入りに準備してきた二見加奈子と鈴浦司。そしてその目的はほぼ間違いなく達成されるはずでした。ですがそれが電話一本でフイになってしまったのです。人殺しという身の丈に合わない作戦に心をへし折られながらも何とかここまできた司、それが達成されなかった事に対する絶望・安堵・そして二見加奈子の心が見れない恐怖が司を覆いつくしました。ですが、二見加奈子はそんな気持ちなど持ってなかったのです。既に彼女の頭の中では次に向けての思考が回転しておりました。いや、もしかしたら今回の作戦が失敗する可能性も含んでいたのかも知れません。あっさりと次の候補者が提示されました。それは、4歳になったばかりの子供でした。

 この時司は思いました。こいつは何物なのだと。どうしてここまで合理的になれるのだと。こいつは本当に同属かと。そして、そんな二見加奈子の目には、一匹の蜘蛛の姿が映し出されていたのです。あれは、二見加奈子が蜘蛛だという事でしょうか?それとも、二見加奈子にとって司は蜘蛛に見えているのでしょうか?何れにしても、この2人は決して同属ではないと思いました。人を殺すという行為、そもそもそれに囚われている様では、決して相手と同じ土俵に立つことが出来ません。殺しは所詮生きる為の手段の一つ。この認識が、司にはまだ足りていない様に思えました。

 それでも司が、言葉を借りるなら自覚者か透析者かどうかを決める必要はありません。きっとそれは、次のエピソードで答えが見えてくると思います。何よりも、スーサイドフェンスがそもそも司に焦点を当てたのには理由がある筈です。スーサイドフェンスは人の内面を見る能力を持っております。人間には出来ない事が出来るのがスーサイドフェンス、果たしてスーサイドフェンスは司の内面に何を見たのでしょうか。そして、それはきっと司自身もまだ気づいていない事です。時々見せる司の透析者に対する殺人衝動。あれは何なのでしょうか。底が見えないのは、司も二見加奈子も同じですね。

 まだまだ分からない事ばかりです。鈴浦司の本質は何なのか。二見加奈子の本質は何なのか。神ヶ瀬アリスは本当に光の象徴なのか。司を保護したノリカさんの目的は何なのか。スーサイドフェンスの正体は何者なのか。そして、この世界は本当に毒で満たされているのか。いよいよ自分がリアルに人を殺す瞬間に立ち会いかけた司です。果たして司はスーサイドフェンスからの悪夢から逃れ、透析者からも逃れる事が出来るのでしょうか。ようやく物語が動き出しました。次回作も楽しみにしております。


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