M.M 聖学少女探偵舎 Vol.2 幾星霜、流る涯


 この「聖学少女探偵舎 Vol.2 幾星霜、流る涯」は前作である「聖学少女探偵舎 Vol.1 咲山巴と先輩達」の続編となっております。その為レビューには「聖学少女探偵舎 Vol.1 咲山巴と先輩達」を含めたネタバレが含まれていますので、ネタバレを避けたい方は避難して下さい。

・「聖学少女探偵舎 Vol.1 咲山巴と先輩達」のレビューはこちら

※このレビューにはネタバレしかありません。前作と本作の両方をプレイした方のみサポートしております。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。





















































































<頭の良い人達の会話はついていくだけで精一杯、それでもプレイヤーも一緒に謎を解いていく>

 いやいや、探偵舎の面々は一癖も二癖もある人物の集まりですね。それでも全員に共通していることはやはり頭が良いということですね。ここで言う頭が良いという意味は頭の回転が速いという事とその思考に基づいて迅速に行動できるという事です。彼女たちも言ってしまえば他の中学高校生と同じ年代な訳です。年相応の好奇心もありますし子供っぽさももちろん持っております。頭の回転の速さにプラスしてこのやや無鉄砲とも思える行動力は彼女たちだからこそ成し得るものなのかなとほのぼのして読ませて頂きました。

 今回も短編の集まりでしたが、その中でも第十一章の「紅き焔」と第十二章の「黒墨の帳に」は読み応えがある文章量でした。探偵舎の中等部全員で行った閻獄郷への小旅行、そしてそこで明らかになる50年前の事件の真実と新たな怪死事件は実にミステリーらしい展開でした。それでも内容的にはミステリーと言うよりは登場人物達の心理を読み解く部分に集中し、論理的に攻めるいつもの安楽椅子探偵の様相はなりを潜め人間模様を描いた話に心惹かれました。何よりも咲山巴がしっかりと依頼を受けて探偵として動いてくれたことが驚きでした。どこか自身なさそうにそれでも突っ込むところはつっこむ可愛らしい性格でしたが、自分から身の危険を晒してまで他人を救おうとする姿勢は新しかったです。そしてそんな巴の行動を読み全員で巴を支えた探偵舎のメンバー、良いキャラクターばかりですね。女の子しか出ていないのに熱いものを感じました。

 後は今回は様々な時系列の話や新しい登場人物の話もありました。その中でも注目するべきはやはり謎の少女が関係している話と巴が小学五年生であった時の話でしょうね。謎の少女は間違いなく過去の連続殺人事件に関係しているでしょうね。常に探偵舎の行動の一歩先を進んでいる辺りその実態をつかむ事は難しそうです。それでも様々な場面で計算され尽くしたかのようなタイミングで探偵舎に接触してくるので、その正体は意外な人物なのかもしれません。そして小学五年生のメンバーはもう天才としか言いようのないメンバーですね。とにかく頭が良くそして自分の信じているものが確立しています。本当に小学五年生かと思ってしまいますね。そしてどうやらこの時のメンバーが連続殺人事件にも関係しているみたいです。この辺も探偵舎とどのように絡んでくるのか楽しみです。

 後はシステム周りが大幅に改善されていたのが嬉しかったですね。特に驚いたのが画面サイズを細かく調整できる機能でした。私の場合は文章を読みながらテキストエディタにメモする習慣がある関係でフル画面にはしないのですが、フル画面にはしない程度で画面いっぱいにテキストが表示できるような機能を待っておりました。最高のシステムですね。後は前作にはなかったタイトル画面でのセーブが実装されてました。これでシナリオを選んでから改めてセーブする必要が無くなりました。後はおまけが充実してました。特に嬉しかったのは人物紹介ですね。人物の紹介だけでなく八幡家については家系図も見ることが出来ました。恥ずかしながら本編中は人物関係について殆ど把握出来てなかっただけにこの家系図は良い復習になりました。

 という訳で相変わらずの探偵舎の頭の良い会話を堪能することができました。頭が良いから行動が速く、それが故にプレイヤーも置いていかれないよう集中して読み進める必要があるのは相変わらずですね。私のようにもはや推理する事を諦めて第三者として読むと決めている人は勿論、果敢に登場人物よりも先に謎を解き明かそうとしている人も是非物語の真実を見届けて欲しいですね。これまでに貼られた沢山の伏線、または伏線と思ってなかったのに実は伏線だったような事実が次回でどこまで明らかになってくるか、そして巴たち探偵舎の命運はどうなるのか、楽しみにしましょう。


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