M.M サンダガ!! -HONEY'S END SUPERNOVA-




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
4 3 4 65 3〜4 2016/9/11
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<超個性的な登場人物と場面転換の速さはまさに「サンダガ」そのもの!>

 この「サンダガ!! -HONEY'S END SUPERNOVA-(以下サンダガ)」という作品は同人サークルである「F.T.W.」で制作されたビジュアルノベルです。F.T.W.さんの作品は過去に「死埋葬」「黒白痴」「柘榴草紙」の方をプレイさせて頂き、死生観と言いますか人の内面を包み隠さず描くシナリオがとても印象的に残っております。どの作品も基本的に非日常を描いたものであり、それがF.T.W.さんらしい独特の世界観を作り出しておりました。ですが今回レビューしているサンダガがまさかのドタバタ学園ラブコメという事でそのギャップに驚いております。果たしてどんなシナリオが待っているのか楽しみにしながら今回のレビューに至っております。

 「サンダガ」と聞いて皆さん何を思い浮かべるでしょうか。ほとんどの人がSQUARE ENIXの大作RPGシリーズであるファイナルファンタジーの雷属性魔法を思い浮かべると思います。ほとんどのシリーズで雷属性の最強魔法であり、弱点を突くことで圧倒的な効果を得ることができます。ちなみに個人的に一番印象的なのはFFIVで試練の山クリア時にテラがガ系の魔法を全部覚えた場面で、その後の昔の水路でスプラッシャーとかフラッドウォームに無駄に9999ダメージ与えて俺TUEEEEEEしてました。他にはFFVでいかづちのロッドを大量に買い込んでソル カノンに投げまくったり(いかづちのロッドは投げるとサンダガの効果)、FFIXの序盤でギザマルークの洞窟から外に出たフィールドで出るグランドドラゴンを無駄に倒そうとして奴が放つサンダガ対策で少し前のリンドブルムの狩猟祭でさんごの指輪を手に入れるために最初からやり直したり(さんごの指輪は雷属性を吸収できる)、後は同じくSQUARE ENIXのアクションRPGであるキングダムハーツで地味にザコ敵を一掃させるのに効果的なので他のガ系と比べて使用頻度は多かったりホワイトマッシュルームから満たされるしずくを手に入れる時に重宝したり…………まあ色々と印象深い魔法だった記憶があります(まだ書き足りない)。

 とまあ色々と書いてしまいましたがいずれにも共通なのは雷属性最強の魔法であるという事です。強いイメージの象徴であり、圧倒的な安心感があります。主人公である轟源氏朗はノリがよくそれでいて正義感溢れる正確であり、苗字の「とどろき」はまさに雷を連想させます。またメインヒロインである咬鳴夜重は学園の生徒会会長で、その美貌とカリスマ性で多くの生徒の憧れの対象です。何よりも苗字が「かみなり」ですからね。まさにサンダガのイメージをそのまま与えたような存在です。正直珍しいと思いました。ヒロインがカリスマ系のビジュアルノベルって、得てして主人公はツッコミ役に徹して振り回されるパターンが多いのですが、今作はヒロインも主人公も我が強いですからね。一風変わったドタバタを味わう事が出来ます。

 また主人公とヒロインだけではなく他のキャラクターも非常に個性的です。悪友は実に悪友でありクラスメイトの女の子はその絶妙な距離感で常に主人公をいじってきます。妹も2人いて片方は素直で片方はツンデレです。他にも両親も主人公同様中々破天荒な正確だったり、主人公の因縁の相手がけんかを吹っかけてきたり物語後半では重要な人物が出てきたり、全ての登場人物に愛着が持てますね。ヒロインは2人ですのでその多くの人物は攻略対象ではないのですが、願わくば他の登場人物も攻略したいと思いましたね。それだけ力のある登場人物ばかりでした。

 プレイ時間は私で3時間程度掛かりました。共通パートで30分程度で個別シナリオで1時間強という感じですね。分岐も選択肢の数は少ないですので簡単にそれぞれのシナリオへ行くことが出来ると思います。また場面がコロコロと変わりますのであっという間に時間が経過していきエンディングを迎える事が出来ます。このスピード感もまた「サンダガ」のようですね。是非主人公とヒロインを筆頭とした個性的な登場人物に揉まれ、楽しい学園生活を味わって頂ければと思います。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。








































<恋愛シミュレーションにおいて、キスの描写ってSEX以上に特別なものだと思っております。>

 終わってしまえば何ともまああっという間という印象でした。5月の持ち物検査の時に再会し、そこから生徒会に入り文化祭や様々なイベントをこなして気が付けば卒業式。ここまでの1年弱の出来事が僅か1時間30分ですからね。まあ普通のドタバタ学園ラブコメですので間延びするより全然良かったのですが、もっと彼ら彼女らのエピソードを読んでみたいと思いました。

 少し勿体無いと思ったのは、メインヒロインの2人以外の登場人物達についてあまり掘り下げがなかった事です。ここで言う掘り下げというのは登場回数やセリフなのではなく内面や心理描写の事です。轟源氏朗の悪友であり裏で様々な情報を握っている稚馬近真志、適当に見えていてその行動力は咬鳴夜重も認めるところであり文化祭や決闘の場面ではその情報力を十二分に発揮したポテンシャルを見せてくれました。ですが源氏朗と真志の出会いについては説明程度でしか書かれておらず、何故真志がここまで源氏朗に陶酔するのか知りたかったですね。クラスメイトである八坂韻子もどのマイペースで毒舌なキャラクターがかなり光っていて個人的にかなりお気に入りでした。ですが逆に言えばそれだけでしたので本音として源氏朗の事をどう思っているかは伺い知ることは出来ませんでした。もちろん決闘の時に味方をしてくれたので好感を持っているのは間違いないでしょうが、友達としてどう思っているのか、恋愛としてどう思っているか、そんなこそばゆい描写も見てみたいと思いました。

 その分メインヒロインの2人は時間をかけて表現しているなと思いました。基本的に源氏朗と2人っきりの場面が多く、惹かれあうのは自然の流れでした。個人的にお気に入りなのはキスの描写が丁寧で多かった事ですね。私、恋愛シミュレーションにおいて全年齢でも18禁でもキスの描写って特別だと思っております。始めは相手に触れるのも緊張していたのに自然と手がふれあい唇が触れ合う、この感覚は思春期の男女らしくてすごく好きです。特にサンダガの中では頬へのキス、額へのキス、そして唇へのキスと幾つものキスが出てきて読んでいてにやけてしまいました。これぞまさにラブコメの象徴ですね。

 そして普段とは違う本音が現れたときのギャップも印象的でした。夜重が駿河七観と源氏朗がキスしている場面を見たあとの「うるさいうるさいうるさい!」は普段の夜重だったら絶対に表に出さない姿であり、本当に源氏朗の事が好きなんだなという事がよく伝わりました。他にも秋子がお酒を飲んだ時に「ばふーっ!」って叫んで絡みつくように源氏朗にくっついた姿も好きですね。普段は凛々しく膝枕をしていても油断しない秋子のあられもない姿を見れて楽しかったです。ギャップといえば何だかんだで水菜が一番光っていたかも知れませんね。普段は興味のないフリをして兄貴に事になるとそわそわし出す。ここまで理想的なツンデレもそういるものではありませんね。

 という訳で散文的になってしまいましたがサンダガのレビューでした。本当主人公をはじめどの人物も我が強くて自分の気持ちに真っ直ぐで、本当サンダガのように一直線でした。七観のセリフで「楽し過ぎて、眩し過ぎて」とありましたが本当その通りで、こんな楽しい生徒会だったら自分も入ってみたいと思いました。眩しすぎる辺りもまたサンダガのようですね。私も時には遠慮せず、サンダガのように真っ直ぐに突き進んでみようかと思いました。ありがとうございました。


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