M.M シロナガス島への帰還 DEAD END VER.




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
7 6 - 74 2〜3 2017/10/19
作品ページ サークルページ



<シロナガス島の不気味な雰囲気と、その対比としての出雲崎ねね子のキャラクターを楽しんで欲しいですね。>

 この「シロナガス島への帰還 DEAD END VER.」という作品は同人サークルである「旅の道第三停留所」で制作されたアドベンチャーノベルです。旅の道第三停留所さんと初めてお会いしたのはC92で同人ゲームの島サークルを回っている時でした。パッケージを見て思わず足を止め、そのまま勢いで買ってしまったというのが正直なところです。暗い海を背景としてその上に浮かぶ少女の姿、そしてシロナガス島という絶海の孤島を連想させる舞台、何よりもミステリーアドベンチャーという事で単純に好奇心をくすぐられました。やるからには徹底的に全ての真実を明かしたい、そんな思いでプレイし始めました。

 主人公である「池田戦」はニューヨークで探偵業を営んでおります。その世界では名の知れた主人公ですが、とある大富豪の素行調査をしていた際に突然その大富豪が謎の死を遂げてしまいます。その大富豪が持っていたのはシロナガス島への招待状。明らかに危険な香りがするにも関わらず、果敢にもその謎に挑むところから物語は幕を開けます。特殊な能力を持った少女「出雲崎ねね子」と共にシロナガス島へ向かう船に乗り込んだ池田戦、しかしそれは行ったら二度と戻ってこれない殺人現場への片道切符だったのです。誰が信用できるのか、シロナガス島に隠された秘密とは何か、そして池田戦と出雲崎ねね子は無事にシロナガス島から帰って来れるのか、是非あなたも一緒にシロナガス島の謎に挑んで欲しいですね。

 この作品はクリック型ミステリーアドベンチャーとなっております。ゲームは単純にテキストを読み選択肢を選ぶだけではなく、途中マップをランダムにクリックしてそこから事実を洗い出すパートがあります。まさにプレイヤーが自ら謎を解き明かせるようなシステムです。加えて選択誌の数そのものも非常に多く、様々な人物と会話していく中で幾つものヒントを集め真実を炙りだしていきます。本当に古き良きミステリーアドベンチャーの形式を取っており、純粋にミステリー好きな方であれば楽しめる仕様です。時間を気にせず、気になったところはどんどんクリックしていきましょう。他にも時間制限付きで選択肢をどんどん選んでいき、間に合わなければGame Overな演出もあります。適度な緊張感もあり、気を抜く事が出来ませんね。

 そしてミステリーであり殺人事件という事で、途中結構グロテスクな描写が登場します。死体の姿が登場するのは勿論ですが、その殺され方も中々エグい事になっております。それがリアルに描写され、更にその死体をクリックしながら真実を見つけていくのです。他にも背景1枚1枚も細部に渡って書かれており、シロナガス島の不気味さを演出しております。絵としては水彩画調であり解像度が高いとかそういったものではありません。しかしだからこそサークルさんが書きたいものが如実に浮かび上がり、写真とは違うリアルさを感じる事が出来るのです。他にも途中エレベーターが動く演出があったり、雷が鳴り響いいて一瞬眩しくなる演出があったりと、ミステリーお約束の動的な場面も沢山です。油断していると、思わぬ不意打ちを食らうかも知れませんね。

 この作品の一番の魅力ですが、個人的にヒロインである出雲崎ねね子を押します。この出雲崎ねね子、ものすごい数の属性を持っております。まずは花の女子高生であり誰よりも長く綺麗な黒髪を持っていおります。その上で20ヶ国以上の言葉を話せる天才であり、ここでは書きませんが彼女の持つ能力はミステリー上とても重要なものになってきます。そうでありながら実は超絶コミュ障です。池田戦以外の人とはまともに会話すら出来ません。加えて挙動不審で怖がり、乗り物にも弱くいつも吐いております。天才の癖にあまりにも残念。更には口調は何故か上から目線でボクっ娘、それなのに怖がりなので強がっているのが誰の目にも丸分かりです。まさに小動物の様な愛らしさすら感じます(言動は全く可愛くないですけどね)。正直、殺人事件が起こり誰も信頼できない不気味な雰囲気だからこそねね子の様な存在はいるだけで安心感を覚えます。何よりも彼女の能力が間違いなく事件を謎を解き明かす鍵になっているのです。唯のマスコットではなく重要な役割を持っている、こんな美味しいキャラクターは中々お目見えしませんでしたね。見ていてとても楽しかったです。

 プレイ時間は私で2時間10分でした。この作品はタイトルに「DEAD END VER.」とあります通り、事件の真相にはたどり着けずバッドエンドにしか行く事が出来ません。余りにも謎が多すぎて、加えて真実が見えそうで見えませんので全く真相が予測出来ません。それでもシロナガス島の雰囲気や殺人事件の凄惨さは十二分に味わう事が出来ました。今回ネタバレ有りのレビューは書かない事にしました。まだこの作品から伝えたい事が見えないからです。本当に事件と事実関係が提示されただけです。登場人物達の心の内も分かりません。恐らく今後正式バージョンが登場する事と思いますが、まずはそれまで静かに待つ事にしようと思います。続きが楽しみです。


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現在ネタバレのレビューはありません。見たい方も見たくない方も避難して下さい。