M.M ランドセルシンドローム Episode.0




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
2 5 - 58 〜1 2017/1/14
作品ページ(R-18注意) サークルページ(R-18注意)



<「てんし」と「まほう」が存在する現代で、自分の夢の実現の為に苦悩する男女の物語の幕開けです。>

 この「ランドセルシンドローム Episode.0」(以下ランドロEp0)は同人サークルである「モチのおとしご」で制作されたビジュアルノベルです。モチのおとしごさんの作品は過去に「クロツメヨツバ」の方をプレイさせて頂き、モチのおとしごさんお得意のふわふわしたお人形のような可愛い外見ながらも芯の通った女性キャラクターとの掛け合いが印象に残っております。シナリオも人生観を扱ったものであり、キャラクターをを筆頭に全体的に漂う柔らかな雰囲気からは想像できない重いテーマとなっております。そんなモチのおとしごさんの新作が今回レビューしているランドロであり、クロツメヨツバ同様とても可愛らしい女の子のパッケージが大変目を引きました。

 あらすじについては過去にプレイした「Preview Version」から変わっておりません。自分の進路に悩んでいる主人公帷陽一(とばりよういち)が、教室の窓辺に立っている1人の女の子から声をかけられるところか始まります。一瞬まるで「てんし」の様に見えた彼女の名前は海殻(かいがら)かもめ。電波的な発言をする不思議な女の子ですが、実際は陽一同様進路について真剣に悩んでいる普通の思春期の女の子です。大人になるとは何か、夢を追うとは何かという永遠の命題についての答えを探す物語がここから幕を開けるのです。

 今作は「Episode.0」という事で、本編に繋がる序章の部分のみ収録されております。陽一がかもめと出会い、そこから2人で一緒に行動するようになるまでを描いた短編です。その為問題提起はされておりますがそれの解決に動き出すところにすら立っておりません。あくまで序章であり、世界観やキャラクターの紹介といった意味合いが強いかもしれません。この作品の世界感を語る上で欠かせないのは「てんし」の存在と「まほう」の使い方です。この作品には「てんし」が存在します。その目的は人間の精液をあつめて神様に届ける事です。そして「てんし」は自分の存在が人間にバレた時は「まほう」で記憶を消してしまいます。何故「てんし」は「まほう」で記憶を消してしまうのか。そもそもこの「てんし」の存在がどのように2人の夢の達成に関わっていくのか。そしてランドセルシンドロームとはどういう意味か。様々な要因が絡み合ったシナリオがこの先待っております。

 最大の魅力は上でも書いた背景の美しさに加えCGや立ち絵の人物描写ですね。元々モチのおとしごのシナリオライターである鋏鷺氏は商業メーカーであるminoriでもライターであり、作品の至る所にminoriらしさを感じる事が出来ます。特にメインヒロインであるかもめの登場シーンは、一枚のCGを移す場所を変え縮尺を変え最終的に表情にたどり着く手法で実にminoriらしいです。そしてこの作品はR-18の様です。残念ながらEp0ではそういったシーンを見ることは出来ませんでしたが、これだけ美しい人物描写と、精液を神様に届ける「てんし」の存在という設定だけで期待は高まります。シナリオやテーマのみならずそういった点でも注目していきたいですね。

 プレイ時間は私で40分程度かかりました。40分という短い時間をフルに使って、登場人物達の説明とこの作品で扱おうとしているテーマについて説明しております。陽一にもかもめにも譲れない夢があります。そしてその実現の為にお互い協力する道を選びました。夢の先に待っている特別とは何か、果たして陽一とかもめはランドセルシンドロームから抜け出す事が出来るのか、そして「てんし」はどのように関わってくるのか、様々な想像が止まりませんね。次は「Episode.1」でしょうか。このシリーズはリアルタイムで追いかけていこうと思います。


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現在ネタバレのレビューはありません。見たい方も見たくない方も避難して下さい。