M.M 神絵師養成所 -noa side-




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
5 6 - B 〜1 2022/11/27
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 この「神絵師養成所 -noa side-」は先に発売された「神絵師養成所」のスピンオフ作品となっております。その為レビューには「神絵師養成所」を含めたネタバレが含まれておりますので、ネタバレを避けたい方は避難して下さい。

「神絵師養成所」のレビューはこちら

※このレビューにはネタバレしかありません。前作と本作の両方をプレイした方のみサポートしております。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。





















































































<結局のところ、望亜は自分の事をいじめたクラスメイトを見返したかっただけなのかも知れないですね。>

 鳥人間によって作られたトリッターにより、全ての人間が承認欲求に捉えられ操られたディストピアな世界を描いた神絵師養成所。いいねを貰う事の意味や不毛さを訴えた本作の、もう一人の神絵師という呪縛に捕らえられた望亜に視点を当てたスピンオフでした。結末は同じ、それでもその過程は悠斗とは違っていましたね。

 義務教育学校時代、望亜はクラスメイトに絵を描いている事を馬鹿にされました。馬鹿にされるだけではなく、折角描いた絵を切り刻まれました。それでも絵が好きな望亜、カウンセラーの鳥人間に諭され絵を描く気持ちを失う事はありませんでした。一方、悠斗も同じく義務教育学校時代から絵が好きな少年でしたが、悠斗の側にはフトシを始め悠斗の絵を肯定してくれる存在がいました。悠斗は純粋に絵が好きな気持ちで義務教育学校に進みましたが、望亜は決してそんな綺麗な気持ちで義務教育学校に進んだわけではなかったのです。悠斗が光なら望亜は闇でしょうか、同じ神絵師を目指す2人がこのような形で巡り合うとは運命だなと思いました。

 望亜は持ち前の実力とセンスでどんどんフォロワーを増やしていきました。1いいね2いいね貰って喜んでいった望亜は、次第にそれが当たり前になっていきました。10,000いいね貰ってAクラスに飛び級してからはより顕著になり、Sクラスを目指して更にいいねを貰う事にのめり込んでしまうのです。望亜がここまでいいねにのめり込んだのは、勿論絵が好きであり好きな絵で承認欲求を満たせるかもしれないと思ったからです。ですが、最後までプレイして私はもう1つの理由があると思いました。きっと、義務教育学校時代のクラスメイトに仕返しがしたかったのではないでしょうか。

 物語最後、悠斗は自分より格下(実際は違いますが)であるCクラスの生徒に対し「ゴミめ」と見下した態度を取りました。何故なら、自分よりもいいねが少ないからです。ですけど、人間の価値なんていいねの数で決まるものではありません。ましてや、好きで絵を描いているCクラスの生徒と、もはや義務感だけで絵を描いている望亜では好きで絵を描いているCクラスの生徒の方が遥かに輝いて見えます。いつの間にか、義務教育学校時代に自分をいじめていたクラスメイトと同じ事をしてしまっていたんですね。その時の絶望した望亜の顔には考えさせられるものがありました。本当、人はどうして好きな物を好きでいたのでしょうね?そしてそれがいつの間にかすり替わってしまったのでしょうね?

 最終的には、鳥人間の手のひらで踊らされ鳥人間の餌になってしまいます。鳥人間にとって、悠斗や望亜の心の機微など関係ないのです。ただ、絵の技術を上げていいねを沢山貰って良質な素材になってくれればそれで良いのです。もしかしたら、私たちが普段頂いている動物や植物にも、このような物語があるのかも知れませんね。ですがそれももう意味のない事です。私は、少なくともこの-noa side-をプレイして、望亜に親近感が湧きました。こう言ってはあれですけど、普通の男の子なんですもの。ロングコートを貰った時の嬉しそうな表情を見て、ホッコリしてしまいました。願わくば、最後の最後で望亜が自分の事を少しでも許してくれれば良いなと思いました。いいねに捕らわれた2人の、全く正反対のアプローチを見させて頂きました。ありがとうございました。


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