M.M ThanatoFobia ひとりぼっちのかげぼうし 第弐章


 この「ThanatoFobia ひとりぼっちのかげぼうし 第弐章」は前作である「ThanatoFobia ひとりぼっちのかげぼうし 第壱章」の続編となっております。その為レビューには「ThanatoFobia ひとりぼっちのかげぼうし 第壱章」を含めたネタバレが含まれていますので、ネタバレを避けたい方は避難して下さい。

・「ThanatoFobia ひとりぼっちのかげぼうし 第壱章」のレビューはこちら

※このレビューにはネタバレしかありません。前作と本作の両方をプレイした方のみサポートしております。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。





















































































<生甲斐を求めるのも人間だけですし、自殺をするのも人間だけですね>

 受験にも就職にも失敗したいわゆる落ちこぼれの主人公である禊萩明日可(ミソハギアスカ)が、いつものようにコンビニに飯を買いに行った帰りの公園でヨミという死神と出会うところから始まったこの物語。全てにおいて投げやりだったアスカですがヨミとの出会いで生きている意味を見出し少しでも彼女と時間を共にしようと心に決めた第壱章でしたが、メイ達と話すようになり自分のウィータのあり方やパラミシアの正体について知るようになるにつれて自分の生きる意味について本当の意味で悩むようになりました。生きるとは何か死ぬとは何か、人間だからこそ抱ける想いにプレイヤーも巻き込んで考えさせられるテキストでした。

 私にとってのウィータの解釈は単純に心の活力のようなものだと考えております。どんな人間でも心の浮き沈みというものは存在し、気分が高揚するときもあれば落ち込む時もあります。そんな心の活力がウィータの色として現れるのだと思います。そして恐怖や寂しさといった感情は否応なく人間の活力を奪い去ってしまいます。暗い空間にパラミシアが多いのはその為です。私にとってパラミシアは心の活力を奪い去る存在と考えております。学校の怪談の考え方は実に分かりやすかったです。後はアスカのウィータの陰りが薄れてきているのは、きっと周りにヨミやメイがいて非日常的でありながらも楽しい日常を送れているからだと思います。今まで人の温かみを知らずに過ごしてきたアスカ、そんなアスカにとって例え死神だったとしても大切な存在になっているんだなと思っております。

 つまるところアスカにとって「パラミシアを倒して人の為になる」という考えもあくまで自分の生甲斐を満たす為であり、本当は人のことなんでどうでもいいって考えているんじゃないかと思っております。後はパラミシアを倒すと言い続けていればずっとヨミと一緒にいることが出来ますからね。だからこそ最後の人型パラミシアの正体が人間かも知れないと聞かされたとき、アスカの信念はあっさりを風化してしまいました。そこまで深く考えての発言ではなかったからです。それでも数多くのパラミシアと対峙して気づいた事もありました。それは「死にたくない」という事。何故死にたくないのかという答えすら求められている状況ですのでまだ中途半端な感じはありますが、この想いはきっと変わらないのでしょうね。

 「生甲斐を求めるのは人間だけだ」というセリフが本編でありました。中々考えさせられる一言だと思いました。他の動植物にとって生きるということはそれそのものが目的であり、どのように生きるかなんて関係ありません。これこそ人間が知能を持ち文化的な生活を送ってきたからだと思います。でも人間が他の動植物と違う事がもう1つあります。それは自殺するという事です。生甲斐を失ったら死ぬ、生甲斐を失ったらそれは生きていないも同然、極端なセリフのように思えますが実際こんな事を思っている人は結構多い気がします。よくサラリーマンでも「毎日仕事だけして帰って寝るだけなんて何のために生きているのか分からない」とぼやいている人は多いと思います。「ウィータは人間にしか存在しない」と言ってましたが、もしかしたらウィータはそうした生甲斐そのものを示している存在だったのかも知れません。

 あと個人的に気に入ったのはBGMも使い方でした。基本的に暗い雰囲気の本作ですがその雰囲気を十二分に醸し出すBGMの種類が意外と多くテンションが上がりました。後は学校で初めて人型パラミシアと出会ったとき、鳥肌が立ちました。背景に溶け込むように存在するパラミシアはそれだけで恐怖の対象でした。後はヨミがアスカを抱えて深夜の街を飛ぶCGがかっこよかったです。これだったら私もヨミと一生一緒にいたいと思うかもしれません。そして最後にまさかの新たな死神の登場です。パラミシアの謎もわかってない中での怒涛の展開、早く第三章がプレイしたいですね。


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