M.M りかラバ!FD -REKINDLING LOVERS! FUTURE'S DIARY-




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
8 7 - 85 3〜4 2021/2/14
作品ページ(BOOTH参照) サークルページ



 この「りかラバ!FD -REKINDLING LOVERS! FUTURE'S DIARY-(以下りかラバ!FD)」は先に発売された「りかラバ! -REKINDLING LOVERS!-(以下りかラバ!)」の続編となっております。その為レビューには「りかラバ!」を含めたネタバレが含まれておりますので、ネタバレを避けたい方は避難して下さい。

「りかラバ! -REKINDLING LOVERS!-」のレビューはこちら

※このレビューにはネタバレしかありません。前作と本作の両方をプレイした方のみサポートしております。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。





















































































<共依存の先に、幸せって待っているんですかね?誰か教えて下さい。>

 私、りかラバ!のレビューの中で「ここから、いよいよ真衣の逆襲が始まります。」と書きました。それだけ、永井と真衣の明るい未来を信じていたという事でもあります。そして、その結果があのエンディングでした。やってくれたなと、正直思いました。ですけど、だからこそのりかラバ!だなとも思いました。ちゃんとこういう結末を描いてくれるから、同人ビジュアルノベルは止められませんね。本当に感謝しております。

 卯月夢見野学園という仮想空間の中で夢と幸せを求めて楽しい学園生活を送るADVであるりかラバ!、ですがそんな夢の様な世界は仮想空間の消滅と共に現実世界へと帰ってきました。夢ならばめでたしめでたしで終わるかも知れませんが、現実では死ぬまで人生が続きます。勿論、良い事も悪い事も当たり前に起きます。そんな辛い現実でも一生懸命生きていく、そんな卯月夢見野学園で共に過ごした5人のちょっとしたアフターシナリオの詰め合わせでした。メインシナリオは、主人公である永井と卯月夢見野学園の主役であり目的であったみらいをヒロインに据えた物語でした。みらいの幸せのために身を引いた筈の永井ですが、まるで卯月夢見野学園での出来事をなぞるかの様にみらいとの関係は深まっていきます。きっと、この2人が惹かれ合うのは運命なのかも知れませんね。後は、お互いの決断力だけなのかも知れません。作中で、お互いの速さで距離を近づけていく様子は卯月夢見野学園の時よりもこそばゆくそして微笑ましいものでした。願わくば、これからも2人には幸せにい続けて欲しいです。

 そして、りかラバ!FDのメインシナリオの他にも幾つかのEXシナリオが用意されておりました。基本的には登場人物達のドタバタコメディなエピソードでした。何だかんだでこの時点で8時間以上もりかラバ!の世界に触れておりますので、こんな何でもない日常がとても楽しく思っている自分に気付きました。プレイ時間が長い事のメリットに、登場人物への愛着が沸く事だと思っております。元々りかラバ!はアニメの様に話を細かく区切って飽きない様に工夫されておりますので、多少プレイ時間が長く且つ平凡な日常だとしても問題ありませんでした。そして知らず知らずのうちに愛着が沸けば、後は彼ら彼女らのエピソードを用意するだけで勝手にファンは喜んでくれます。頭を使わず、気を抜いて楽しく読ませて頂きました。これでいよいよりかラバ!も終わりだなと思いました。ですけど、そんな予想はあっけなく崩れる事になるのです。

 メインシナリオが終わりEXシナリオが終わり、特別編へと進みました。なるほど、ここからがりかラバ!FDの本番だったのですね。特別編1では、卯月夢見野学園に残る決意をした永井とみらいの後日談が描かれました。まさかの新キャラである結の登場で、2人は本当に大切なものを知る事になります。大好きな人が隣にいて、夢である子供も出来て最高の状況です。2人にとってこれ以上の幸せがある筈がない、そう思っておりました。ですけど、何故か幸せじゃないんですね。その理由が、結を失う時に分かる事になります。恐らく、何も苦労しないで望むものが手に入るのは幸せとは言わないのだと思います。結は本当に出来た子です。だからこそ、結のいない生活なんてみらいは耐えられなくなるのではないでしょうか。そうであるのなら、自分から身を引いた方が良い。そんなパパとママを愛する結の優しさが、あのエンディングに繋がったのだと思います。いってらっしゃいという事は、ただいまがあるという事です。少し泣けてくるシナリオでした。特別編2は少しEX寄りなシナリオでしたね。他のヒロインにもスポットが当たって良かったと思いました。

 そして、私にとって最も衝撃的でありメインとなった「黒塗りのアルバム」です。最後の最後で、こういうのを用意してくれるんだと驚き感服しました。やっと・・・やっと真衣に本当の意味でスポットが当たるシナリオが読める!そう思っていたのに内容は仄暗いものでした。自分を慕ってくれるみらいに安心感を覚えられない、大好きなはずのあゆみの傍にいるのに何か満たされない、その答えはとても自分勝手で泥臭いものでした。誇る事なんて出来ない、自分の醜い本心に絶望する2人でした。それを自覚したからこそ、もう2人は離れることは出来ませんでした。共依存、という奴ですね。お互いがお互いを愛している訳でもなく、何となく寄り掛かっているだけの関係です。こんなの、長続きするはずがありません。それでも、2人はこれからも2人っきりで生きていく事を決断しました。彼らに待っているのは茨の道、幸せになれる保証なんてありません。ですけど、それが彼らの選んだ道です。後は、後悔の無い様に祈るだけですね。これが、永井と真衣がたどり着いた結末でした。

 自分だったらどうするんでしょうね。好きだと思っていた気持ちは実は偽物だったなんて気付いたら、もう二度と人を愛する事なんて出来ないかも知れませんね。自己愛しか持っていない人は、他人に迷惑を掛けず一人でしか生きなければいけないと思うんです。自己愛の為に他人を巻き込むなんて、自分も周りも不幸になるだけです。共依存は、自己愛を満たすためにお互いを利用する行為だと思っております。どちらかがどちらかの自己愛を満たさなくなったらハイ終わり、丘の上にあるボールが転がり落ち始めたら止められないようなものです。ですけど、2人はそれを自覚したうえで敢えて一緒に生きる決意をしました。不器用ですけど、これが真実ですからね。凄いなぁと思うと同時に、人生って分からないなとも思いました。共依存の先に幸せが待っているかなんて分かりません。ああ、こんな人生だったなと何となく死ぬのかも知れません。ならばせめて、後悔のない2人であって欲しいと思いました。ありがとうございました。


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