M.M ねこねこソフトについて考える
ここでは、私のお気に入りのギャルゲーメーカーである「ねこねこソフト」について考えた事をまとめたページです。ねこねこソフトについて知っている方は多いかと思いますが、2006/5/26に発売された「Scarlett
〜スカーレット〜」をもって事実上活動停止となりました。ねこねこソフトの作品の中で代表的なものには「みずいろ」や「銀色」が挙げられると思います。私もこれを含めいくつかの作品はやりましたが、ねこねこソフトの作り出す作品は非常に肌に合う感じで、やった作品の多くは評価の高い物となっています。今回活動停止となった訳で、私なりにねこねこソフトとはどんな会社だったかを振り返ってみたく思い、このような文章を書かせていただきました。なお、ねこねこソフトについて知らない方はもちろんネタバレな内容となっておりますので、そんな方は下の脱出ポットから避難してください。
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1.はじめに
まずはじめに、下の画像を御覧頂きたいと思います。
これは、10/1にねこねこソフトのオフィシャルホームページにて公開された画像です。御覧の通り、ねこねこソフトは事実上活動停止となりました。そして、この活動停止の理由として「現在のねこの規模で、ねこの考え方・姿勢のままでは存続することが不可能」と書かれています。ということで、これからの文章は「ねこねこソフトの考え方とは何か」という事に重点をおいて書いていこうと思います。また、私なりのねこねこソフトのあり方についての感想も書いていきます。
2.ねこねこソフトの姿勢
ねこねこソフトの作品の売り方には一つの特徴があります。それは、オリジナルの作品を何度も使いまわして販売しないという事です。
ねこねこソフトの売り方に対立する例えを挙げるとすると、CIRCUSが行っている「曲芸商法」が適当だと思います。この曲芸商法ですが、簡単に言えば「会社の利益を上げるために同じ作品を時期やパッケージをずらして販売する商法」です。そしてこの曲芸商法が忌み嫌われる理由として、あからざまに利益を上げようとする姿勢が見え見えである事、オリジナルのスタッフが居なくなったにも関わらずその作品を出すという事、などが挙げられます。そして、この曲芸商法に似た商法を行っているメーカーが増えているのも事実です。例えば「Nitroplus」の「斬魔大聖デモンベイン」や、「F&C」の「Piaキャロットへようこそ!!」や、「age」の「マブラヴ」などが挙げられると思います。
しかし、この商法は決して間違いと言うわけではありません。何故なら、このような売り方でもしない限りギャルゲーのメーカーが活動できなくなるのもまた事実だからです。実際ギャルゲーに関わらず、ゲーム業界全体で売り上げが年々下り坂になっていることは感じていると思います。それに加えて、このギャルゲーというジャンルの幅もどんどん拡大してます。つまり、数年前とは事情が変わって、今や何とかして作品を売っていかないとメーカー自体の存続が危うくなって来る時代になってきているのです。
そんな中でも、ねこねこソフトの売り方が変わる事はありませんでした。唯一「銀色」のみ「銀色 完全版」と言う形でリニューアル版を出しましたが、これは両方やると分かるのですが、唯の使い回しではなく内容をしっかりと吟味して修正・追加したものでした。そして、ねこねこソフトのメーカーとしての姿勢として「ゲーム以外では利益は上げない」と言う物がありました。なので、ゲーム以外での利益、代表的なものにコミックマーケットやDreamPartyなどのイベントの販売物がありますが、そこでの販売物の値段は他社に比べて極端に安い物でした。さらに、ねこねこソフトは作品を購入したファンクラブ会員に対して「おかえしCD」と言う名のおまけディスクを無料で配布すると言う活動も行っていました。以上から分かる通り、ねこねこソフトのユーザーに対する姿勢は非常に紳士的であったと言えます。
しかし、ねこねこソフトの人気が増すに連れて会社としての規模は拡大せざるを得なくなりました。規模が拡大すればスタッフの人数も増えます。そして、それによる人件費をはじめ様々な経費は拡大し続けました。それでも、ねこねこソフトは始めから抱いていた信念を曲げる事はありませんでした。活動停止の理由としてある「現在のねこの規模で、ねこの考え方・姿勢のままでは存続することが不可能」という事は、おそらくこの事をさしているのだと思います。結果として信念は曲げなかったものの、会社としての限界が来ることとなってしまいました。
現在このような姿勢のメーカーはかなり少ないと思います。それでもねこねこソフトがここまでやってこれたのは、スタッフ全員の信頼が強かったからだと思います。不可能なのかもしれませんけど、この姿勢を全てのギャルゲーのメーカーが実践してくれたらと願わざるを得ません。
3.ねこねこソフトの魅力
そして、ねこねこソフトが一流のゲームメーカーとして名を挙げたのはその姿勢のみに限った事ではありません。発表した作品自体もとても興味深いものでした。
ねこねこソフトが脚光を浴びるようになったのは「銀色」の発売だと思います。この銀色は、当時としてはタブーとされていたオムニバス形式という種類のゲームでした。しかし内容は、オムニバス形式の良さを上手く生かした演出と、シナリオライターである片岡ともの持つ人生観を強く打ち出したテーマによるシナリオで、いわゆる「鬱ゲー」と呼ばれるジャンルにもかかわらずプレイヤーを強くひきつけた作品でした。そして、ねこねこソフトの持つもう一つの顔である「ギャグ要素」が発揮されたのもこの銀色でした。これによってねこねこソフトの名は広く知られる事となりました。
そして、ねこねこソフトの名を絶対的にした作品と言えば「みずいろ」が挙げられると思います。このみずいろですが、当時既に確立された学園物のキャラクターのあり方の定石と言う物を忠実に再現した、「普通のギャルゲー」というキャッチフレーズで売り出されました。しかしそのクオリティは非常に高く、各キャラクターを丁寧に書き上げた事でプレイヤーから高い評価を得る事になりました。そしてこのみずいろですが、同時期に発売された「CIRCUS」の「水夏〜suika〜」と、「age」の「君が望む永遠」と並んで2001年の三大タイトルと呼ばれ、その時まで市場を支配していた「Key」と「Leaf」の時代を終わらせたとまで言わしめる作品でした。
と、ここまでは単にねこねこソフトの有名なタイトルを紹介しただけで、ねこねこソフト固有の魅力を語ったわけではありません。ねこねこソフトの真の魅力は、全てのキャラクターを大切にする精神にあります。
その後幾つかのソフトが発売されましたが、その中で共通する点は、どのゲームにも過去に発売したねこねこソフトのキャラクターに纏わるシナリオが含まれているという事です。例えば、「朱〜aka〜」の場合シナリオを全てクリアしますと、おまけシナリオとしてみずいろのショートシナリオがプレイできます。そして、このキャラクターを大切にする精神の主たる部分はファンディスクにあると思います。ねこねこソフトのファンディスクにはゲームごとに発売された物はありません。今まで発売されたのは、「ねこねこファンディスク」、「ねこねこファンディスク2」、「麻雀」、「ぷちファンディスクみたいなの」の四つですが、このファンディスクの凄いところは、後半に発売されたファンディスクでも昔のキャラクターから最近のキャラクターまで満遍なく登場するところです。また、ファンディスクオリジナルのキャラクターなども存在し、これまたそういったキャラクターも全員疎かにせず扱っています。これはキャラクターに対する相当の愛着が無ければ出来ない事だと思います。
この精神は、ねこねこソフトのオフィシャルホームページにでも垣間見る事ができました。トップページのキャラクターが時期に応じて変わるのは当たり前なのですが、ねこねこソフトの場合は昔のキャラクターから最近のキャラクターまで区別なく登場します。まるで、それぞれの作品が単独の物ではなく全てが一体となってねこねこソフトの中にある、といった感触を受けました。
以上のことをまとめますと、ねこねこソフトは売り上げに関わらず全ての作品を大切にしているという事に他ならないと思います。どの作品をプレイしても、キャラクターの扱いが適当になることはありませんでした。さすが、製作スタッフのほとんどがねこねこソフト結成時から変わっていないだけのことはあると思います。ここまで結束して作品に打ち込めるメーカーを私はほとんど知りません。最近になって、ここまで良い雰囲気で作品を作り続けられるメーカーに出会えたことに、感謝の気持ちすら芽生えてきた気がします。
4.おわりに
まあ、何だかんだ言いましたが結局のところ私はねこねこソフトが好きだったという事です。そういえば、私がギャルゲーにはまるきっかけになった要因の一つもねこねこソフトでした。良くも悪くも、ねこねこソフトの雰囲気は最初から最後まで一貫していて安心してプレイできました。このねこねこソフトの雰囲気がずっと大衆から支持され続けたかは分かりませんが、少なくとも私は、この変わる事のない雰囲気がずっと続いてくれたらと思っていました。最近、ねこねこソフトのスタッフの多くが集まって結成した「コットンソフト」というメーカーがあるそうですが、ねこねこソフトの精神を引き継いでくれる事を願うばかりです。
とりあえず私は、時間の許す限りねこねこソフトの残りの作品をやってみようと思います。何だかまとまりがつかないので、とりあえずこの辺りで。
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