M.M BOYS IN MY HOUSE -after the memory-
シナリオ | BGM | 主題歌 | 総合 | プレイ時間 | 公開年月日 |
6 | 6 | - | 76 | 5〜6 | 2018/5/3 |
作品ページ | サークルページ |
この「BOYS IN MY HOUSE -after the memory-」は前作である「BOYS IN MY HOUSE」の続編となっております。その為レビューには「BOYS IN MY HOUSE」のネタバレが含まれておりますので、ネタバレを視たくない方はご遠慮下さい。
・「BOYS IN MY HOUSE」のレビューはこちら
※このレビューには「BOYS IN MY HOUSE -after the memory-」のネタバレありしかありません。本作をプレイした方のみサポートしております。
以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。
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<自分の意思で未来を「選択」する事、その苦しみと決断の重みを感じる事が出来ました。>
大学院生の主人公の前の突然未来から2人の少年がやってきて、ドタバタな4週間の同棲生活を送る「BOYS IN MY HOUSE」。日常の平凡さとその掛け替えのなさを一日一日丁寧に描いたテキストと描写がとても印象的であり、約束された結末を愛おしいと感じるシナリオはとても掛け替えのない尊いものでした。その後日談を描いたのが今回レビューしている「BOYS IN MY HOUSE -after the memory-」です。前作は日常を描いた作品でしたが、今作は打って変わりSFです。ですが、一番の違いはジャンルの違いではなくその中で描かれているテーマだと思っております。何れにしても、読後感が良くまた深く考えさせられるシナリオが待っておりました。
前作である「BOYS IN MY HOUSE」にはネタバレ有りのレビューはありません。理由は、当たり前の日常を描いた作品に対してその日常を私の口から紐解くのは無粋であると判断したからです。あらすじ以上の事を語る必要はない、後は皆さん1人1人がプレイして感じて頂ければ結構。そういう想いがありましたし、今でもその気持ちは変わっておりません。ですが、今回「BOYS IN MY HOUSE -after the memory」をプレイして、ついに「BOYS IN MY HOUSE」のネタバレ有りに触れる事になります。理由は、「BOYS IN MY HOUSE」でのテーマと「BOYS IN MY HOUSE -after the memory」でのテーマを比較する事が私にとってどうしても必要な要素になったからです。これからそれを紐解いていこうと思います。
「BOYS IN MY HOUSE」のシナリオの最大の特徴、それはどのような経過を歩んでも最終的に3人は離れ離れになってしまうという事です。どれだけ仲良くなっても、または恋愛をしたとしても、4週間後にはカイトとフレンは未来に帰ってしまいます。もし自分が咲の立場だったら、どうせ離れ離れになるのなら深く関わっても意味がないと思ってしまうかも知れません。これ程「儚い」という言葉がピッタリな状況も無いと思います。ですが、咲たち3人は距離を開けることなどせず、当たり前の日常を過ごしました。そして最後には笑いあいました。これが今生の別れが約束されている人たちの姿でしょうか。私はあの3人の笑顔に救われた思いでした。例え離れ離れになる事が約束されていても笑顔でいる事が出来る、その意味を教えて頂きました。
ですが、今作「BOYS IN MY HOUSE -after the memory」では未来は自分の手で掴む事が出来ます。分かりやすく言えば、「選択」出来るのです。自分の気持ちに正直になる事、「BOYS IN MY HOUSE」では少なからずそれが出来ない状況がありました。ですが「BOYS IN MY HOUSE -after the memory」ではそれが出来ます。逆にそれが、3人の心を戸惑わせざわつかせる事になりました。決意をもって未来へ帰ったカイトとフレン、覚悟を持って別れを決意した咲、そんな二度と会う事が無いと思っていた3人が再会したのです。戸惑うと思います。自分の気持ちに素直になっていいのか?まだあなたの事を好きでいて良いのか?本当の気持ちを打ち明けて良いのか?「BOYS IN MY HOUSE」よりも苦しく辛い選択を、3人はしなければいけないのです。
カイト編でもフレン編でも、物語開始前半はどちらも咲に対して素っ気ない態度をとっておりました。それは、咲とは決して結ばれないと決めつけていたからです。この荒廃した未来に咲を残すわけにはいかない。例え自分の気持ちに蓋をしたとしても。その気持ちはかつて4週間一緒に過ごした時と同じものでした。ですが、8年もの月日が経過し、自分と殆ど同い年になった咲が、目の前に実在しているのです。苦しみと葛藤は「BOYS IN MY HOUSE」の時のそれよりもはるかに大きかった事と思います。そのような中で、宇宙人や過激派組織との戦いに臨まなければいけませんでした。
そしてそれは咲も同じでした。当たり前の日常に戻るのか、荒廃した世界に残るのか、それを咲は「選択」する事が出来るのです。ですが、「選択」出来るという事は言い換えれば「選択しなければいけない」という事です。誰も、道を作ってはくれないのです。自分で決断する事のなんと苦しい事か!儚さこそ少ないとは思いますが、辛さは「BOYS IN MY HOUSE」のそれ以上だと思います。今作にはエンディングが全部で8種類もありますが、私はそのどれもが対等であり全てがトゥルーエンドなのだと思っております。どれが正解でどれが不正解とは無いのです。全てが自分で決断した結末です。だからこそトゥルーエンドなのなのだと思っております。
今作は、永遠の別れを経験したはずの3人にもう一度訪れた奇跡の物語だと思っております。今度こそ、自分の意思で「選択」する事が出来るのですから。そして、「選択」する事の辛さと厳しさに3人は向かい合う事になりました。だからこそ、その「選択」をした後の物語は書かれていないのだと思います。自分が悩み苦しんで決めた「選択」、その軸がブレていなければ後はどうとでもなりますね。もしかしたら人類はジリ貧になり宇宙人に駆逐されてしまうのかも知れません。戦争中に愛する人の命を失ってしまうのかも知れません。ですが、彼女たちは決して後悔する事は無いと思います。何故なら、その未来を自分の手で「選択」したのですから。
振り返れば、前作で言葉だけで語られた未来の姿を見る事が出来て純粋に楽しかったです。そして博士やミラ、グイードやシーラ、同僚達といった個性的で憎めないキャラクターに囲まれそれもまた楽しかったです。例え豊かでなくても信頼できる人が傍にいれば、人はそれだけで生きていけるんですね。未来の世界は厳しいかも知れませんが、それもまた自分の心意気次第。そしてそれを「選択」するかしないかもまた自分の心意気次第でした。「BOYS IN MY HOUSE」という作品の、裏も表も堪能する事が出来て嬉しかったです。今後、彼女ら3人を始め全てのキャラクターが後悔なく生きていける事を祈ってレビューの終了としたいと思います。ありがとうございました。