M.M ふたしかなところ -the start chapter-




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
6 5 - 74 1〜2 2017/6/26
作品ページ サークルページ



<IBという不思議な世界と個性的な登場人物は、それだけで男の子の心をくすぐるというものです。>

 この「ふたしかなところ -the start chapter-(以下start)」という作品は同名の同人サークルである「EIME」で制作されたビジュアルノベルです。EIMEさんの作品をプレイしたのは本作が初めてなのですが、作品そのものはだいぶ昔の即売会で購入しておりました。その後何度かEIMEさんのスペースには足を運ばせていただき、今回レビューしている「ふたしかなところ -the start chapter-」に加えてその続編である「ふたしかなところ 〜the world of resonating〜(前編)(以下前編)」と「ふたしかなところ 〜the world of resonating〜(後編)(以下後編)」も既に手に取らせて頂いております。それでも中々作品に取り掛かるまで時間がかかってしまい申し訳ないと思っております。今回レビューしているstartに引き続き、前編と後編の方にも取り掛かろうと思っております。

 主人公である御手洗健は一見どこにでもいる普通の男子学生です。ですが彼には他の人には言えない秘密を抱えておりました。それは、インタフェアベース(通称IB)と呼ばれている夢と狭間の世界に飛ばされてしまうという事です。IBについて公式HPでは「現実世界と緩い繋がりを持っており、互いに影響しあうエネルギーの緩衝地点」と書かれております。何が言いたいのかと言いますと、現実世界とIBは似ているようで違う世界であり、お互いの出来事が影響しあうという事です。健は現実世界でオカルト研究会に所属し、会長の小野美弥妃(みやび)・友人であり副会長の阿部裕也・クラスメイトであり企画の藤生(ふじゅう)カオリ・新入生の帷子如(かたびらゆき)・顧問の飯塚悠水(ゆみ)に囲まれながら楽しく生活しております。ですがその裏、IBでキルシーという謎の少女と出会い同じ時間を過ごしているのです。現実世界とIBはどのように関わるのか、キルシーとは何者なのか、何故健はIBに飛ばされてしまうのか、そして現実世界で最近起きているオカルト現象を解決できるのか。数多くの見所と数多くの伏線が散りばめられたワクワクなシナリオが始まります。

 この作品の面白いところは、IBと現実世界が「緩い繋がり」で結ばれているという事です。IBでの行動がダイレクトに現実世界で反映されるわけではありません。例えば、IBでコーヒーメーカーを壊してしまうのですが現実世界では元々コーヒーメーカーが無かった事になっているのです。他にも、IBで車を壊してしまったら現実世界では車が炎上していたのです。IBでの行動が現実世界で直接ではなくとも微妙に反映される、この曖昧さが物語を面白くしております。最近、現実世界でオカルト現象がよく発生しております。主人公達はオカルト研究会ですので当然それについて調査を行うのですが、その解決方法は現実世界で頑張るだけではなくIBでなにか行動を起こすといった事も含まれるのです。今回のstartではまだ取り返しのつかないような大きな事象は発生しておりません。ですがもし今後そういった事象が起きてしまったとき、主人公はどうするのでしょうか。非常に気になりますね。

 そして全ての登場人物が個性的です。主人公である健は一見気怠そうな雰囲気ですがその中身は好奇心旺盛であり、時々思い切った行動に出ることがあります。予測不可能ですので、IBと現実世界の緩い繋がりも含め物語がどう動くかに大きく関わってきますね。他にも友人の裕也やクラスメイトであるカオリは諸凸盲信型ですがその行動力は物語を動かす程大事になってくるものです。会長である美弥妃には左腕がありません。理由はまだ語られておりませんが、そのハンデを顔に出さず明るく振舞っております。個人的には新入生である如が好きですね。この子は女の子なのですが、何故か女子のパンツを盗撮したりするのが好きなのです。極めつけは立ち絵ですね。まるでエロガキのようなゲスイ表情をするのです。私自身「コイツ本当に女かよ……」って思いました。中々にクズ野郎です。そしてIBで出会うキルシーです。少女の出で立ちでありながらタバコを吸い、何年も年を取らず過ごしているようです。彼女がなにものなのかが明かされる時、物語はクライマックスへと向かうのかも知れません。

 プレイ時間は私で1時間45分でした。ちなみに、現時点でこのstartを入手する方法はありません。ですが、startの内容はその後発売されている前編の方に全て含まれております。言ってしまえば、startは前編が始まるまでの体験版のようなものでした。その為選択肢も登場しますがそれによってシナリオが分岐するという事はありません。もちろん前編ではその限りではないと思いますので慎重に進める必要がありますね。そういった事もあり、startのレビューではネタバレ有りは書かない事にしました。ネタバレ有りは今後前編をプレイし、それも包括して書こうと思います。何よりもまだstart chapterですからね。序章です。物語は始まったばかりです。私自身、早く前編に取り掛かり先に進みたい気持ちでいっぱいです。むしろそう掻き立てる事こそがstartの役割だったのかも知れません。IBという不思議な世界が存在する、そこに少女が1人だけ住んでいる、現実世界ではオカルト現象が起きている、これで食いつかない男の子はおりませんね。続きを楽しみにしましょう。


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現在ネタバレのレビューはありません。見たい方も見たくない方も避難して下さい。