M.M ランドセルシンドローム -Preview Version-




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
1 7 - B 〜1 2016/1/1
作品ページ(R-18注意) サークルページ(R-18注意)



<こんな可愛いキャラクター達がどのようなシナリオを紡ぐのだろう?そう思ったのなら十分なのです。>

 この「ランドセルシンドローム -Preview Version-」(以下ランドロPre)は同人サークルである「モチのおとしご」で制作されたビジュアルノベルです。モチのおとしごさんの作品は過去に「クロツメヨツバ」の方をプレイさせて頂き、どこかファンタジー的な空気を感じる世界観で描かれる人生観に溢れたシナリオが印象に残っております。人物描写が大変丁寧であり、メインヒロインである初夏をはじめとしてどの人物も憎めない魅力に溢れております。今回レビューしているランドロPreはそんなモチのおとしごさんの第2作品目の先行版であり、ゲーム画面やシステム周りなどを紹介する為に制作されております。それでもメインヒロインは全員登場しており、どんなキャラクターなのか印象付けることが出来ました。

 都心から電車で約30分ほど離れた海辺に面した街で、主人公である帷陽一(とばりよういち)は自分の進路について悩んでおりました。学園の三年生である陽一の進路調査票は白紙のまま。これを提出できず教室で居眠りしていると、空から聞いた事がない声が降ってきました。正確には空ではなく窓辺に立っている1人の女の子なのですが、陽一には彼女が一瞬「てんし」に見えた事でしょう。でずが実際はてんしとは程遠い電波な発言を繰り返す少女で、名前は海殻(かいがら)かもめ。彼女もまた自分自身の進路に悩む学園の三年生であり、この出会いが陽一の今後の運命を変化させていきます。

 今作は「Preview Version」という事で、本当にちょっとしたエピソードどキャラクター紹介の意味合いしか持ち合わせておりません。それでも一通りのシステム周りや演出は堪能する事が出来、プレイしてすぐの背景の透明感やストレスのないテキスト表示はとても好印象でした。教室の描写やかもめと一緒に行く「ゆうえんち」の描写は特に綿密に描かれており、目を惹かれること間違いありません。上でも陽一にはかもめが「てんし」に見えたと形容しましたが、これは陽一ではなく他ならぬ私がそう思ったのです。それ程インパクトのある登場シーンであり、印象の良い出会いでした。

 最大の魅力は上でも書いた背景の美しさに加えCGや立ち絵の人物描写ですね。元々モチのおとしごのシナリオライターである鋏鷺氏は商業メーカーであるminoriでもライターとして活躍しております。minoriと言えばとにかく綺麗な背景と人物描写。その雰囲気は確かに今回のランドロPreでも感じました。特に一枚のCGを移す場所を変え縮尺を変え最終的に表情にたどり着く手法はもはやお家芸ですね。唯でさえ可愛いヒロインがより一層引き立って見えます。キャラクターの可愛さが伝わればそれで十分だと思うのです。こんな可愛いキャラクターたちが果たしてどのようなシナリオを紡ぐのだろう。それを想像させてくれれば先行版としての役割は十分に果たせたのではないかと思います。

 プレイ時間は私で20分程度かかりました。20分てすので本当あっさりと終わってしまいます。シナリオも殆ど合ってないようなものです。上でも書きましたが、是非キャラクターの可愛さとシステム周りの快適さを堪能して頂ければと思います。それでも幾つか本作に繋がる伏線も登場しております。特にてんしとあくまの存在。そして主人公の心の中です。クロツメヨツバでもそうでしたが、モチのおとしごさんの描く人間模様は決して生ぬるいものではありません。可愛いながらもやる時はやるぞ、という女の子ばかりです。色々と妄想を働かせながら本作を待とうと思います。楽しみです。


→Game Review
→Main


現在ネタバレのレビューはありません。見たい方も見たくない方も避難して下さい。