M.M フロアー]Vの深層




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
5 6 7 B 〜1 2016/4/16
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フリーゲーム夢現



 この「フロアー]Vの深層」は先に発売された「フロアー]Vの心象」の続編となっております。その為レビューには「フロアー]Vの心象」を含めたネタバレが含まれていますので、ネタバレを避けたい方は避難して下さい。

「フロアー]Vの心象」のレビューはこちら

※このレビューにはネタバレしかありません。前作と本作の両方をプレイした方のみサポートしております。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。





















































































<真実を知ることは、物事の認識を置き換えること。>

 全て実写背景であり生活音が中心のリアルな雰囲気が印象的であった「フロアー]Vの心象」の裏側を描いた「フロアー]Vの深層」ですが、やはり言いたい事は前作と同様「人間の真実を知りたいという気持ち」だと思っております。偶然田中篠美の死体を目撃してしまった大学生の加藤。そのまま忘れる事も出来たはずですが、そうはせず自分自身が前に進むために真実の解明を図りました。結果としてその事がタカハタの居場所を突き止め警察へと送り出すことに繋がりました。まあタカハタが警察に捕まったのは付加価値的なものでしたが、全ては加藤が自分自身の為に起こした行動によるものでした。

 今作で特に印象的なセリフは「名前を知ったから、認識が変わった」でした。加藤が田中篠美の死体を見たときの衝撃は夢にまで見るほど残り続け、日々のバイトにまで影響を与える程でした。ですがそれから一ヶ月後に橘勇也を救った事でその事が帳消しされ、再びバイトに打ち込めると思っておりました。確かに橘勇也を救ったという達成感によるものが大きいと思いますが、それ以上に一ヶ月という時間が経過した事が大きかったのかなと思っております。橘勇也を救っても田中篠美の死体を見たという記憶は消えません。それでも一ヶ月という満月の節目を乗り切ったという事で本当の意味で解放されたのだと思います。ですが不幸な事は加藤はこの時死体の名前すら知らなかった事ですね。

 今まで「名無しの死体」として認識していたものが「田中篠美の死体」と全く違うものに認識が変わったのです。これって今まで時間をかけて悩まされたものと別物として置き換わったという事。田中篠美とは何者なのか、そういった疑問が今度心に生まれてしまいました。そして改めてアノ顔が生々しく浮かんできたのです。ああ、この顔の名前は田中篠美っていうんだ。この認識の置き換わりは大きいと思いました。そしてもう一つ認識の置き換わりがありました。それは橘勇也が死んだという事です。結局のところ加藤が119番しようとしまいと橘勇也は死んでいたのです。つまり最後に呼びかけた時に見た表情が死に顔そのもの。まさにアノ顔という事になります。今まではきっと生きているだろうと思っていたからこその達成感でした。もしかしたら顔さえ見なければ「死んでしまったけど、俺はやるだけやったんだ」と気持ちを持ち直せたのかも知れません。ですが不幸な事に顔を見てしまいましたからね。達成感が不快感に変わった瞬間。加藤がバイトを辞める決意をさせるのに十分でした。

 今回タカハタの居場所をウエハラに伝えた事で再び加藤は気分を持ち直す事と思います。今まで恐怖の対象であったタカハタが憎むべき敵として認識がズレたのですから。そしてタカハタが逮捕されたという事で再び達成感を覚え、新聞配達は辞めるとしても憂鬱な気分は晴れてくれると思います。後は出来るだけSICマンションに近づかない事ですね。またひょんな切っ掛けで新しい情報を得てしまい、タカハタに対する認識が置き換わるかも知れませんからね。これこそまさに「知らぬが仏」です。世の中、知らなくていい事なんて五万とありますからね。ありがとうございました。


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