M.M 佐倉ユウナの上京・夏




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
8 6 - 79 1〜2 2018/9/9
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 この「佐倉ユウナの上京・夏」は前作である「佐倉ユウナの上京・春」の続編となっております。その為レビューには「佐倉ユウナの上京・春」のネタバレが含まれておりますので、ネタバレを視たくない方はご遠慮下さい。またネタバレ無しのレビューについても「佐倉ユウナの上京・春」のレビューを参照下さい

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※このレビューには「佐倉ユウナの上京・夏」のネタバレありしかありません。本作をプレイした方のみサポートしております。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。





















































































<方言って、温かいですね。原点に帰るって、大切ですね。>


「ああ、よかぞ」
「うん、いいっちゃない?」


 主人公である咲間鷹司とヒロインである佐倉ユウナは共に福岡出身です。私、これは当初東京に対して遠い地域という事で福岡という土地を選んだのかなと思いました。ですが、勿論それだけの理由ではないという事を今回「夏」をプレイして確信しました。方言って、安心しますね。ましてや、それが家族からの言葉であれば尚更だと思いました。鷹司が経済学部へ転部したいと覚悟を決めて告げた時、両親は慣れ親しんだ言葉で返してくれたのです。これ程嬉しい事はありませんね。他にも、ユウナとサブの会話でも方言が印象的でした。やっと、この上京というタイトルが自分にも染み込んできた気がします。

 ようやく鷹司の心が動き始めました。公認会計士になるという夢を持っていた小学生時代、それと同時に天文学者にもなりたいと思っていました。ですが、その気持ちはそのままに大学受験の失敗やマンネリとした聡桜での生活に少しずつ夢は霞んでいきました。大学二年になり、上京してきた佐倉ユウナの姿を見ても奮起するどころが更に内へ内へと入ってしまってました。そんな鷹司を動かしたのは、ずっとそばで見守っていた友人の緒方大貴でした。自分の話したくない過去を話した大貴、その赤裸々な姿に心を動かされたのだと思います。鷹司は幸せ者ですね。これだけ周りに鷹司の事を信頼し支えてくれる人がいるのですから。

 曖昧な気持ちになってしまった鷹司、それを晴らすにはやはり原点に返る事が大切でした。大貴の言葉に一念復帰した鷹司でしたが、それだけでは両親に告げるには少し足りませんでした。鷹司に決意させたのは、自分が高校生まで生活した地元の風景と空気、そして卒業アルバムに書かれた自分自身の言葉でした。公認会計士になりたい、所詮何も知らない小学生の言葉かも知れません。ですがその気持ちに嘘偽りはありませんでした。何よりも、鷹司には意地がありました。難関大学に合格して羨望の眼差しを浴びたい、それも勿論あったと思いますしそのような気持ちを持つ事は普通の事です。後は、余計な事をそぎ落として原点に戻る、これが鷹司に決意させるのに必要でした。

 ですが、そんな鷹司に対してユウナの方は相当重症です。5月の模試ではB判定だったのにそこから成績は下降するばかり。その理由は、決して勉強が上手くいかないだけではありませんでした。鷹司との関係、住みなれた地元から離れての生活、一浪しているという負い目、様々な気持ちが自分を崖っぷちに追い込んでしまったのだと思います。加えて、それを大切な鷹司には悟られたくない、自分は明るい姿を見せ続けたい、それも本音だと思います。本当、不器用な2人だと思います。お互いがお互いに抱いているイメージに、囚われてしまっているんですね。その期間が長い分、素直になるのは相当に難しそうです。大貴も言ってましたが、ここはやはり鷹司に頑張ってもらうしかありませんね。自分も転部受験する、同じ経済学部を目指す、だからユウナも頑張ってくれ、まあこれがスラっと言えたら苦労しないんでしょうけどね。

 受験に向けて頑張っているのはユウナだけではありません。全国の受験生が聡桜を目指して頑張っているのです。気持ちだけで合格できる程易しくはありません。ユウナに重くのしかかる模試の結果という現実、例え鷹司が自分も頑張るからユウナも頑張れと言っても、素直になれるとは正直思えません。そもそも大学にすんなりと進学した鷹司です。その事実が、いつかユウナの気持ちを歪ませてしまわないか不安です。いよいよ夏が終わり秋になっていきます。受験本番まで半年どころが三か月といったところでしょうか。果たしてこの2人にどのような未来が待っているのでしょうか。ハラハラが止まりませんね。続きが楽しみです。


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