M.M REVIVAL RESET




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
8 7 5 84 7〜8 2015/5/9
作品ページ サークルページ



<登場人物のリアルさこそ、テキストを読み進める原動力になりますね。>

 この「REVIVAL RESET」という作品は同人サークルである「楽想目」で制作されたビジュアルノベルです。楽想目さんの作品はこれまでプレイした事はなかったのですが、ある日楽想目代表のものらすさんから是非プレイして欲しいとの依頼を頂きました。私もこれまで幾つかの作品をプレイしてきたのですが、サークルさん側から直接プレイして欲しいという依頼を頂いたのは今回初めてであり、正直嬉しさで暫くはのたうち回っていました。つい最近までCOMITIA112に参加するノベルゲーム部の準備に追われていた事もありプレイ出来ていなかったのですが、ようやく一区切りついたという事で今回のレビューに至っております。

 主人公である瀧瀬結真は高校に通う普通の男子学生。ですが彼は極度の人見知りの為か他人とコミュニケーションを取ることが苦手であり、その為にクラスメイトからも忌み嫌われておりました。そんな主人公の唯一といっていい趣味はゲームをすること、ですがそれも人とワイワイ楽しむのではなく家でビデオゲームをしたり1人でゲームセンターに行ったりする程度でした。そんな主人公には人懐っこい妹がいました。ある日妹が遊びに来て、その後クラスメイトである桐崎彩華と関わっていくのですが、その時偶然手にとった1枚の古びた紙がこの3人の運命を弄ぶことになります。

 最大の魅力はやはり登場人物のパーソナリティですね。主人公である結真のコミュ障っぷりはホント筋金入りで、割と多くの人がイライラする事と思います。ですがこの姿こそまさにコミュ障の性質そのものであり、リアルさに拘った結果なのだと思います。人と話そうとすると声が出なくなるって、本当なんですよね。だからこそあれだけたどたどしい会話になるんですよね。逆に妹は天真爛漫であり、こちらも中途半端ではなく突き抜けた性格をしております。主人公がコミュ障であるのに対して底抜けに明るいので、絶妙なバランスになっていると思いました。他の人物も個性こそ強くはないかもしれませんが、性格に芯が通っておりプレイ開始早々でキャラクターを掴めると思います。絵柄こそ平坦な印象で始めは取っ付きにくいと思うかも知れませんが、そこは少し読み進めるだけで気にならなくなると思います。

 後はテキストにもこだわりを感じました。この作品、ツッコミのキレがかなり良いです。妹が天真爛漫である事もあり割と妹がボケて兄がツッコむパターンが多いのですが、コミュ障とは思えない切れ味です。その切れ味は実際のテキストでフォントを変えて強調しているほど。私も何度が思わず吹き出してしまいました。そんな絶妙なツッコミですが、何故かバックログでは表示されません。ある意味これも演出なのかもしれませんが、ちょっと見返したいなと思ったときに表示されないのは少し残念に思いました。まあ、残念に思えるようなツッコミが満載ですので、是非見逃さないようにクリックして読み進めて頂きたいですね。

 プレイ時間ですが私で7時間45分程度掛かりました。この作品は基本1本道であり選択肢に悩む事はありません。ですが選択肢に悩まなくてもシナリオには頭を回転させる事になると思います。唯の学園ものではないSFな設定もあり、今どういう状況なのか、主人公は何をしなければいけないのか、作品全体のルールはどうなっているかなどに注意しながら読み進めるとより楽しめると思います。公式HPでも先が気になるシナリオを銘打ってますが、まさにその通りで私もクリックする手が止まりませんでした。そしてネタバレなしなので具体的には書けませんが、是非最後の最後までプレイして彼らの結末を見届けて欲しいですね。この作品、普通のビジュアルノベルにはない面白いギミックが施されております。ギミックに気づくのは大変かも知れませんが、丁寧にテキストを読んでいる人であれば必ず見つける事が出来るはずです。まあ、ギミックについては頭の片隅に置いておいてまずは真っ直ぐEDを迎える事ですね。是非多くの人の手に触れて頂ければと思います。オススメです。


→Game Review
→Main


以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。




























ちなみに、自力で真EDにたどり着きたいという人は絶対に先に進まないで下さい。





































<人生はやり直せない、そんな当たり前の事をプレイヤーの胸に刻んでくれる、人生観に訴える傑作だと思いました。>

 いや〜のめり込んでしまいました。楽想目さんのHPでも「このノベルゲームをやっている未来のあなたはのめり込んでいます。」とかなり強気な宣伝をしておりましたが、その宣伝文句に偽りなしの出来だったと思います。特にベルブにはめられゲームの世界に入ってからの加速度が異常でしたね。ゲームのルールはどうなっているのか、彼女たちの命運はどうなるのか、3つのオーブの行方は、主人公はどうやって問題解決していくのか、などなど見どころ満載でした。手に汗握りながらクリックしておりました。

 「ゲームはやり直せても、人生はやり直せないんだよね。」妹がリバリセの中に入った時に喋ったセリフです。言葉だけを読めばまさにその通りであり頭では理解出来ると思うのですが、正直私を含めこの言葉の重みについて恐らく正しくは理解していなかったのだろうと思います。事実結真もその1人で、自分の選択で大切な人が死ぬという状況に追い込まれて初めてこの言葉を実感し出しました。「たたかう」を選ぶべきか「ぼうぎょ」を選ぶべきか、「セーブ」するべきが「リセット」するべきか、普段であれば特に深く考えずに選択していたものが全て取り返しのつかないものになっているのです。これはもはやゲームではありませんね、ゲームのような世界観で歩む人生だと思いました。そんな結真の苦悩が伝わったからこそ手に汗握ったのだと思います。

 それでもまだどこかで結真は自分に対しての甘えを捨てきれませんでした。1つ目のオーブを取るときに折原さんとまともに話せなかった事、桂木に対して強く言えなかった事、水橋さんのお願いに対しての返事を渋った事、どこかで自分を守りたいという気持ちが働いたんですね。でもそれは仕方のない事。今まで出来なかったことに対してぶっつけ本番で立ち向かえば失敗する可能性は非常に高いです。ましてや人生はやり直せないんです。失敗したらそれまでなんです。そんな状況において、簡単に決断する事は困難だと思います。ですが、正直これは唯々結真が甘えていると思われて仕方がありませんね。何しろ人の命が掛かっているのです。第一印象で持たれた偏見や自分の行動で失った信頼を取り戻すのは確かに大変ですが、命が失われれば絶対に取り戻せないのです。比べる次元が違い過ぎます。ここで大切なのは決断力だと思いました。結真は自分が傷つく事を恐れて決断出来てませんでしたが、そんなことは言っていられない状況なのです。状況を正しく認識して素早く決断する、思えば今回の一連のシナリオはそうした結真が一歩前に出るための試練だったのかも知れませんね。

 そしてこの作品を語るにあたってネタバレ無しでも書いたギミックについて触れなければいけません。正直な話、私の場合はあたりは付いてました。スタッフロールが終わってないのに瑠璃が現実に戻った時、実は違和感を感じてました。ルール上ではスタッフロールが終わらないと完全にクリアにならないからです。そしてあのタイミングで入るこれみよがしなスタッフロール、どこか違和感を感じてました。とはいえきっと2週目を始めればゲーム中で出てきた選択肢を今度こそ自分で選ばせ、最後に3つ目の選択肢が登場して2人共問題なく現実に戻ってHappy Endだと思ってました。ですがそうはなりませんでしたね。この瞬間、私は自然とスタッフロールの電源ボタンを押していました。そしたらもう!話が続くではありませんか!久しぶりに「うおおおおお!!」って叫んでましたね。ちょっと近所に迷惑だったと思います。そして今まで楽勝だった戦闘に対するアンチテーゼのような絶望感溢れるラストバトル、怖かったです。これこそ真の恐怖であり結真が真に乗り越えなければいけない壁でした。本当、3人無事にもどってこれて良かったと心から思いました。

 後はこれもネタバレ無しで少し書きましたが登場人物の心理描写がかなり心に刺さりました。特にラストバトル周辺の瑠璃と彩華の叫びは痛烈でした。「最後に悠斗に合わせて…。」「もう、決心が鈍るから早く選択して!」と表向きは覚悟を決めたはずなのに「いやあああ!死にたくない!!」って本音を漏らした時、ちょっと涙が出そうになりました。そしてその後瑠璃の「セリフで泣いている姿」と「心から泣いている姿」の表情差分を見て、涙が流れてました。あれは、重かったですね。この作品、初めこそキャラの立ち絵が平坦だなと思っていたのですが、この平坦さで描かれる涙が逆にストレートに私の心を叩いてきました。ここまで私の心を掻き毟るなんて、もう圧巻としか言えませんね。

 そろそろダレてきそうなので締めたいと思います。学園ものかと思えば壮大なSF仕立てのシナリオは男心をくすぐり、心をガッチリと掴んできました。その中で表現される主人公の心の葛藤、怖くても一歩前に進まなければという決断の大切さを感じる事ができました。そして作品の設定を巻き込んで仕組まれたギミック、ビジュアルノベルの面白さに溢れておりました。メインの3人を中心として最終的に全ての登場人物が印象に残り、心から真EDにたどり着けて良かったと思いました。学園の暗さとファンタジーの明るさの対比、主人公の暗さと妹の明るさの対比、そしてそれら全てを巻き込んだREVIVAL RESETという作品、決して忘れる事はないと思います。人生はやり直せない、そんな当たり前の事をプレイヤーの胸に刻んでくれる、人生観に訴える傑作だと思いました。ありがとうございました。


→Game Review
→Main


以下は上記のレビューを公開してから二日後に追記した内容です。
自身のレビューを見返し書き損じた内容を書いております。








































<せめて私たちプレイヤーだけは結真の味方でありましょう>

(2015/5/11 追記)

 二日前にRIVIVAL RESETのレビューを書いたという事で改めて見返してみたのですが、私肝心な点について書いていませんでした。それは、この作品において一番頑張ったのは主人公である結真であるという事です。ギミックの驚きやヒロインの悲痛な心の叫び、そして作品のテーマにばかり目が行って最も讃えるべき結真について割と厳しめに書いてしまいました。これは流石にいけないと思いましたので、ここではなぜ結真が最も讃えるべきと思ったかについて書いてみようと思います。

 この作品において結真の扱いは本当に厳しいものでした。コミュ障という事で始めからプレイヤーをイライラさせ、いざリバリセが始まっても殆ど彩華が主導でゲームが進んでいきました。その中で少しは結真も一歩前に出る頑張りを見せましたが、それでも最後までどこか頼りない雰囲気は抜けず相変わらずの性格で終わりました。ですが彼は一人最も厳しい戦いを行っておりました。それは孤独との戦いです。

 リバリセのルールの1つに、リセットしたら記憶が消える事が挙げられます。つまり、様々な課題を結真、彩華、瑠璃の3人で一生懸命こなしても、その頑張りを他の2人は忘れてしまうのです。この忘れるという事、始めこそ設定上しょうがないなと思っていたのですが、後半になるにつれ結真に重く重くのしかかってきました。特に万策尽きてからせめて彩華と精一杯会話をしようと誓った終了72時間前。どれだけ彩華と会話をしても全て忘れてしまうのです。それを知っているのは結真だけ。この孤独は相当のものだと思いました。

 孤独は本当に辛いと思います。一番辛い時に誰にも相談出来ないし誰とも想いを共有出来ないんです。これって、もう彩華と瑠璃とは違う時間を生きているという事。結局は一人で頑張らなければいけない事だと思いました。作中ではそんな孤独の辛さなんて感じる余裕もなくラスボス撃破まで突き進みました。そしてその先に待っているどうしようもない絶望。でもルール上まだ72時間はあるのです。この時初めて結真は孤独を実感しました。ここからが、本当に試練の始まりでした。

 もしかしたら、結真は彩華や瑠璃と一緒にこの結末を嘆きたかったのかも知れません。最後の2時間になった時、そして疲れ切った自分の顔を見られたとき、自然と涙が出ておりました。これは2人のうち1人を殺さなければいけない辛さによるのでしょうか、そんな自分の辛さをやっと曝け出せる解放感もあったのだと思います。そんな綺麗な感情と汚い感情が混ざり合って流れた涙、この時やっと結真は孤独ではなくなったのかも知れません。

 ですが、唯一結真と同じ立場で時を過ごしている人がいました。それこそが私たちプレイヤーです。我々だけが結真の頑張りを忘れずに記憶出来るのです。多くの人が結真はコミュ障でネガティブで決断力のないキャラクターだと思った事でしょう。ですが同時に一番頑張って一番孤独だったのも結真だという事を感じたと思います。せめて私たちプレイヤーだけは結真の味方でありましょう、と少し日数をおいて最終的にたどり着いたこの作品への感想でした。ここまで読んで頂きありがとうございました。


→Game Review
→Main