M.M 虚構英雄ジンガイア Vol.3


 この「虚構英雄ジンガイア Vol.3」は先に発売された「虚構英雄ジンガイア Vol.1」「虚構英雄ジンガイア Vol.2」の続編となっております。その為レビューには「虚構英雄ジンガイア Vol.1」「虚構英雄ジンガイア Vol.2」を含めたネタバレが含まれていますので、ネタバレを避けたい方は注意願います。

・「虚構英雄ジンガイア Vol.1」のレビューはこちらからどうぞ。
・「虚構英雄ジンガイア Vol.2」のレビューはこちらからどうぞ。

※このレビューにはネタバレしかありません。前作と本作の両方をプレイした方のみサポートしております。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。























































































シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
8 7 - 84 3〜4 2016/1/11
作品ページ サークルページ



<人生って、実は無数の扉が溢れていてどの扉を開けるかだけなのかも知れませんね。>

 虚構英雄ジンガイアのジャンル名は「いつか父親になるAGV」となっております。主人公である神原英雄に訪れた絶対的な試練、変わってしまった家族。それでも自分が出来る事を精一杯やり遂げてきました。ですが本当に家族は変わってしまったのでしょうか。ちょっと見え方が変わっただけなのでしょうか。この後改めて神原英雄は「父親」というものに向き合うのでしょうね。ようやくスタートライン。そして本当の試練が幕を開けました。

 今回Vol.3をプレイした事でようやく世界の仕組みとそれを取り巻く人々の関係を把握することが出来ました。とりわけ世界の構築に直接的に関わってくるBlainの生誕、隠されたゲームの企画書の制作については想像以上の人間の関わりと偶然がありました。別に全員が意図して行動した訳ではありません。意図するどころか、自分の人生に精一杯で周りを気遣う余裕なんてありませんでした。大切な家族を見誤った人もいました。歪んだ愛の果てに全てを失った人もいました。全てを知って自殺した人もいました。最愛の人を忘れた人もいました。それでも彼らの行動1つ1つが、最終的に御子神京のクローンと最川省吾が作ったゲームの企画書が結び付ける結果となりました。やっとここまで来ました。散々回り道をして多くの人の想いが積み重なって、不幸のその先のゴールにたどり着きました。

 回り道に思えた人々の行動、苦悩、絶望、そしてその先にある囁かな幸せ。作中でも「幸せとは途方もない不幸の積み重ねの先にあるもの、それすらも不幸かも知れない」と言っておりました。最後に幸せかなんて自分が振り返ってどう思うかしかありません。最後振り返って、その結果やっぱり不幸かも知れません。それでもそれが自分の歩いてきた道。その事実は変わりませんしそれは全て輝かしいものです。御子神京も「死が近づけば近づくほど、世界が輝いて見えた」と言っております。幸せだから輝いて見えるんじゃないんです。そこまで歩んできた自分自身の不幸があるから輝いて見えるんです。是非皆さんも竹田玄が言っていた「平和」というものについて考えてみては如何でしょうか。

 そしてVol.3全体を振り返り象徴するものがありました。それは「扉」です。ゲームを起動して初めに出てきた白い壁に佇む青の扉。作中では藤原鳴海の家の扉として描かれておりました。ですが本質はそこではなく、人間であれば誰でも持っている「他の世界へ足を踏み出す事への恐怖」を象徴したものでした。最高の魔法使いと最高の科学者の間にあった認識の扉。最川省吾と最川幸太郎の間にあった親子の扉。鬼塚桜子がこじ開けた山之内鉄郎とモブの心の扉。人生って案外扉だらけなのかもしれませんね。ですが扉というものはどんなに重くても一度開ければもう何も塞ぐ者はありません。物語終盤でも神原英雄と藤原鳴海は「別に何も変わらないな」とお互い笑っておりました。全て変わったように思い自分じゃ何もできないと決めつけた神原英雄。そんな自分が勝手に作った硬い扉をこじ開ければ、何の事はない、いつも通りの2人の関係でした。もう2人は迷う事はないと思います。自分の大切な人を忘れず、素直にありのまま愛する日が帰ってくると信じております。

 さて、ようやく準備が整いました。後はこの世界の仕組みの謎を解明し神が作りだした論理に立ち向かい「父親」になるだけです。本当に前座でしたね。神原英雄の長い長い遠回りと、世界の仕組みを作った人々の関係を把握する為に途方もない時間が掛かりました。個人的に気になるのは最高の魔法使いと最高の科学者の子供が何をしてくれるのか、御子神京のクローンが最川省吾が作ったゲームの企画書をどう世界に反映させるのか位です。後はあまり気にしてません。最後、神原英雄がどのように決断しどのような人生を歩むかは、何も考えずに傍観していようと思います。結末が幸せなんて保証はどこにもありません。そもそも幸せであるかどうかなんて当人の問題です。私たちは外野の観客。唯々見守るだけです。選択肢なんて選べないんですよ!選ぶのは、彼らだけなのですから。次回も楽しみにしております。


 あと個人的にテンション上がったのはCOMITIA112のノベルゲーム部でのお茶室が出てきたところですね!なる程だからまきな氏写真撮ってたんですね!ローズマリーの伏線をああいった形で表現するなんて!もう見事としか思えませんね!


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