M.M しろのあしあと〜第三章〜


 この「しろのあしあと〜第三章〜」は前作である「しろのあしあと〜第一章〜」及び「しろのあしあと〜第二章〜」の続編となっております。その為レビューには「しろのあしあと〜第一章〜」及び「しろのあしあと〜第二章〜」を含めたネタバレが含まれていますので、ネタバレを避けたい方は避難して下さい。

・「しろのあしあと〜第一章〜」のレビューはこちら
・「しろのあしあと〜第二章〜」のレビューはこちら

※このレビューにはネタバレしかありません。前作と本作の両方をプレイした方のみサポートしております。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。





















































































<主人公の他人を巻き込む力、それはきっと主人公が持つ優しさのなせる技なのかも知れません>

 就職活動に悩みながらも一歩前に進めない主人公、そんな主人公の前に突如現れたハクビシンとの共同生活という非日常へ足を踏み入れた物語ですが、第二章で幽霊のレイも加わりますます混沌としてきております。ハクビシンとの共同生活でも十分非日常なのに幽霊まで加われば、アマネのセリフではありませんが間違いなく「普通じゃない」ですね。それでも何と無しに共同生活が成立しているのは、ひとえに主人公の優しさというか性格が成せる技ですね。どんな存在でも区別することなく接することが出来るのは間違いなく長所ではあるのですが、ちょっと周りに振り回されてゼミや就活に気を配れていない状況に不安を感じてしまいますね。第三章は隣人のアマネがジプチから帰ってこないことを心配し単身迎えに行くところから始まります。

 いやいや、意外と何とかなってしまうものですね。主人公は基本的に面倒くさがりで積極的に行動するタイプではないのですが、周りの状況にすぐに順応できる特技はジプチでも十分発揮されました。結果として村の住人と仲良くなり、最終的にアマネと会うことができました。まあ当のアマネも飄々としている人物ですし元々主人公を煙たく思ってましたので素っ気ない感じでしたが、とりあえずは日本に帰ってくることができました。今回のエピソードでアマネの過去について触れられましたが、その辺は今後の展開で明らかになる事を期待しましょう。何れにしても良く言えば幸運な、悪く言えばしぶとい主人公の才能を垣間見たジプチでした。

 そしてこの出来事は主人公、ハク、レイ、アマネの関係に変化をもたらしました。簡単に言えばアマネが心を少しばかり許したということですね。第二章まででは考えられなかった4人での食卓がようやく実現されました。これで第一章冒頭のシーンにようやく追いつきました。ですが日記はまだ続きます。やはりこの物語は過去に記してきた日記を未来の主人公が読み返しているというスタンスでしたね。何やら不穏めいた未来が予言されていましたが、その辺はよく分かりませんのでとりあえず気にしません。今はとにもかくにもこの4人が食卓を囲んでいるという環境を大事にしたいと思いました。現実では絶対に起こりえないこの食卓ですが、これだけの奇想天外な人物を集められたのは他ならぬ主人公の優しさの成せる技ですね。世話焼きとも言えるかもしれませんが、誰でも拒否せず最終的に受け入れてきたからこそ、この楽しい食卓が実現できました。

 そしてハクとの生活やレイの加入、ジプチでの経験は間違いなく無駄な時間ではありませんでした。これらの経験が就活での面接で生かされるとは当の本人も思いもしませんでした。就活については結構リアルに表現されておりましたが、確かに今のマニュアル化されつつある面接内容ではその人物について推し量れない部分があるのは間違いありません。これは私を含め多くの就活生が感じている事だと思いますね。結局は誰かを落とし誰かを採用させなければいけない訳ですので、とりあえずの基準を作らなければいけないという事が現代の生活の実態を産んでいるのでしょうね。それでも今回内定を頂いた企業の社長さんのような方もいるでしょうし、やはり就活生が素直に自分の思いを話せるような環境が一番良いと思います。

 そして友人である岡倉のエピソードもあり、主人公にとって最高の形で進んでいる夏休みですがそれが一気にどん底に落とされる展開が待っておりました。毎回思うのですが、HAZEROさんの演出は良い意味で憎いくらいに先を読ませたくさせますね。内定をもらってとりあえず主人公の未来は確定した。後はこの非日常の生活をどう締めくくるのかとか、アマネの過去はどうするのかどか、主人公を取り巻く女の子達との関係をどう解決するのかとかといった話になるのかと思いましたが、そんな前提を根底から潰してきました。果たして主人公の未来はどうなっているのか。この日記を読んでいる未来の主人公はどのような境遇にいるのか。C85で話を聞いたところ次の第四章でも終わらないようですので、気長に楽しみにしましょう。


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