M.M 純白のワスレナグサ




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
2 5 - 55 1〜2 2019/3/9
作品ページ(なし) サークルページ



<リアルな女子高生の会話が印象的でしたが、システム面と誤字が気になりました。>

 この「純白のワスレナグサ」という作品は同人サークルである「え別」で制作されたビジュアルノベルです。え別さんの作品をプレイしたのは今作が初めてでして、切っ掛けはC95で同人ゲームの島サークルを周っている時でした。コミケ程の規模になりますと、ビジュアルノベルという細分化されたジャンルから更に細分化されてミステリー・学園・18禁とエリアが別れていたりします。その中に百合のエリアがあるのですが、今回そこでこの作品を見つけました。季節は冬、そしてヒロインの記憶を失った少女、十分自分の琴線に触れるものでありましたし、何よりも百合ですので是非プレイしようと思い手に取らせて頂きました。

 主人公である羽田玲菜(読み方はれな)は、中学の時にとある事故によって意識不明の重体になってしまいました。気が付けば中学を卒業する季節になり、同級生はみな高校に進学しておりました。それでも友人たちは彼女を慕っており、中でも親友である南真矢は毎日のように病院に通っておりました。そして高校二年生になるある時、やっと玲菜が目を覚ましたのです。ですが、玲菜は親しかった友人の記憶を失っておりました。それでも友人たちの態度は変わらず、失われた記憶を探りながら玲菜は高校生活を始めていきます。自分が知らない自分を求めて、クラスメイトや中学時代の同級生と関わりながら高校生活を送っていくのです。

 この作品は百合という事で、立ち絵のある登場人物は全て女の子です。絵師さんは恐らくメインで2人いらっしゃるのでしょうか、登場人物によってハッキリと描き方が違っておりました。それが登場人物の個性となっており印象的でした。そしてこれがこの作品の一番の特徴かなと思うのですが、会話が割と脈絡なく突然場面転換していきます。まるで、本当に女子高生が会話しているかのようです。私も個人的に思うのですが、街中ですれ違う女子高生の会話の展開の速さには本当に脱帽です。よくもまああんなにコロコロと話題を変えられるし簡単に言葉に出来るものだなと感心しております。そんな女子高生らしい日常会話に、人によってはイラっとしたりついて行けなかったりするかも知れません。そんなある意味のリアルさを楽しんて抱ければと思います。

 システム面について少し気になる部分があります。基本的な機能は備わっているのですが、スキップが場面が変わる度に止まりますのでスキップになりません。また一般的なウィンドウモードのビジュアルノベルであれば、スキップしても一瞬だけ文字が見えてそれが高速で進んでいくイメージだと思います。ですがこの作品のスキップはテキストの表示速度に依存しており、表示速度が遅ければ一文字しか表示されないままスキップされていきます。何が言いたいのかと言いますと、スキップしつつも朧気ながらシナリオや場面を思い出す事が出来ないのです。個人的には、スキップする時は一瞬でもウィンドウに全文パッと表示されて欲しいと思っております。後は誤字が多いですね。単純な打ち間違えであれば特に気にならないのですが、登場人物の名前を間違えるのは致命的です。改めて文章を構成される事を願います。

 プレイ時間は私で1時間20分程度でした。この作品には選択肢が幾つかありますが、それによって大きくシナリオが変化する事はありません。是非思いのままに選んで頂きリアルな女子高生の会話を楽しんで頂けたらと思います。最終的に記憶が蘇るのか、それとも蘇らないのか、それを確認するのプレイヤーであるあなたです。結末に対してどう捉えるのか、私は中々解釈に苦しみましたので是非公式的な見解もお聞きしたいですね。まだまだ粗削りという印象ですので、是非ここから新しい作品に向けてブラッシュアップして頂ければと思います。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。








































<百合というよりも友達、そんな当たり前の女子高生の生活を読ませて頂きました。>

 正直言って、あっという間に終わってしまったという感じでした。結局のところ記憶喪失の設定はそれ程生かされているわけでもなく、単純にリアルな女子高生の高校生活を眺めていたという感じでした。それでも、元々仲が悪かったのに最後は仲が良くなる様子は微笑ましく思えました。

 この作品は百合ではありますが、そこまで百合百合した感じはありませんでした。設定としては確かにひなとゆうが付き合っているとかありましたけど、事実としての百合であって雰囲気としての百合はあまり感じませんでしたね。どちらかと言えば、れなとみかが少しずつ交流していく様子が見ていて楽しかったです。スチルの多くもこの組み合わせだった気がします。実際のところ、れなと接点がある人は結構沢山いました。まやを始め、みいなやみかも皆本当はれなを慕っておりれなにとっても大切な友達でした。そんな、失われた時間を取り戻すかの様に流れる学園生活だったなと思っております。

 他の登場人物も始めは喧嘩腰だったり仲が悪かったりしてましたが、最終的にはみんなでみいなの別荘に行く事になりました。もうこの光景だけで充分なんじゃないかって思います。百合というよりも、本当に友達という感じでした。そんなものなのかも知れません。ここから百合に発展するには、一つステージが上に上がりますので雰囲気も変わりそうですね。もし続きが読めるのなら、恐らくここまでの内容が共通ルートでここからが個別ルートですね。個別ルートがあるとしたら、今度は場面の展開ではなく2人の距離の変化に重きを置いてシナリオが展開していくとテンション上がるかも知れません。

 とりあえず書きたい事はこのくらいです。いまいちこの作品のテーマが分かりませんでしたのでどこに軸を置いて書けばいいのか分かりませんでした。記憶喪失なのか、高校生活なのか、百合なのか、そのどれもが駆け足でしたし着地していない感じでしたのでオチが決まらないという感覚です。もしまだ製作途中であり今後完成版が出るとすれば、是非楽しみにしたいところです。もしそうであるのなら、システム面の改善や誤字の修正も併せてお願いして欲しいと思っております。百合というよりも友達、そんな当たり前の女子高生の生活を読ませて頂きました。


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