M.M ふたしかなところ ~the world of resonating~ (前編)
シナリオ | BGM | 主題歌 | 総合 | プレイ時間 | 公開年月日 |
6 | 5 | - | 75 | 2〜3 | 2017/6/29 |
作品ページ | サークルページ |
この「ふたしかなところ ~the world of resonating~ (前編)」は、先に発売された「ふたしかなところ -the start chapter-」を包括した内容となっております。その為ネタバレ無しのレビューは「ふたしかなところ -the start chapter-」に書かれておりますのでそちらをご覧になって下さい。
・「ふたしかなところ -the start chapter-」のレビューはこちら
※このレビューにはネタバレしかありません。本作をプレイした方のみサポートしております。
以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。
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<人って、どうしても自分で経験しないと理解出来ないんですね。>
始めはとてもワクワクしました。現実世界とIBを行き来する生活は想像力を掻き立て、ここからどんな風にシナリオが展開するのか楽しみでした。ですが、いつしかワクワクよりも不安の方が強くなっていきました。現実世界とIBがどのような関係なのか分からない、もしかしたら取り返しのつかない出来事が起きるかも知れない、そもそも健はどうしてIBへ行くことが出来るのか、そしてキルシーは何者なのか、そして合宿で起こってしまった事象。果たして誰もが無事に合宿を終えられるのか不安ですね。
私もそうですけど、人ってどんなに周りから忠告を受けたり本を読んで啓蒙されたとしても想像できる事に限界があると思います。何が言いたいのかと言いますと、自分で体験する事ほど強力な薬はないという事です。そして今作の主人公である健こそがまさにそれを体現しているように見えました。始めはIBというよく分からない世界に戸惑いつつも、キルシーと一緒にそれなりに楽しい時間を過ごしておりました。そしてその後コーヒーメーカーを壊してしまって現実世界で無くなっても、その程度かとあまり重要視しておりませんでした。ですがその後先生の車を燃やしてしまったり自分自身足を怪我してしまった時、ようやく事の重大さに気づきました。そして気づいたときにはもう遅いんですよね。
物が壊れたり無くなったりするのは割とどうとでもなります。ですが人が怪我をしたり傷を負ったりしたものを取り返すのは非常に難しいです。たとえ怪我が治ってもそこが弱点箇所になってしまったり、傷が癒えても痕が残ったりしてしまいます。事実、今回健はIBで古釘により足を怪我してしまいましたが現実世界では足が麻痺する事態となってしまいました。そしてそれはどんどん悪化し健の行動を制限するものになっております。原因はIBでの怪我です。ですが解決方法は分からないのです。そもそもIBと現実世界がどのように干渉しているのか分かっていないのです。この時初めて健はIBの怖さを実感したのだと思います。この時以降、健はIBでの行動を慎重に行うようにしました。自分の身で味わってようやく気づいたんですね。
本当であれば、健はカオリが提案した合宿プランに異を唱えるべきだったのだと思います。この世のものではない何者かの仕業で閉じ込められたカオリ、そしてそのカオリを救うためにIBで手痛い代償をもらった健。それを敢えてまた同じ場所に行こうとする必要はありません。それでもこの合宿を容認したのは、いざとなれば自分が助ければいいやという気持ちがあったのだと思います。またしても健は過ちを犯してしまったんですね。自分が助けられないと気づいたときには、もう手遅れなのに。そして始まってしまった合宿、そして起こってしまった真夜中の事件。再びIBに行ってしまい、そこで初めて知ったキルシーの本音。いよいよ物語が大きく動き始めました。ここからがきっと健の本当の試練ですね。
まだまだ明らかにされていない伏線があります。上終交差点交通事故、通称エンジェルミスト事件の真相は何なのか。美弥妃の片腕はいつ失ったのか。そして何故失ったのか。IBとはどういう存在なのか。キルシーの正体は何なのか。合宿場で起きた出来事の犯人は誰なのか。ここ最近現実世界に干渉している「何か」とは何者なのか。それら全てがはっきりするまで、この物語を終えることは出来ませんね。この「ふたしかなところ」から唯一抜け出す方法、それは健の気持ち一つなのかも知れませんね。続きが楽しみです。