M.M W-Standard,Wonderland Lv.1




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
7 8 8 81 5〜6 2015/12/13
作品ページ サークルページ



 この「W-Standard,Wonderland Lv.1」は先に発売された「W-Standard,Wonderland Lv.0」の続編となっております。その為レビューには「W-Standard,Wonderland Lv.0」を含めたネタバレが含まれておりますので、ネタバレを避けたい方は避難して下さい。

「W-Standard,Wonderland Lv.0」のレビューはこちら

※このレビューにはネタバレしかありません。前作と本作の両方をプレイした方のみサポートしております。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。





















































































<トトが本当の意味で人間になれるのか、ここからが本当の物語の始まりですね。>

 いやはや、非常に壮大なプロットでした。ワンダーランド編と異世界編がまさか同じ地球の違う時間軸の世界だとは思いませんでした。そしてその狭間にあるのが神視編。何故アトゥムと塔人はこの人間が滅亡しない歪んだ世界を作り上げたのが。そしてその運命に抗う可能性を持ったトトとエバンナのギフトでどのような運命を選択していくのか。これからの展開が楽しみです。

 Lv.0で書かれていたのは本当に序章でした。いや、序章ですらなかったかも知れません。アトゥムによって作られたトトはその目的も理解していないまま普通の少年としてワンダーランドで生活しておりました。そして偶然と見せかけて実は偶然でなかった異世界への移動、実際はトトの頭の中にあった夢の中の異世界だったのでしょう。断片的な記憶のまま再現される異世界とその中に生じていた塔人、零次、俺の3者が入り混じるエラー。再びトトはワンダーランドへ帰ってきました。それでもトトはその時の経験を記憶しておりました。結果としてそれがアトゥムとの再会と自分自身に課せられた運命を認識するきっかけとなりました。

 まだまだ物語は途中ですが、私の中で注目するべき点は割と絞っております。1つ目は異世界編の終わりに何が起きたのかです。Gearの中の各種レポートにより、世界規模の集団感染によって人類が絶滅したことが描かれております。ですがそれだけでは何故塔人だけが生き残ったのか説明がつきません。またアトゥムがどのようにして開発されたのかについてもレポートに書かれておりますが、誰が完成させたのか、またその目的が分かりません。何よりも神視編ではもう1人生き残りがいるみたいです。ここの出来事を丁寧に紐解かないと、物語の真実にはたどり着けないと思います。

 2つ目はトトが行き来しているワンダーランドと異世界の関係です。アトゥムによって2つの世界は同じ地球の違う時間軸である事が語れれました。ですがそれだけでは説明がつかない点が幾つもあります。多くの方が感づいていると思いますが、ワンダーランドと異世界の登場人物達の容姿が似ているのです。エバンナは竹井瑠衣、マラガスは須賀頼馬、アマルナは天野円奈です。となればポッケは誰に相当するのでしょう?そもそも何故この2つの世界の登場人物たちが似通っているのでしょう?無意味にトトがこの2つの時代を行き来しているとは思えません。ワンダーランドと異世界のこの時間軸が選ばれたのにはきっと理由があるはずです。

 3つ目は塔人、零次、俺の関係です。これはもうこの物語の根幹に位置していると個人的に思っております。全ての始まりは彼ら3人の振る舞いからでした。あえて夢の中の世界でエラーを発生させたのも、エラーを発生させないと都合が悪い事があったからなのでしょう。そこにトトは少し踏み込む事が出来ました。トトが運命を変えるにしても、全てのスタートである彼ら3人の行動を知らないとまた運命に呑まれてしまいます。果たしてそれが語られる時がくるのでしょうか。全ての謎が一気に解かれる気がします。

 この作品は元々プレイヤーに謎解きをさせる作品ですので、こんな感じで大いに仮説を立てて1人1人妄想しながらプレイするのが正しいスタイルなのだと思います。予想が当たればバンザイ、そうでなくても明かされた真実にうなること間違いないですね。では物語はどのように読んでいけばいいのでしょうか。それに対する提示が最後の最後にされたと思っております。運命に抗う決断をしたトト。その後押しをしたのはエバンナの力強いサポートです。彼女のメガホンには、かつて夢の中の世界で購入したキーホルダがついておりました。これを見てトトを始めプレイヤーの多くの方が興奮したことでしょうか。誰かに監視されながら終える運命なんて真っ平御免。あのキーホルダには自分の運命は自分で作るという決意の表れに思いました。謎解きと真実の解明と同じくらい、エバンナをはじめとした登場人物達の想いにも注目するべきですね。

 その他思った事ですが、やはり全体を通して演出のこだわりが凄まじかったですね。とにかく動きの演出が目を引きました。時にはCGを使って、時には実写を加工して、時には絵を組み合わせて作られる動きに目は離せませんでした。個人的に気に入ったのは、最後の最後でエバンナの持っているメガホンに付けられたキーホルダが揺れていたところですね。ささやかながら物語の根幹に関わる部分を強調する演出、センスを感じました。後は場面転換の使い方ですね。ワンダーランド編、神視編、異世界編を何度も何度も行き来しますが、そのタイミングが完全に計算され尽くされており主導権をプレイヤーに与えませんでした。時に自動でテキストが進んだりバックログがきかなくなったりなどの演出もありましたので、否応なしに集中せざるを得ません。圧倒されるというのはこういう事を言うのだと思いました。他にもBGMの味わい深さや効果音の種類の豊富さも驚きました。全てを1つとしてW-Standard,Wonderlandを作っていると思いました。

 という訳で正直まだまだ分からないだらけですが、まずは自分が疑問に思った点と注目したい点は必ず消化できるようにしたいと思います。そしてシナリオの最重要点である、トトが自分の運命に抗えるのかという事については特に注目したいですね。電脳を持ちアトゥムの配下として生きてきたトトが本当の意味で人間になれるのか。彼の戦いはこれから始まります。Lv.0のレビューでも書きましたが、「解決できない問題は乗り越えるしかない」ですからね。この言葉も作品を通じてのテーマになりそうです。頑張って欲しいですね。次回が早く読みたいです。


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