M.M さようなら、援交娘さん。




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
6 8 - 73 2〜3 2015/9/8
作品ページ(R-18注意) サークルページ(R-18注意)



<堕ちてみましょう、この援交娘と。堕ちなければ見えない世界がきっとあります。>

 この「さようなら、援交娘さん。」は同人サークルである「夜のひつじ」で制作されたビジュアルノベルです。「夜のひつじ」さんと聞けば同人ビジュアルノベル界では非常に名の知れたサークルさんだと思っております。コミックマーケットの度に様々なテーマを元にしたエロゲーを制作されており、どんな性癖を持った人でもお気に入りの作品が見つかると思います。プレイ時間もサークル公式で3〜4時間ほどであり、休みの日の午後のひと時を潤してくれる接しやすい長さです。エロゲーですので勿論抜きに関しては申し分ありません。どの作品もシーンの数が多く、回想などのシステムも充実しておりますのでプレイ後も十分楽しめると思います。そんな「夜のひつじ」さんのC88の新作がこの「さようなら、援交娘さん。」であり、儚げに佇むヒロインの姿から決して明るい話ではない事が容易に想像できます。

 この作品のジャンルは陵辱アフターADVとなっております。つまりもうプレイ開始の段階でヒロインは非処女なんですよね。まあタイトルに援交娘とありますのでそんな事は分かりきっております。しかも陵辱、援交の言葉が飛び交っておりますので、このヒロインが想像も出来ないような悲惨な体験をしてきている事も自明です。作品紹介でも「汚してもいい子宮があります」と大変印象に残るキャッチコピーが書かれております。プレイ開始前からどんだけ堕としてるんだよと思いますよね。ではこの作品はそんな堕ちたヒロインとのセックスを描いただけの作品なのでしょうか。勿論そんな単純な訳がありません。彼女は何故堕ちてしまったのか。主人公はそんな彼女をどうしたいのか。そして他ならぬ彼女はどうありたいと思っているのか。是非自分の目でその結末を確かめて下さい。いや、確かめたくない人は確かめない方が良いかも知れませんね。

 最大の魅力はもう言わずもがな、ヒロインである揺子の存在そのものです。セーラー服が似合うような年齢でありながらその体は十分成熟しており、おっぱいなんてこぼれ落ちそうなくらい大きいです。当然Hシーンの数は豊富ですしシチュエーションの数も豊富ですので是非彼女を使ってやって欲しいですね。ていうか援交娘なんですから使わないのは逆に失礼なんですよ。援交娘なんて、汚されるために存在しているのですから。後はBGMが非常に綺麗でした。作品中ずっとピアノを中心とした穏やかなサウンドであり、激しい曲もなければ悲しい曲もありません。ただ綺麗なだけです。まるで堕ちたヒロイン心情とリンクしているかのよう。喫茶店とかで普通に流れていそうな存在感ですので、まさにBGMの役割を果たしていると思いました。サウンドモードがあったらずっと垂れ流ししていたと思う程でした。

 プレイ時間は私で2時間50分程度掛かりました。これも公式HPに書いておりますが、エンディングは2種類ありプレイ後はおまけシナリオがあります。この2種類のエンディングなのですが、皆さんが果たして最初にどちらのエンディングを選ぶのか是非知りたいですね。それだけ決定的な選択肢が存在しているという事であり、プレイヤー1人1人が彼女に対してどう思っているかが如実に分かるものとなっております。そしてその選択の先に待っているエンディングは果たして自分が求めていた物でしょうか。そんなつもりじゃなかった、って後悔するかも知れませんね。もし後悔するのであれば、きっとあなたはまだまだ堕ちていないんですよ。堕ちが足りないんです。堕ちてみましょう、この援交娘と。堕ちなければ見えない世界がきっとあります。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。








































<さて、魔法は解けました!後は回想シーンで好きなだけ揺子ちゃんを便器にしましょう!>

 私、実はパッケージを見て直ぐに違和感を感じていたんです。彼岸花に囲まれた世界で虚ろげな表情を見せる揺子、でも鏡に映った姿は泣いておりました。この時思いました。この娘は壊れているのに何故泣いているのかと。泣くくらいの余裕がまだあるのかと。そしてその理由はプレイ後に分かりました。鏡の姿、あれって片瀬の願望が作り出した姿だったんですね。その願望が壊れたとき、彼女は唯の人形になってました。そしてそれはプレイヤーも同じだったと思います。

 当たり前のことを言いますけど、援交娘をプレイする人って100%エロい事を想像しながらプレイするんだと思うんです。このヒロインとのHシーンはいつ始まるんだろう、どんなシチュエーションなんだろう、って。それってもう、はなからヒロインはAV女優と同じなんです。純愛系のエロゲーをプレイするのとは訳が違うんです。だってこれは援交娘なのですだから。エロい事が約束されているのだからエロさを求めるのは当然なんです。何が言いたいのかといいますと、プレイヤーは既にこのヒロインに対して性的な事しか期待してないんですよ。別にヒロインの心なんか大事になんかしなくていいんです。自分のお気に入りのシーンで好きなだけオナニーすればいいんです。人形のように扱えばいいんです。……涙なんか、いらないんですよ。

 ですがパッケージの鏡に映った揺子の姿、これだけでプレイヤーに魔法が掛かりました。もしかしたら、このヒロインは唯の援交娘じゃないのかも知れない。実は心に深い傷を抱えていて、主人公がそれを癒すシナリオが待っているのかも知れない。エンディングの2種類のうち片方は救われるシナリオなのかも知れない。誰もがそう思ったと思います。私もそう思いました。その瞬間、このヒロインはただのAV女優的な存在ではなくなりました。ちゃんと個を持った大切にしなければいけない一人の人物になりました。彼女の結末を見届けるまで、決して見捨てることは出来ないんです。そんな魔法があのパッケージには込められていたと思います。

 ですが結果としてその考えは間違いであった事が分かりました。上でも書きましたが、皆さんがプレイ前に僅かでも描いていた希望、これって主人公である片瀬と同じなんですよね。片瀬は始め自身が抱えていたセックスに対するトラウマを解消する為に揺子と関係を持ちました。なんでこの娘はこんなにも献身的なんだろうと思いながらも自分の事しか考えてませんでした。そしてようやく中出しを達成し改めて彼女を見つめたとき、彼が失ったのは童貞を含めた何もかもだという事に気付きました。失ったというよりも奪われたんですね。唯一のトラウマが解消された時、自分の悩みのあまりの浅さに愕然としました。同時に揺子の底の深さにも愕然としました。童貞喪失のなんてちっぽけな事!その瞬間、片瀬にとって天使にも見えた揺子は何か理解できない得体の知れないものに見えたのでしょうね。だから片瀬はこの子を愛する事を諦めました。諦めたというよりも嫌悪しました。後は体を借りるか借りないかだけでした。本当に、始めから壊れていたんです。感情なんて無かったんです。彼女に同情の余地なんて、既に無かったんです。

 これは陵辱アフターADVです。もう陵辱は終わっているんです。彼女の物語は終わっていたんです。最後の最後で片瀬という男にしがみつき、二度と取り戻せない人の心のようなものの真似事をしていたんです。始めから期待する方が馬鹿だったんです。その魔法が解けたとき、鏡は割れておりました。彼女に心がない事がはっきりしました。そうと分かれば、後は好きに使いましょう。3時間程度のプレイ時間の作品なのに何と13個もの回想シーンがあるんですよ!皆さんどのシーンが好きですか?最初の方の純愛風のが好きですか?陵辱が好きですか?腹ポテが好きですか?好きなので楽しんで下さい!大丈夫です!この娘はもうとっくに壊れてるんですから!


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