M.M Sanguinea-サングイネア-




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
5 6 5 68 1〜2 2014/4/13
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<是非日常と非日常の対比を楽しんで頂きたいですね>

 この「Sanguinea-サングイネア-」という作品は同人サークルである「すにぃる」で制作されたビジュアルノベルです。C85で同人ゲームサークルを回っている時に入手した作品でして、パッケージの華やかさと日常の中に突如現れる非日常のファンタジー物なあらすじに心惹かれたのを覚えております。感想ですが、日常の世界観と非日常の世界観の違いが楽しく早く物語の真相に辿り付きたいと思わせる内容でした。

 公式HPでも紹介しておりますが、主人公である葛城ジンは普通の大学生で授業の課題で夜の大学に残っておりました。すると突然この世のものではない謎の影に襲われ、その時にヒロインである結城あやめに命を助けられます。この出会いから葛城ジンと結城あやめの非日常生活の幕を開けることになります。最大の魅力はこの日常と非日常が混在する世界観ですね。一方では普通に大学生活を行いもう一方では影との戦いに赴きます。プレイヤーには是非昼の日常的な普通の大学生活と、夜の非日常的な影との戦いの生活のギャップを楽しんで頂きたいですね。

 そして影という異能の存在とのバトルものという事で戦闘シーンは見ごたえがあります。特に効果音に私は驚きまして、影を斬る剣の音を始め様々な能力による戦いを盛り上げてくれます。あらすじの通り特別戦闘能力を持たない主人公はヒロインに助けられる構図になりがちですが、そんな主人公に協力を仰ぐには当然理由があり戦闘は2人の協力プレーで進んでいきます。果たして影の正体は何者なのか、主人公の持っている能力とは何かを考えながら読み進めるとまた面白いかもしれません。

 という訳で日常と非日常の対比が面白い世界観とシナリオでした。プレイ時間は私で1時間30分であり、短めですので時間のない方にもオススメです。是非全てのシナリオを読んで非日常世界の結末とこの「Sanguinea-サングイネア-」というタイトルの秘密を見届けて欲しいです。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。








































<求めていたものは3人が一緒にいられる慎ましい生活でした>

 素直に驚きました。結城あやめがデータの存在であるだけでも驚いたのにまさか主人公までがデータだとは思いませんでした。そしてそんな2人は生みの親である奈々宮小翠が求めていた友達の姿そのもの、この物語には全ての登場人物の想いが関係しておりましたが願っているものは全て同じでしたね。

 人と上手くコミュニケーションが取れない小翠にとって自分の勉強ができる才能はある意味唯一自信が持てる物であったと思います。そしてそんな自分の才能でデータではありますが自分の理想の友達を手に入れられるのであればそれは必死に努力するのだろうと思います。ですが余りにも人間的に動くその姿を見て、自分の作った「Sanguinea-サングイネア-」の中に閉じ込めておくことに罪悪感を覚えたのだと思います。ここから彼女の身を削る思いで2人の記憶を消しながら何度もリトライして2人を解放する戦いは始まりました。

 ですが記憶がリセットされるとは言え当の2人はただ「Sanguinea-サングイネア-」から解放されることを望んでいるわけではありませんでした。望んでいるのは小翠を含めた3人での自由な生活、最終的に家族と言ってました通り慎ましくてもいつまでも一緒にいる生活でした。だからこそ小翠が自分の命を犠牲にして「Sanguinea-サングイネア-」を放棄するときに2人もまた自分の命を犠牲にしてまで小翠を助けようとしたのでしょうね。ですが2人には犠牲になるつもりはありませんでしたね。最後には3人で生活する為に体を張ったのです。田舎での穏やかな3人での生活を見て、それが叶ったのだなと思いとても安心しました。

 正直「Sanguinea-サングイネア-」のシステムやバグや結界の仕組みについては完全に理解出来ませんでしたので間違いがあるかも知れません。それでも3人で家族として慎ましく生活する想いは間違っていないと思います。前半はジンがあやめか小翠のどちらかと恋仲になるシナリオでしたが、成程確かにそれでは3人での慎ましい生活にはたどり着けませんね。2人が生まれた時の記憶を取り戻し本当に叶えたいことを見つけた時、それが物語の終焉の時でした。決して派手ではないですけど慎ましく幸せな生活が3人を包んでくれるものだと信じております。ありがとうございました。


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