M.M レッドゾーン エピソード0「ただの一般人弥生さん」




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
3 5 - 60 〜1 2017/2/12
作品ページ(なし) サークルページ



<まずはセンス溢れるツッコミところ満載のテンポある会話とテキストを楽しみましょう!>

 この「レッドゾーン エピソード0「ただの一般人弥生さん」」は同人サークルである「鬼りとく」で制作されたビジュアルノベルです。鬼りとくさんと初めて出会ったのはCOMITIA119で同人ゲームサークルの島を回っている時でした。COMITIA119は私と知り合いの方の2人で入場したのですが、始めは知り合いの方ゆかりのサークルさんのところに向かい作品や表現について色々と雑談してました。そのサークルさんの1つがこの「鬼りとく」さんであり、ゲームのみならず創作についてザックバランに楽しく雑談できた事が印象に残っております。そんな「鬼りとく」さんの頒布物がこの「レッドゾーン エピソード0「ただの一般人弥生さん」」であり、偶然の縁に感謝して早速プレイさせて頂きました。

 主人公である日下部あおいは人間関係を作るのが苦手であり、10年もの間ひきこもりの人生を送っておりました。現在は外に出て普通と変わらない生活を送っております。自分の事を慕ってくれる姉、幼馴染、近所のやんちゃな双子の姉妹、何故か自分にけしかかってくる生徒会長、と沢山の人に囲まれてバカやりながらもそれなりに楽しく過ごしているあおい。ですが彼は人には言えないある特別な能力を持っていたのです。彼の能力について誰も知りません。ですが今回その能力が外に向けられるのです。対象は偶然出会ったごくごく普通の女の子である弥生。彼の能力語る上でのキーワードは、レッドゾーン。

 この作品はレッドゾーンという作品のエピソード0です。導入部分ですので話の本筋すら描かれておらず、言ってしまえばキャラクター紹介をメインとした体験版のようなものです。そういう意味で短めのプレイ時間の中で主要キャラクターは全員登場し、その誰もが非常に強烈な個性を持っておりました。実際のところ全てのキャラクターが初登場ですので印象を持たせる意味で個性的に演出するのはよくある事だと思います。ですがそんなテンプレだけでは説明できない魅力がこの作品にはありました。とにかく会話のテンポが軽快なのです。まるでお笑い芸人のボケばかりを連続で見続けているかのような主人公とヒロイン達との会話。落ちがなくプレイヤーが突っ込まないと終わらないのです。怒涛の勢いに唯々突っ込ませて頂きました。これだけで十分楽しいです。

 その中でもこのエピソードの主役である弥生の存在感は一際でした。分かりやすい表情差分と素直な性格はそれだけで好印象であり、ともすれば没個性化しがちなところで彼女らしい光るものを持っております。登場シーンこそツッコミところですが、それ以降は単純に弥生の行動に悶えればいいと思います。ですがあくまでこのシナリオはレッドゾーンという作品のエピソードの1つです。あおいの持つ能力が弥生に襲いかかることになります。あおいの持つ能力が何なのか、それについても詳しい説明はなくただ事象と結果のみが提示されます。そこに前半のドタバタコメディな雰囲気はありませんでした。まるで光と影のように一瞬で印象が変わってしまいました。ここからこのレッドゾーンという作品が始まると思うと、本当ゾクゾクしますね。

 プレイ時間は私で40分程度でした。1時間すら掛からずあっという間に終わってしまいました。選択肢も冒頭に僅かに存在するのみで分岐も非常に簡単です。ちなみにこの冒頭に登場する僅かな選択肢が、後にこの作品の根幹に関わってくる気がします。ところどことみ見逃せない伏線が散らばっており、最終的にどのようなオチになるのか読めません。本編は来年の春にリリース予定みたいですので、今から完成が楽しみです。まずはこのエピソード0をプレイして頂き、自分に合うかどうか確かめてみれば良いと思います。注目するべきはツッコミ満載の会話のテンポとテキストです。これが気に入れば、後は本編をプレイするだけですね。ありがとうございました。


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