M.M Re;world episode3




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
7 5 7 81 5〜6 2017/11/4
作品ページ サークルページ(R-18注意)



 この「Re;world episode3」は前作である「Re;world episode1」「Re;world episode2」の続編となっております。その為レビューには「Re;world episode1」「Re;world episode2」を含めたネタバレが含まれていますので、「Re;world episode1」「Re;world episode2」のネタバレを避けたい方は避難して下さい。

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「Re;world episode2」のレビューはこちら

※このレビューにはネタバレしかありません。前作と本作の両方をプレイした方のみサポートしております。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。





















































































<この作品は人間が神に挑む物語ですが、それ以上に自分に挑む物語だと思いました。>

 人間の運命が予め神によって決められている世界、そんな世界の中で運命の輪から外れた主人公達が堕天使ベヌスと共に神に戦いを挑み自分の意志で生きる世界を目指すという非常にスケール感の大きい作品である「Re;world」もようやく完結となりました。前作である「episode2」をプレイしてからかれこれ4年もの年月が経過しており、ある程度の内容は覚えておりましたが人物名とか立場とか細かいところは忘れておりましたので思い出しながらじっくりとプレイさせて頂きました。

 改めて振り返ってみて、かなり王道な展開だったなというのが正直な印象です。人間側は皆自分の役割を理解しており、それぞれが最大限に出来る事を貫き通しました。アポカリプスの大剣による地球崩壊の危機も、お互いがお互いを信じて行動した事で回避する事が出来ました。誰か一人諦めていたらその瞬間人類は終わっていたのだと思います。そして最終章で御影を天界へと届ける場面も同様でした。これまで助け合ってきた仲間達が命をかけて御影を支え続けました。もうあの仲間たちの笑顔を見る事は出来ないのです。それもこれも、彼らの強い絆と信じる心があったからです。何よりもベヌスの「お前達の未来は、お前達で切り開く!」という言葉をちゃんと実行できたのが立派でした。

 それに対して天界側の何とも混沌としていること。ようやく動き出したユピテルを含め、実に人間臭いキャラクターばかりでした。これは人間臭いという事を批判しているのではありません。人間臭いキャラクターばかりなのに世界や歴史のスケールが大きい為、ありとあらゆる出来事が大げさに展開されてしまっているという事です。人間という概念が存在しない時代から生きてきたユピテルとその妻ヘラー。自分たちとは毛色の違う存在を魔物と決めつけ断罪するところから歴史が始まりました。既にこの段階でユピテルの思い込みと驕りが見えてましたね。挙句の果てには娘であるロキを使ってまで自分の欲望を満たそうとしました。こんな存在、神かクズにしかなりようがありません。よくもまあこれだけ自己顕示欲を肥大化させられたものです。

 そんなユピテルが作り出した天界と人間界です。はなからユピテルを唯一神と定めて敬うという事が間違いだったのかもしれません。全知全能な存在などいないのです。では、人間や天使達は何を信じて生きていけばいいのでしょうか。それが物語の最後で言っていた「自由意思を持って自らの足で進んでいく」という事だと思います。天界で一番の存在であったユピテル、そのすぐ配下には3人のセラフがおりました。ですが、彼女らのその後は三者三様でした。自分が正しいと思う事に執着したベヌス、ユピテルに従う事に執着したアーク、天界の頂点になる事に執着したセラ、執着するものが違えはいつまでも一緒にいることは出来ませんね。なんだかんだ言って、彼女たちは初めから自分の足で自分の人生を歩んでおりました。

 そして結局のところ、全ての登場人物達が何かしらの決断をしておりました。セラに付き従えていたマチルダは最後は天使としての矜持を守りセラに歯向かいました。リアもまた地獄に落ちても自分の思いを誰かに伝えるために精神を残し続けました。カイルやカティオも同様でした。人間側もそうでした。セツは自分達の想いを神に伝えるためにバベルの塔を登り続けました。ロキは逆に神を殺すために全てを捨てて方舟に乗り込みました。皆同じでした。人間も天使も神も同じでした。結果として生き残ったのは、自分の信念を信じた物に向かった者のみでした。他人が作ったもの、例えば権力や地位を目指した者はみな一様にいなくなってました。他人の時間を生きるのではなく自分の時間を生きる、そんな事もこの作品には込められているように思いました。

 まとまらなくなりそうなのでそろそろ締めようと思います。壮大な世界観の中で自分の信念を探し戦う姿はどれも見どころ満載でした。膨大な伏線も殆ど回収され、最後どのようなエンディングを迎えるのか気になりながらプレイ出来ました。誰が悪いとか誰が良いとか無いのかも知れません。この作品は人間が神に挑む物語ですが、それ以上に自分に挑む物語だと思いました。大切なもの、大事にしたいものを見失わない事、その大切さを感じる事が出来ました。何よりもこの「Re;world」という作品の完結を見る事が出来たのが嬉しかったです。非常に壮大なプロットであり、episode1から数えてトータルで15時間以上のボリュームでした。US8さんの1st prpject、完成本当におめでとうございました。ありがとうございました。


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