M.M 雨衣カノジョ-B面-
この「雨衣カノジョ-B面-」は前作である「雨衣カノジョ-A面-」の続編となっております。その為レビューには「雨衣カノジョ-A面-」を含めたネタバレが含まれていますので、「雨衣カノジョ-A面-」のネタバレを避けたい方は避難して下さい。
・「雨衣カノジョ-A面-」のレビューはこちら
※このレビューにはネタバレしかありません。本作と追加シナリオの両方をプレイした方のみサポートしております。
以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
| シナリオ | BGM | 主題歌 | 総合 | プレイ時間 | 公開年月日 |
| 6 | 6 | 5 | 79 | 2〜3 | 2017/1/27 |
| 作品ページ（R-18注意） | サークルページ（R-18注意） | |
|||
＜自分を信じて相手を信じて、どんな最悪な状況でもきっと改善すると奮い立つ事ができる人は強い。＞
家のしきたりによって1人田舎の録に手入れもされていない家に幽閉され、その田舎でも誰からも話しかけられる孤高に生きてきた少女和事。そんな彼女の傍に偶然やってきた主人公貴之との一夏の出来事を描いた「雨衣カノジョ」の後編が本作であるB面です。権力のある家や社会の常識を打ち破り、愛する人と一生を添い遂げる決断は誰もが羨むものであり、だからこそ彼らの生き方が印象的でとても輝いておりました。B面では本作における最大の謎、和事は本当に魔女なのか？呪いとは何なのか？という事が明らかにされ、そしてその真実を叩きつけられてもやはり折れない2人の心が印象に残りました。
B面で語られた事から私たちが学ばなければいけない事、それは相手の幸せを推し量る必要はなく自分がやりたい事をぶつけてみるという事です。和事は自分に降りかかった呪いの存在を認識しており、それが故に周囲の人を不幸にしない為に孤独に生きてきました。それでも貴之という存在は自分の世界を色鮮やかに変えてくれる存在であり、彼だったら全てを投げ打っても一緒になりたいと思いました。ですが和事の呪いにより畑の作物は全滅、家は急ぎ売却され、父親は病に倒れてしまいました。やはり自分が誰かの傍にいるという事は許されないんだ。そう思った和事は貴之と添い遂げる事を拒否し、最後自分を嫁にすると言ってくれた貴之と離ればなれになる事を決意します。
ですがそれは和事の大きな勘違いでした。というよりも、そもそも和事が貴之の幸せ不幸せを決めるという事が間違っていたんですね。貴之にとって何が本当の幸せで何が本当の不幸せか、それは当の本人である貴之でないと分からないのです。貴之にとっての一番の不幸せ、それは愛する和事と離れ離れになる事でした。例え呪いが降りかかったとしても、貧乏で誰にも頼れない生活が待っていたとしても、隣に和事がいればそれで良かったのです。元々淡白な性格だった貴之が涙まで流して和事の傍にいる事を望みました。それでも和事はどうしても自分の呪いを解き放つことが出来ず結果貴之と離れる事を選びました。それでも貴之は叫びました。「だからおれはずっと待ってるよ、また君と会える日を、ずっと待ってる！」と。
さて、ここでこの作品における「呪い」について考えてみようと思います。吹上家は元々関東有名一族であり、その分家として西日本で栄えました。そして最大の特徴は魔法によって反映してきたという事です。恐らくそれは真実なのだろうと思います。和事の体温が著しく低いこと、色素が極端に薄いこと、そして雨や雷を自由に発生させられること、流石にこれだけの証拠を突きつけられれば呪いが存在する事は認めざるを得ません。そして和事の呪いによって周りの人が不幸になるのも恐らく正しいのでしょう。伝承と言えばそれまでですしオカルトですが、状況証拠が最後まで和事の足を引っ張りました。人知を超えた出来事であり現象です。あれだけ熱意が篭った貴之の発言を聞いてもなお離れようとする気持ち、分からない事もありません。
では、この「呪い」というものは一生付きまとうものなのでしょうか。自分の力ではどうしても解除出来ないものなのでしょうか。私は「自分には呪いが掛かっているから幸せになれないんだ」という思い込みこそが一番の呪いだと思うのです。貴之は言ってました。確かに和事が空を見たり気持ちが昂ぶった時に都合よく雨が降るけど、それだって偶然かも知れない。野菜が全滅したのも父親が病気になったのも偶然かも知れない。これもきっと思い込みだったんです。物語最後、楠本和事として再び貴之の前に帰ってきた和事。直前確かに雨は振りましたが、すぐに止んでくれました。この物語の結末に必要なこと、それは貴之が愛する人と一緒にいると言葉にする事ともう1つ、和事が自分自身の呪いを乗り越える事だったのかなと思っております。例え呪いが本当にあったとしてももう自分の気持ちに嘘をつかない。そう決意した瞬間、きっと呪いは解けていたのだと思いますね。
人生も同じですね。上手くいかないんじゃないかとネガティブな気持ちでいると本当に上手くいかないものです。自分の気持ちは自然と表情や行動に現れてしまい、結果として気持ち通りの結果になってしまいます。であるならば、例え状況が厳しくても気持ちだけは奮い立たせて諦めない事が大切ですね。それでもどうしてもネガティブになってしまうのでしたら、周りにいる人に助けを求めてみましょう。きっと貴方に手を差し伸べてくれますし、その事が貴方にとっての勇気になるはずです。自分を信じて相手を信じて、どんな状況でもきっと改善すると奮い立たせる事ができる人は強い。そう思いました。ありがとうございました。